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小島健一事務所所在地

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2012年02月21日 一般質問

私は小島健一であります。私は、自民党県議団の一員として、通告に従い、提言を交えながら、順次質問をいたしますので、先輩、同僚議員におかれましては、しばらくの間、ご清聴いただけますよう宜しくお願いいたします。

質問の第一は、卒業式・入学式における国旗国歌についてであります。
先月16日、卒業式などで国旗掲揚・国歌斉唱の際に起立しなかったことを理由に東京都教育委員会から戒告、停職の懲戒処分を受けた教職員らが東京都に処分の取消しと損害賠償を求めていた訴訟において、最高裁は「戒告処分までは基本的に懲戒権者の裁量の範囲」との判断を初めて示しました。一方で、「戒告を超えてより重い減給以上の処分を選択することは、事案の性質などを踏まえた慎重な考慮が必要」とし、教員一人の停職の取消しを認めたのですが、これに対し、石原都知事は「立って国歌を歌い、国旗に敬意を払うのは、公立の学校の教育者として基本的な姿勢だ」と不快感を示し、「これは徹底していかないとだめだ。それをするように教育委員会には働いてもらいたい」と述べました。
一方、神奈川県では、平成17年7月、最大時170名の県立学校教員らが98名の弁護団とともに「卒業式・入学式で起立して国旗に向かい国歌を斉唱する義務が無いことを予め認めろ」と横浜地裁に提訴した「国旗国歌に対する忠誠義務不存在確認請求事件」という裁判は、平成23年6月、最高裁が原告の上告を棄却したことで、訴えを却下した2審東京高裁判決が最終的に確定し、県側が勝訴しました。ちなみに、1審横浜地裁は「教職員らは起立斉唱命令に従う義務がある」と原告の請求を棄却、2審東京高裁は「県教委が県立学校長に対して出した起立斉唱の指導の徹底を求める通知は、指導であって義務を生じさせる命令に当たらず、訴え自体に理由がない」として、原告の訴えをにべもなく却下しています。
ところが、平成20年11月、県立学校教員ら27名は、今度は「不起立者の氏名収集は、県の個人情報保護条例に違反する」として県に情報消去等を求めた新たな訴訟を起こしました。昨年8月、横浜地裁は「氏名収集は服務規律の保持を担う県教委の裁量内の判断で違法ではない」として請求を棄却したものの、現在、東京高裁に控訴され、裁判は継続中であります。
私は、昨年の決算特別委員会において、その裁判の原告団長が定年後再任用された県立高校の教諭ということで、県教委に、再任用の選考方法について質問をさせていただきました。その答弁では、イデオロギー闘争を学校外でやっていても選考基準には抵触しないとのことであり、私は、「呆れるほど教師に優しい神奈川県だ」と思わず述べてしまったのですが、教師達に対して、こんなイデオロギー闘争はもう止めにして、山積する学校の問題に全力で取り組んでもらいたいと思っているのは私だけではないはずです。とはいえ、平成16年当時、県立学校の入学式・卒業式で、のべ116名もいた不起立者は、昨年は36人にまで減少しており、これまでの県教委の粘り強い指導について一定の評価はさせていただきたいと思います。
さて、皆さんは重光葵(しげみつまもる)という人物を御存知でしょうか。
昭和20年9月2日、米国の戦艦ミズーリ号の甲板上で行われた連合国への降伏文書調印式において、日本政府全権として署名を行ったのが重光葵であり、その調印風景はおそらくほとんどの皆さんが教科書等で見た記憶があるのではないかと思います。重光葵はその後、A級戦犯として起訴され、極東国際軍事裁判において有罪判決を受けますが、服役後、政界復帰し、昭和31年12月には国連において、日本全権の外務大臣として国連加盟受諾演説を行って「日本は東西の架け橋になりうる」という名言を残しました。余談ですが、歴史問題として中国・韓国から何かと騒がれるA級戦犯が、戦後、外務大臣として国家の運営に携わっていた事実を見てみれば、野田総理も嘗ておっしゃっていたように、「A級戦犯と呼ばれた人達は最早、戦争犯罪人ではない」という認識は正しいのであります。
