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小島健一事務所所在地

〒227-0063
神奈川県横浜市青葉区榎が丘13-10
TEL 045-988-0838 FAX 045-988-0839


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2008年09月30日 一般質問

私は小島健一であります。議長のお許しを頂きましたので、私は自民党県議団の一員として、通告に従い、提言を交えながら、順次質問をいたしますので、知事、教育長におかれましては明快な御答弁を宜しくお願いいたします。また、先輩、同僚議員におかれましては、しばらくの間、ご清聴いただけますよう宜しくお願いいたします。
質問の第一は、全国学力・学習状況調査結果についてであります。
今月7日、大阪府の橋下知事が地元FM局の生放送出演中に、去る4月に行われた全国学力テスト結果の公表に対して消極的な、大阪府の市町村教育委員会などを指して「くそ教育委員会が、みんな発表しないと言うんです!」と批判したことは、その後ニュースとしてテレビで流され、全国に波紋を投げかけたことは記憶に新しいかもしれ
ません。さらには「H21年度からテスト結果の開示・非
開示によって予算をつけるかどうか決めさせてもらう」と、それを市町村への予算配分にも反映させるという強気の考えを橋下知事は示されましたが、「くそ教育委員会」という言葉使いの問題は別として、一連の発言は教育委員会のあり方も含め、今の教育行政の問題点を大阪府民に投げかけた大きなメッセージであったように私は思います。
橋下知事の今回の発言に至る背景としては、全国学力・学習状況調査結果において大阪府の公立小中学校の総合順位がそれぞれ41位、45位という、昨年同様、全国で下位に位置していた事実はもちろんですが、テストと同時に行われた生活習慣や学習環境などの調査で、大阪府の子供達が明らかに地域や家庭に問題があることが表れていたことも要因でした。即ち、「教育問題」を教育委員会と学校、教師だけで捉えるには限界があって、今の危機的状況を解決するには早急に地域や家庭
にも責任を持ってもらう必要性があり、そのためには、市町村別テスト結果を公表することで教育レベルの現状認識を地域と家庭に明確に持ってもらい、ある種の府民運動を起こしていきたいという意図でした。
さて、神奈川県の学力テストの結果はどうかといえば、昨年とそれほど変化なく公立小中学校の二科目総合順位は全国でそれぞれ22位、30位という全国平均並という位置づけでした。そして神奈川県内においては、現在、横浜市、川崎市、厚木市が自主的に市の平均正答率を公開していますが、それ以外の市町村教育委員会では非開示とされ、例えば秦野市などにおいては情報公開審査会で市の平均正答率を公開すべきと答申が出たにもかかわらず、秦野市教育委員会が非公開を決定した、といった現状であります。
私は、本来、市町村別の平均正答率だけでなく学校別正答率も公開すべきだと個人的には思いますが、確かに学校別に公開すれば色々と問題が生
じるだろう点も理解できなくはありません。しかし、テスト結果を非公開にすることが、教師と教育委員会の責任逃れと言われないためにも、また、神奈川県全体の学力向上のためにも、大阪府の橋下知事が言っていた地域と家庭が現状認識を共有し責任を持ってもらうということが絶対に必要だと思いますし、むしろ公開した方が多くの県民も納得するのではないかと考えます。
そこで知事にお尋ねいたします。
確かに、教育行政において、各市町村の教育委員会の独立性・中立性・意思決定は非常に重要であることは否定しませんが、地域や家庭にもっと責任を自覚してもらう意味でも、学力テスト結果の市町村別公開はもっと積極的に行うべきと考えますが、知事の見解をお伺いします。
質問の第二は、不登校対策についてであります。
文部科学省の平成19年度児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査によりますと、
