NO.42 デジタル教科書について

 本年6月、デジタル教科書を紙と同様の正式な「教科書」として位置付ける「学校教育法等の一部を改正する法律案」が国会で可決・成立した。
 その背景として、世界的なICT化の進展、GIGAスクール構想によるパソコンやタブレットの一人一台ずつの端末配布等があるが、このままデジタル化へ突き進むことが本当に良いのだろうかという疑問が常に私にはあった。
 実は、去る7月の読売新聞のインタビュー記事で、デジタル教育先進国であるノルウェーの教育相が「私たちが犯した過ちを繰り返さないように」として次のように述べている。
 「デジタル化の推進によって、OECDのPISA(15歳を対象とした国際学習到達度調査)における読解力や数学的応用力、科学的応用力の成績が下がり、過去最低となった。デジタル化による学習成果や意欲の低下、いじめや不登校の増加が見られた」
 同様に、スウェーデンも学校教育のデジタル化を見直し、紙の教科書や手書き学習へと既に舵を切っている。こちらも、PISAのスコアの急激な低下があり、行き過ぎたデジタル化が深い思考や読解力を妨げているという懸念からである。
 皮肉なことに、直近のPISAで、OECD先進国38カ国において日本が全3分野(読解力、数学、科学)で初めてトップに立った。それ自体は本当に嬉しく感じるが、この日本の教育レベルを今後も維持するためには、ノルウェーやスウェーデンを他山の石としながら、紙媒体とデジタルと年齢のバランスを十分配慮した教育を行っていく必要があるのではないか。
 私の時代は「読み書きそろばん」であったが、より深い思考のためにも、神奈川の子供達には紙の教科書をたくさん使ってもらいたい。