さて、重光葵の右脚は義足であったのですが、それは、昭和7年、第一次上海事変終結後の天長節の式典において爆弾テロに遭った為でありました。重光は、会場から爆弾が投げ込まれた時に、一切動かず、避けなかったのであります。その理由として、「その時は国歌斉唱の最中であったから」と、後日、語っていますが、国を背負っている当時の外交官の国を思う気概を感じずにはいられません。
私は、ここまで国旗国歌に忠誠を尽くせとは言いませんが、公の使命の下で働く以上、公務員は国旗国歌に敬意を払うことは当然のことであり、同じ公務員として我身の危険を顧みず活動している自衛官・海上保安官・警察官・消防隊員に対して失礼であるとさえ思います。
そこで、教育長にお伺いします。
最高裁は、「戒告処分までは懲戒権者の裁量の範囲」との判断を示していますが、実際、これまで一切の処分を不起立教員に科していない我県は、今後、不起立教員に対して戒告処分をなさるおつもりはあるのか、また、今後どのような指導を行っていくのか、教育長の見解を伺います。

質問の第二は、朝鮮学校補助金についてであります。
神奈川県においては、平成の時代に入ってからだけでも、昨年度までに1,420百万円以上の公金が、朝鮮学校へ補助金として支出されております。そして、平成23年度は、63,780千円の補助金交付が決定されており、年3回に分けての交付のうち2回が既に終了し、来月(3月)に残りの15,944千円の交付が行われるとのことであります。
さて、先月、東京都においては、石原都知事の査定により、来年度予算に朝鮮学校への補助金を計上しないことを決めたとの報道がありました。当然ながら、大切な公金を支出する判断の前提として、「反日教育」「拉致事件」に関する教育内容に加えて、財務や朝鮮総連との関係等を調査し始めたばかりであるということで、補助金「凍結」から一歩進んで、都としての明確な意思表示を示したことになります。
一方、神奈川県の場合は、一昨年、松沢知事の時代に、反日教育の疑いがあるとして一旦、補助金交付を留保したものの、知事自らが朝鮮学校を訪問した上で、日本人拉致事件や大韓航空機爆破事件等、明らかに事実とは違う教科書記述の平成25年度までの改訂を条件に、補助金を交付しました。それに関して、私は本会議や予算委員会において、これらの極度に歪曲した歴史教科書が実際に改善されない限り、補助金交付は拙速ではないかと松沢知事に申し上げています。
その後、黒岩知事が就任され、昨年5月には、朝鮮学校で今年度の4月から使用されている教科書が改訂されていることがわかり、その中で、「日本当局は拉致問題を極大化し、反共和国・反総連・反朝鮮人騒動を大々的に繰り広げることによって、日本社会には極端な民族排他主義的な雰囲気が作り出されていった」としていた以前の拉致事件の記述が、「右翼勢力等により、反共和国・反総連・反朝鮮人騒動が繰り広げられ、総連と在日同胞社会にとっては、大変な状況が造成された」という内容に変わり、何と拉致事件そのものの記述が消えてしまっていたのであります。また、大韓航空機爆破事件については、「南朝鮮当局が事件を捏造した」との記述があった囲みの文章が丸ごと削除され、本文も「捏造した」から「起こった」に変更されておりました。
私は、これだけ見ても意図的・作為的なものを感じますが、後に、県側が改訂教科書の実物ではなく、改訂箇所のコピーだけを見て、朝鮮学校側の教科書改訂を確認したことも判明し、県側の対応・調査方法の甘さそのものが批判を受けています。
ともかく、結果的には、学校側が拉致事件に関する補助教材2ページを作成し、また黒岩知事がその製作に協力されたドキュメンタリー映画「めぐみ」の上映とその感想文を課題として、今年度の補助金交付が認められたわけであります。