神奈川県においては、公立小中学校における不登校児童生徒数が前年度より2.5%多い10,102人と、初めて1万人を超え、2年連続で全国ワースト1位という不名誉な結果が公表されました。ちなみにワースト2位は東京都なのですが、児童・生徒数が我が県よりも多い東京都や大阪府より神奈川県の方が不登校児童生徒数が多いということは、やはり深刻に受け止めなければならない現実であるはずです。
さて、県内公立小学校の不登校児童数は2,153人、公立中学校の不登校生徒数は7,949人、前年度と比較して小学校では102人、中学校では143人増加しています。不登校の出現率こそ中学校においては僅かに減少したものの、この最悪の状況から抜け出すためには県としての積極的対応策が当然必要ですが、一方では、なかなか即効性のある明確な解決策を見出しにくいということも不登校問題の特徴だと思います。
解決策を考える上で、まず不登校の原因ですが、
いじめ、友人関係、親子関係や学業不振など様々な要素がある中で、不登校になったきっかけで一番多いのは「その他本人に関わる問題」、即ち「極度の不安や緊張、無気力等で、他に特に直接のきっかけとなるような事柄が見当たらない」という、要するに本人の心の問題ということが主な原因であり、その事が余計に解決を難しくしているように私は感じます。
今回の調査結果の学年別推移を見てみますと、やはり不登校者数は小学6年から中学1年にかけて、その数が2.9倍と急激な増加が見られています。いわゆる中1ギャップというものですが、施策としては不登校になりそうな芽は早めに小学生時代に摘んでおかなければならないはずです。
先日、私は緑区霧が丘にある、横浜市立の小中一貫教育を実践している学校を訪問してまいりましたが、その学校の最新データからは小中一貫教育を実践したことで、明らかに中学に上がる際に児童達の情緒的安定が見られ、不登校の割合も減
少し成績も向上しているという話を伺いました。もちろん小中一貫校という事が政策実現として難しいことは理解していますが、そこから多くの教訓は得られるはずではないでしょうか。
県教委は、これまでも、フリースクールとの連携、スクールカウンセラー配置活用事業、フレンドリースタッフ派遣事業等を行ってきたことは一定の評価をするところですし、昨年10月には神奈川県不登校対策検討委員会を設置、現状把握と分析を重ね、小中学校の教員向けに登校支援の手立てを示したリーフレットも配布していることは承知しております。
前述したように「不登校児童・生徒数」は中学校で急増しているわけですが、その前兆はやはり小学生時代に出ていると言っても過言ではないと思います。不登校を克服して再登校できた小学生の保護者達の意見として、まず保護者自身が、子供の不登校の原因が保護者自身にあるという自覚をもつことが一番大事なのですが、その後、子供
の再登校を促すにあたっては、その過程で、親と子供の中間年齢にあたる大学生のお兄さんお姉さんの協力を得た事が大変効果的だったという声を多く聞きました。
それ故、私は予ねてから、教職課程履修中の大学生を小学校に派遣するフレンドリースタッフ派遣事業をもっと拡大拡張すべきと訴えて参りました。そして、それは、同時にいじめや暴力行為防止にも大変有効だとも考えています。
現在、フレンドリースタッフ派遣事業は、時給が5,000円もかかるスクールカウンセラーに較べれば100分の1にも満たない予算しか掛けられていませんが、私は是非この事業をもっと拡充すべきだと思いますし、同時に、深刻な中1ギャップ予防の為にも、小学校と中学校の連携事業を積極的に推進すべきと思いますが、教育長の見解を伺います。
質問の第三は卒業式・入学式における国旗掲
揚・国歌斉唱についてであります。昨年12月の代表質問においても申し上げまし
た通り、平成17年7月から、横浜地裁において「国旗国歌に対する忠誠義務不存在確認請求事件」という裁判が3年以上にわたり行われてきております。
これは、現在170名の県立学校の教員らが、98名の弁護団とともに、「卒業式等の行事において、教職員や児童・生徒は憲法に保障された思想信条の自由から、国旗掲揚国歌斉唱時に起立や斉唱する義務がないことを認めろ」と、神奈川県を相手取って訴訟を起こしているものであります。