そして、昨年11月9日には、県職員4名と県議会の各会派5名が、朝鮮中高級学校を訪問し、高級部3年のクラスで、課題としていた拉致問題についての授業を視察しました。何と、この授業を見学して、逆に感激して帰ってきた方もおられたと漏れ聞いておりますが、私は、相手側が指定した日に赴き、準備された授業を、朝鮮語ではなく日本語特別授業として見る、というのは正に補助金をもらうための既成事実化を手助けしているだけなのではという思いを払拭できませんでした。
その後、11月11日には、生徒2名を含む神奈川朝鮮中高級学校の理事長、校長、教職員、生徒父母会ら9名が黒岩知事を訪問し、拉致問題をテーマに実施した授業内容について報告したようですが、その際、教職員は、日本による植民地支配にも触れ、いずれも「二度と繰り返してはならない歴史」として生徒達に伝えていると述べたと伺っています。この北朝鮮お決まりの論法に関しては次の質問でも触れますが、日本が朝鮮を併合した当時の国際情勢・歴史的背景や手続きというものを全く無視し、平和な時代に起きている非人道的国家犯罪である拉致事件とそれとを同列に生徒に教えることは、非常に不適切だと私自身は考えます。
話は多少逸れますが、デタラメな数字や、被害者と称する人の証言や捏造写真が跋扈し、プロパガンダや外交カードとしての意味合いが強い、いわゆる「南京大虐殺」や「従軍慰安婦問題」などを人権問題として大騒ぎする団体がありますが、過去の怪しい事象ではなくて、共産党政府樹立以降、チベットやウィグルを侵略・その民を数百万人も虐殺し、大躍進政策、文化大革命、天安門事件等を通じて、自国民をこれまで数千万人殺してきたと言われる中国における人権問題、また先頃、脱北者の方も来庁され訴えていた北朝鮮の収容所の人権問題などに、何故、目を向けないのか、と私は思います。
さて、北朝鮮では、昨年暮、金正日が亡くなり金正恩が後継者となりましたが、報道によれば、昨年7月、朝鮮総連が金正恩後継体制支持を決めた幹部会議で、神奈川朝鮮中高級学校の校長が先頭に立って正恩氏への忠誠と愛国教育の推進を宣誓していたとのことであります。校長はその中で、「1世から2世、3世に引き継がれてきた忠誠、愛国の代を4世、5世、6世に引き継ぐ道を開く任務が我々幹部にある」「学生達を自分の領導者と祖国を知る愛国の柱に育てる上で、学校の位置付けは非常に重要。我々の事業が愛国運動を左右する自覚を持って教育事業を進めている」と述べています。東京都や大阪府など、補助金の停止や大幅削減に踏み切る自治体が相次ぐ中で、神奈川県から補助金を勝ち取った英雄として神奈川の校長が代表に選ばれたとも言われていますが、私は、今後の朝鮮学校における思想教育強化について大変危惧を抱くものであります。
以上を踏まえ、知事にお伺いします。
東京都では、石原知事が明確な意思表示をして朝鮮学校補助金を来年度予算に計上しないとされましたが、神奈川県の知事として来年度補助金交付についてどのように考えているのかお伺いします。また、石原都知事や埼玉の上田知事は、補助金支出の判断材料として「授業の抜き打ち確認」を複数回行うと述べていますが、神奈川県として授業の抜き打ち確認等を実施するおつもりはあるのか、重ねて知事の見解を伺います。

質問の第三は、拉致問題についてであります。
黒岩知事は、映画「アブダクション」(邦題「めぐみ‐引き裂かれた家族の30年」)の製作に関わったという経緯もあり、知事就任以来、この拉致問題については非常に熱意をもっていらっしゃると拝察いたしております。また、去る2月1日には、全国の都道府県で初めて、拉致問題担当理事を置いて水田氏を登用され、私も今後の活動・展開を期待しているところであります。