が、昨年、この裁判とは別に、不起立教員らは、個人情報保護条例を楯にとり、県教委に対して、国歌斉唱時に起立していなかった教職員の氏名の情報の利用停止の請求を行いました。しかし、県教委がこの請求を却下、その後、納得できない教員らが異議申立てを行ったため、次に県教委はそれを個人情報保護審査会に諮問。その結果、不起
立教員の氏名情報は個人情報保護条例において原則的に取扱いが禁止されている「思想信条に該当する情報」に当たるのだと、私自身は不可解と思いましたが、そう判断され、県教委に是正を求める答申が出されました。
これを受けて、県教委は氏名の収集はあくまでも職務に関する情報であって内心の問題に立ち入ったものではなく、正当な事務の実施のために必要であるとして、今度は個人情報保護審議会の方に諮問したのですが、結局、「氏名収集は『不適』であるが、しかし一方で職権行使については県教委に委ねられる」というような答申が出たわけであります。
県教委は、個人情報保護審査会の答申後、いったんそれまでの不起立者の情報を答申に従って破棄しましたが、個人情報保護審議会の答申後は、毅然として「氏名収集」の継続を決定し、今日に至っています。私自身、当時の引地教育長を始めとする県教委の英断には最大限の敬意を表するも
のでありますが、平成19年度卒業式、平成20年度入学式における不起立者の数はそれぞれ48人と34人、合計82人であり、2年前の120人に較べれば少ないですが、昨年の73人より若干悪化している状況にあります。
そして、去る8月21日には、第16回口頭弁論が横浜地裁で行われ、山本教育長が証人として出廷されました。私も最前列でその裁判を傍聴しておりましたが、陰湿ないじめにも似た原告側弁護士の尋問に対しても、冷静に正論を述べ、答弁されていたように感じました。
学習指導要領は国歌斉唱の指導を定めており、県教委もこれまで毎年、県立学校長宛で、国旗及び国歌の指導についての通知を出し指導されております。その成果かもしれませんが、私自身も毎年、地元の県立高校の卒業式・入学式に参加させていただく中で、だんだんと式自体に厳粛な雰囲気、清々しい空気というものが出てきて、随分と、一頃より良くなったように感じているのは事実で
あります。私は、毎年、本会議において国旗国歌に関する
質問をしつこく行いながら、毎回、教育長からは今後も粘り強い指導を行っていくという答弁をいただいておりますが、本年度から新たに教育長になられた山本教育長としては、来年の卒業式・入学式を迎えるにあたってこれからどのような方針で臨まれていくのか見解を伺います。
質問の第四は日本語教育についてであります。
近年、英語教育については、小学校においても国の政策の中で着実に進展が見られるようですが、日本における最も大事なコミュニケーションの手段である日本語については果たしてどうなのかというと、私には疑問が残ります。
そんな中、昨年4月から、教科「日本語」という授業を開始した東京都世田谷区が、現在教育関係者の間で注目されております。
まず、世田谷区は平成15年度より「美しい日
本語を世田谷の学校から」をスローガンに掲げ、言葉の力を向上させる取り組みを開始し、平成16年には内閣府から教育特区の認定を受けて、従来の「国語」ではない「日本語」という教科で独自に教科書を編纂、平成19年度から世田谷区の全ての区立学校で授業をスタートさせたわけであります。そして、小学校用の教科書については2学年毎に1冊ずつ、合計3冊、中学校用の教科書も3冊ありますが、こちらの方は「哲学」「表現」「日本文化」というある意味刺激的な名称が付けられており、現在、小学校では週一時間、中学校では週二時間の授業が行われています。
私も実際にこれらの教科書を手にとって読んでみましたが、小学校1年で小林一茶の俳句「痩せ蛙負けるな一茶これにあり」、高啓や李白の漢詩、杜甫の「絶句」、道元の短歌「春は花夏ほととぎす秋は月冬雪さえてすずしかりけり」、宮澤賢治の「雨にもまけず」、高村光太郎の「智恵子は東京に空がないという・・」で始まる「あど
けない話」という詩、そして孔子の論語等がこれでもかと出てきます。決して、大人から見ても易しい内容とは言い難いと思いますが、小学校低学年ではまず「日本語の響きやリズムを楽しもう」ということが授業の中心理念ということです。
そして3,4年の教科書では、同じく李白や王維の漢詩、論語はもちろん、萩原朔太郎、島崎藤村、北原白秋の詩も登場し、小倉百人一首が全首でてきます。5,6年になりますと、それまでの「楽しもう」から「日本語の響きやリズムの美しさを「味わおう」という段階に上がり、平家物語の祇園精舎や、徒然草、方丈記なども出てまいります。
しかし、小学校においては現行の学習指導要領で学年によって習得すべき漢字が決められている都合上、古典を教えるには無理があるわけですが、低学年の子供ほど、強制しなくても難しいこれらの漢詩や俳句を暗唱してしまっているのが実際の姿だそうです。
さらに、例えば中学校で使う「哲学」の教科書は自然観、人生観、社会観を育成することが意図されており、やはり従来の国語の範疇を超えているわけですが、川端康成の「美しい日本の私」や柳田邦男の「人生に答えを出した男の物語」、そして小学校のテキストに出ていた宮澤賢治の「雨ニモマケズ」が再登場したりもしています。私自身が読んでみても、成る程と感じる作品や文章が上手く選択されているように思いました。
では、この世田谷区がやろうとしている教科「日本語」の目指すところは何なのでしょうか。小学校用教科書の表紙の裏に書かれている文章を引用させていただきますと、
ことば。ことばには力があります。私たちは、たった一つのことばから生きる勇気
を得ることがあります。ことば。
私たちは、ことばを使って考えます。ことばを
使って考えや思いを伝えます。私たちのかけがえのない宝である「日本語」は、
日本の文化とともに受け継がれてきました。新たな文化が生まれ、新たなことばが生れます。あることばが使われなくなるということは、そ
のことばの背景にある文化や自然が失われることにほかなりません。
今、私たちはことばを大切にしているでしょうか。
世田谷区では、教科「日本語」を創設しました。
子どもたちが、ことばの大切さに気づき、ことばを通して深く考え、自分を表現して心を通わせる喜びを知り、日本文化を大切にして、新たな文化を創造してほしいという願いから教科「日本語」は生まれました。
と、このように書かれており、極めて昨今の日本の国語教育に不足しているものを明確に示唆しているようにも私は思いますし、この世田谷区の取り組みは今後全国に波及していくものと推察し
ているところです。そこで、教育長にお伺いします。この世田谷区の「日本語」教育には多くの学ぶ
点があり、我が県としても是非、良いものは積極的に取り入れていくべきと思いますが、教育長の見解をお伺いします。
質問の第五は高齢者福祉施設における人材不足解消とその養成についてであります。
先日、敬老の日を前に総務省がまとめた統計によりますと、日本における70歳以上の人口は2,017万人となり初めて2,000万人を突破、日本の総人口の15.8%を占めるにいたっております。高齢者としてカウントされる65歳以上ということでは、2,819万人で、実に総人口の22.1%に達しているわけであります。
従って、そのような人口構成を考えれば、必然的にこれからの高齢者介護が日本全体の喫緊の課題であり、その人材の養成と確保も大変重要であ
ることは明確であります。しかしながら、昨今、様々な報道がありますよ
うに、介護の現場は現在深刻な人手不足の状態であり、人材派遣会社に頼ったり、ホームヘルパーのような資格を何も持たない人を雇わざる得ない状況にもなっております。国の方では、漸く来年4月、3年ぶりの介護報酬改定に併せて、報酬引き上げを行い、賃金の底上げを促すようでありますが、介護労働安定センターの昨年度の調査では、月平均4.5回の夜勤で、賞与や残業手当を含む介護サービス従事者の平均年収は、正規職員で約301万円しかありません。
また、介護サービス従事者の離職率は、昨年度21.6%と、全産業平均の16.2%と較べ、かなり高い一方、介護関連職種の有効求人倍率は2.1倍と他産業に較べても高い状況にあり、明らかな労働力不足となっているわけです。
そして、高齢者を介護するための国家資格である「介護福祉士」取得のための全国の大学や専修