さて、2年程前の平成21年12月の本会議におきまして、私は拉致問題について質問をし、当時の拉致問題対策本部が作成した日本人拉致問題啓発アニメ「めぐみ」というものを取り上げました。その中で私は、政府が、平成20年6月、アニメ「めぐみ」のDVDを各都道府県教育委員会に送付し、小中高等学校を始めとした教育機関で拉致問題の啓発を行って欲しい旨の通知を出していたにもかかわらず、まだまだその活用が不十分であるので、もっと周知・改善して欲しい旨の意見を教育長に述べております。
このアニメ「めぐみ」は、昭和52年、当時中学1年生だった横田めぐみさんが、学校から帰宅途中に北朝鮮に拉致された事件を題材に、残された家族の苦悩や、懸命な救出活動の模様を描いたドキュメンタリーアニメで、中国語や韓国語等9カ国語に対応しており、政府のホームページからも視聴・ダウンロード自由で、コピーも自由という約25分間の作品であります。
今般、黒岩知事就任以降、外国人監督が製作した約1時間28分間の映画「めぐみ‐引き裂かれた家族の30年」がクローズアップされていますが、実は私もそれが公開された当時、すぐに視聴いたしておりました。今回、改めて、DVDを購入し内容を再確認いたしましたが、私の同志の地方議員達が、この映画の中で、拉致被害者家族会の皆さんと一緒に、初期の時代から街頭活動を懸命に行っている姿を嬉しく思いながらも、実は不可解と思ってしまう箇所が幾つかありました。まず一つ目のシーンですが、茅ヶ崎市で開催された「平和と人権講演会...拉致問題を考える」と題された市民集会で、会場の女性が意見を述べているシーンであります。この時、女性は、「(日本も)北朝鮮に同じことを、60年前にしていたでしょう...どうしたら、皆にわかってもらえるように私も言えるのかなとすごく思ってしまって...」と
泣きながら訴えていました。私は、日朝、あるいは日韓でもそうですが、両
国の間で歴史の共有はそもそも不可能であると思います。ただ、この女性の言う、日本が60年前、北朝鮮に同じことをしたというのは明らかに誤った思い込みであって、彼らの使ういつもの論理のすり替えに他なりません。即ち、現在進行形の国家犯罪である日本人拉致事件と、過去の日朝併合という歴史事象を同列に扱い、日本軍が朝鮮人女性を二十万人も強制連行し、性奴隷にしていたなどという虚偽のプロパガンダと一緒くたにしてしまっているのです。私は、本当に、正しい歴史認識、バランスの取れた歴史教育が必要と改めて思います。
それから、もう一つのシーンですが、北朝鮮がめぐみさんのものだと渡してきた遺骨をDNA鑑定し、それが別人のものだと判明する場面があります。当然、御家族はそれを聞いて大変喜んだわけですが、しかし、映画の最後には、こういうキャプションが流れるのです。
「権威あるイギリスの科学誌が遺骨は汚染されている可能性があるとして、DNA鑑定結果の不確実性を指摘」
このキャプションは、正に、遺骨はめぐみさんの可能性がある、めぐみさんは北朝鮮が云うように死亡しているかもしれないという示唆を見る者に与えてしまう気がします。私自身はこの部分に極めて違和感を抱いてしまうのです。
とは言え、知事がおっしゃるように、拉致問題を知る上で、非常に見る価値の高いドキュメンタリー映画だとは思います。以上を踏まえ、知事に伺います。知事は新たに拉致問題担当理事を設置し、今後
様々な活動を展開なさろうとしていますが、ドキュメンタリー映画「めぐみ‐引き裂かれた家族の30年」を県民に見せることで期待されることは何なのか、また、従来の約25分間の拉致問題啓発アニメ「めぐみ」については今後どのように活用していくのか、知事の見解を伺います。

質問の第四は政府が提出しようとしている新たな人権救済機関の設置等に関する法案についてであります。
現在の民主党政権下において、法務省は、新たな人権救済機関の設置等に関する法案を今通常国会に提出するようであり、1月に就任した小川敏夫法務大臣もこの法案を成立させたいと就任インタビューで答えています。