学校でも、入学者の定員割れが深刻化し、今年度定員全体に占める実際の入学者の割合は45.8%しかなく、我が県においても、県内専修学校の介護福祉士養成課程への入学者は定員の45.3%であり、昨年度の60.3%からも大きく下落しています。
こんな状況下、日本とインドネシアにおいて、経済連携協定、いわゆるEPAが締結されたことで、去る8月、インドネシアから看護師・介護福祉士候補者の第一陣、それぞれ104人、計208人が2回に分かれて来日しました。当初は2年間で看護師候補400人・介護福祉士候補600人、初年度はその半数を受け入れる予定だったようですが、双方の準備が整わず104人ずつとなったようであります。彼女達は、基本的には、半年間日本語研修を受講し、その後それぞれの受入れ先の病院や介護施設で研修を受けながら、4年以内で国家資格取得を目指すことになっています。
実は、今回来日した208人のうち、3人の介護福祉士候補が、日本語堪能という理由で語学研修が免除されており、何とその3人のうちの2人が、今月8日から私の地元青葉区の特別養護老人ホームで、日本人職員と共に、同様の給与を支給されながら研修を始めています。
これまで、日本人の雇用機会を奪ってしまうなどの理由から、外国人は介護や看護職などを目的として日本に入国し単純労働者として働くことが認められていなかったのですが、EPA締結により、介護福祉士の国家資格を取得できれば継続して日本の介護の現場等で働くことが可能となっております。ちなみに、青葉区で研修・就労している二人はインドネシアの看護師免許も持っている非常に優秀な方々ということで、現場のスタッフにも大変良い刺激を与えているとのことです。
とはいえ、宗教や生活習慣の相違、そして、先述の二人は例外としても、やはり介護の現場は入所者とのコミュニケーション手段としての日本語
能力が非常に大事であることなど課題も多く、これからの動向を注目していきたいと思っております。
また、今月から、地域の施設が共同で介護職員の研修に取組む、神奈川県独自の全国初となる研修システムがスタートしました。ホームヘルパー2級、実務経験1年以上の者を対象にした「介護職員基礎研修」、介護福祉士取得後実務経験2年程度の現任者を対象とした「ファーストステップ研修」という2種類の研修ですが、これまでの通常の研修というのは民間業者や団体が実施するものだったわけですが、神奈川式研修は、認定を受けた地域の特別養護老人ホームなどの施設、10施設程がネットワーク組織をつくり、それぞれ研修会場として所定の研修を順番に実施していくというものです。これにより、より現場に即した中身の濃い研修でスキルアップが図れることになるわけですが、その効果として、職員のやる気や、社会的信頼も高まり、それが待遇改善にもつながっ
ていくことが期待されていますし、私自身、同じ仕事をしてきた者として大変評価をさせていただく次第です。
以上を踏まえ、知事にお伺いいたします。
今、インドネシアの介護福祉士候補者も研修が始まり、地域の施設が共同で行う新たな神奈川独自の介護職員研修も始まっておりますが、将来的にも介護サービス従事者不足が懸念される中、今後の外国人介護福祉士等の雇用についてはどう考えていらっしゃるのか、また、神奈川の新しい研修システムを今後どのように発展させていかれるおつもりなのか、見解をお伺いいたします。
質問の第六は健康増進についてであります。
多くの県民は健康で長生きをしたいと願っているはずです。しかし、中には、私のように、それほど長生きはしたくないけれど、病気で寝たきりにだけはなりたくないと思っている人もいるかもしれません。
さて、今年4月に厚生労働省が発表した「平成17年市区町村別生命表」によりますと、全国1,962市区町村のうち、私の住んでいる横浜市青葉区が、男性の平均寿命81.7歳で全国1位となりました。ちなみに女性は88.0歳で全国7位であり、人口30万人を超える青葉区は、実質的には男女総合すれば全国1位という結果が出たわけであります。昔から長寿として有名な沖縄県の市町村よりも、都市部の新興地域である青葉区が全国1位となったにはそれなりの理由があるはずですが、今月11日、青葉区区民意識調査の結果が発表され、私自身もその理由の一旦が垣間見えたように思いました。