この法案は、我々言論活動を行っている議員はもとより、県民の皆様にも極めて身近な問題として跳ね返ってくる法律と考えられることから、今回、質問をさせていただきたいと思います。
嘗て、人権擁護法案として議論されていたものが、当時、批判の強かったメディア規制の条項が除外されるなど、若干修正され姿を変えて出てきたのが今回の法案だと言えますが、昨年、新たに法務省が発表した法案の概要を読んでみても、やはり極めて妥当性・必要性に疑念を抱かざるを得ない代物だと私は思います。
まず、概要の中では、一番大事な「人権侵害の定義」を「司法手続きにおいても違法と評価される行為」としていますが、裁判官でもない人権委員なるものが「違法である」と明確に判断を下すことなど土台不可能であり、恣意的な法的解釈が運用される可能性が多分にあります。また、実際に、現行の人権救済制度や司法手続きでさえ対処できない「違法な行為」などほとんど無いに等しく、「児童虐待防止法」「配偶者暴力防止法」等、既存の種々ある個別法の改正や新設で十分対応できるはずであります。さらには、国家行政組織法3条2項に規定された、法務大臣の指揮監督を受けない、独立性と強い権限を持ちうる、いわゆる3条委員会を、人権委員会として法務省の外局に設置する財政的余裕も、今の日本には無いはずだと思うのです。
ましてや、もし現行制度で対処できない「違法な行為」や「差別助長行為」が日本で多発しているというのであれば、どのような事例があるのか、年間何件発生しているのか、国民・県民に説明責任を果たすべきであります。
私は、本日、国旗国歌、朝鮮学校補助金や拉致問題等についてこれまで縷々質問してまいりましたが、もし、この法案が成立してしまった後なら、私自身が誰かから人権侵害だと告発を受ける可能性が十分あることも否定できない事実なのであります。
私は、「人権侵害の救済」の美名の下に、逆に相手方の人権が蹂躙される恐れがあり、差別的言動の取締りを理由に、言論の自由が危険にさらされる、そんな独裁国家の秘密警察の如き機関は、今の日本に必要ないと考えます。
そこで、以上を踏まえ、今国会に提出されようとしている「新たな人権救済機関の設置等に関する法案」について、知事はどのようにお考えになっているのか、見解を伺います。

質問の第五は「コドモ」という言葉の漢字かな交じりの表記についてであります。
最近、「子ども手当」に代表されるように、行政が使う言葉において、「コドモ」の「子」を漢字にし、「ども」を平仮名にした「子ども」表記が非常に目につくように感じます。私自身は、以前から、漢字2文字の「子供」表記をこれまで頑固に使ってきましたが、数年前から、東京都の教育庁においても、方針として、漢字かな交じりの「子ども」と表記していた用語を、漢字2文字の「子供」へと改めているようであります。さて、漢字かな交じりの「子ども」表記が広がった理由としては、幾つかの説があると言われております。一つは、漢字2文字の「子供」の「供」は、お供の「供」で、家来や子分を連想させ、親の所有物といった解釈となって、子供の差別にあたる、と左翼系の女性が主張し始め、その表記が広がったというもの。二つ目は、「子供」の「供」は、供養という字の「供」と同じで、「供養=死」というのでは可哀そうだと人権団体や学校現場等で言われ始め、誤解や批判を避けたい教師側の自主規制から広がった、という説であります。その他、見た目の語感が柔らかいからとの意見もあるようですが、実際、文化庁は、この「コドモ」表記問題について、「子供」の「供」は「おともの意味ではない」「公用文における漢字使用の目安である「常用漢字表」の文字であり、漢字2文字の「子供」の表記が望ましい」と、見解を述べています。
私の感覚でいえば、ひらがなで「ども」といえば、「野郎ども」「馬鹿ども」といった少々下卑た複数形のニュアンスを抱くのですが、いずれにしろ、漢字と仮名の交ぜ書きの「子ども」表記は日本語として美しくないように思うのであります。