今回のアンケートにおいて、長寿の原因を「健康づくりに関心があり、実践している住民が多いから」と答えた区民が一番多かったのですが、実際にそれを裏付けるデータがはっきりと出ています。
青葉区の医療機関における健康診断時の約11,
000人のデータから分析された平成16年度の数字では、まず「タバコを吸う」即ち喫煙率は何と13.1%、塩味が濃い方である11.0%、飲酒量が適正飲酒以上23.1%、肥満度BMI24以下81.2%、血圧異常なし67.6%、と、横浜市18区中、すべて良い方から1位という結果が出ています。特に喫煙率13.1%という数字は、全国平均の半分以下であり、青葉区は間違いなく非喫煙率が全国のトップクラスに位置していると言えます。
また、住環境という面においても、平成17年度で、医療機関の数が258箇所で横浜1位、有料老人ホームの数が27箇所で横浜1位、公園の数も226箇所で横浜1位となっております。さらに、平成16年から18年の3年間の男性の死因別調査では全国平均を100とした場合、悪性新生物(がん)が86.2、心疾患65.2、脳血管疾患70.0と、三大疾患での死亡が非常に少ないことがわかります。
先ほど、青葉区の喫煙率について述べましたが、青葉区は現在0歳から19歳の人口が約62,600人と横浜市で一番多いこともあり、特に子供をたばこの害から守るための取組みに力を入れています。小中学校での喫煙防止教室はもちろんですが、赤ちゃんや子供が、受動喫煙等、タバコの害を受けないよう母親教室でも妊婦や夫にタバコの危険性について積極的に話をしています。
さらに、青葉区では「受動喫煙防止」の取組みとして、青葉区内の飲食店・理美容店等を対象に禁煙・分煙の認証制度を実施しており、既に100を越す店舗が参加され、ますます増えている状況にあります。
現在、神奈川県において、死亡原因の第一位が「がん」であり、全体の3分の1を占めておりますが、平成14年に発行された厚生労働省検討会報告書(通称「たばこ白書」)においては、喫煙する人は「がん」全体の危険が2倍になり、また発生している男性の「がん」の原因の3分の1はタバコ
であると指摘されております。そして、「がんへの挑戦・10か年戦略」には、
重点項目としてタバコ対策が挙げられていますし、今年3月議員提案で成立した「神奈川県がん克服条例」第5条には「県は、食生活、喫煙、運動その他の生活習慣及び生活環境が健康に及ぼす影響に関する普及啓発その他のがんの予防に関する施策を講ずるものとする。」と明記されております。そんな中、未だに「がん」とタバコの関連性さえ否定している著名な解剖学者もいるようですが、その主張はまったく根拠がなく、医学団体からの公開討論の申し入れにも応じていません。県として、しっかりと、医学的根拠に基づいてタバコ対策を進めている医学界や医療機関と今後も連携していく必要があります。
また、受動喫煙問題について言えば、2003年3月31日付けの朝日新聞朝刊に、国立がんセンターによる推計が報道されておりますが、これによれば、国内で、年間19,000人以上の方が、受動
喫煙によって死亡しているとのことであります。たびたび訴訟にもなっているアスベストによる死者が年間950人余りですから、それと比較しても、この数字は甚大であります。考えてみれば、喫煙者の方々も、小さい子供や、或いは自身の可愛いお孫さんの近くでは決してタバコは吸わないはずだと思います。その僅かな思いやりの心が何故なかなか広がらないのか、私は不思議でしょうがありません。
以上のことを踏まえ、知事にお伺いいたします。
私は、青葉区民の健康増進に対する意識とその喫煙率の低さを誇りに思いますし、この流れを是非神奈川県全体に波及させていくべきとも思いますが、それに関する知事の率直なご意見と、今後の神奈川県の「がん」予防策の展開について見解をお伺いいたします。
以上をもちまして、私の第一回目の質問を終わります。

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