私は、行政が使う言葉は、社会の規範的な役割を有するだけに、漢字かな交じりの「子ども」表記を、最近の流行りだという理由だけで、安易に多用するのはいかがなものかと思いますし、日本語がおかしくなりつつある昨今だけに国語表記に襟を正すべきだと思います。
以上を踏まえ、「コドモ」という言葉の表記について、知事の見解を伺います。

質問の第六はたばこ対策・受動喫煙対策についてであります。
私は平成15年に県議会議員に選出していただいて以来、ほぼ毎年のように、本会議や予算委員会等において、タバコ・喫煙関連の質問を、県民の健康増進やがん対策、青少年対策の観点から行ってきました。必然的に、様々なご意見を皆様からいただきましたが、議員提案条例として平成20年4月1日に施行された「神奈川県がん克服条例」の中にも、第4条「県民の責務」、第5条「がんの予防及び早期発見の推進」の項に喫煙に関する記述が出てきますし、また、県の「がんへの挑戦10か年戦略」においても、たばこ対策の推進が県の政策の中で明確に位置づけられるなど、それらは今も重要な視点だと私は考えます。
さて、御承知のように、受動喫煙の防止を目的とする全国初の「神奈川県公共的施設における受動喫煙防止条例」が平成22年4月1日施行され2年近くが経過しようとしていますが、施行後1年の平成23年3月末までに、学校や病院、官公庁、商店などの施設では約99%が禁煙に対応し、規制による客の減少が懸念されていた飲食店などでも、努力義務となっている小規模施設を除き、約80%が禁煙または分煙としており、順調な滑り出しを見せているように思います。
受動喫煙防止条例は、神奈川から発進された全国初の条例として、国や他の地方自治体に少なからず影響を与え、現在、兵庫県でも同様な条例が議論されているようですが、歴史をひも解いてみますと、そもそも日本で初めてタバコを規制する政策を打ち出したのは江戸幕府の2代将軍、徳川秀忠でありました。
1570年頃、南蛮船によりタバコが日本に伝来し、医学知識の無い当時は薬として扱われたこともあったようですが、タバコによる不審火や火事が度々あったこと、また、長いキセルを腰に下げて乱暴狼藉を働く「かぶき者」を統制するため、秀忠は1607年(慶長12年)禁煙令を出しました。それ以降、一時期、徳川吉宗が禁煙令を解除し開墾による葉たばこ生産を奨励したことはありましたが、大政奉還に至るまで、幕府は一貫して禁煙令を発令・継続してきたのであります。また、江戸時代、貝原益軒が「養生訓」の中で喫煙の害を既に説いてもいましたが、その依存性の強さから、今の世に至るまで、結局、喫煙者が無くなることはなかったのであります。
さて、1月28日の新聞報道によれば、日本人の死亡原因を色々な危険因子によって比較した場合、何とタバコが年間約12万9千人で1位、高血圧が約10万4千人で2位、以下、3位・運動不足、4位・高血糖という調査結果が発表されました。これは東京大や大阪大の分析から出された結果ですが、日本が長寿国の座を維持するには効果的な禁煙対策が必要であることがわかります。
また、国立がん研究センターは、「受動喫煙による肺がんと虚血性心疾患の死亡数が年間6,800人」であるという推計結果を発表しましたが、それは、例えば、子宮頸がんによる死亡者数2,500人と比較しても決して無視できない数字であると私は思います。
そこで以上を踏まえ、知事に伺います。
私は、例えば、がん対策ならば、まず、がんにならないにはどうすれば良いかということ、即ち如何なる病気でも予防という概念が非常に大事だと思いますし、ましてや、自分以外の人間に対して病気を誘発する原因を作ってしまう事は看過できない行為だと思うのですが、知事は、今後の神奈川県のたばこ対策・受動喫煙対策についてどういう方針で臨まれていくつもりなのか、見解を伺います。

以上を持ちまして、私の第1回目の質問を終わります。

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