一般質問・代表質問

2019年2月18日 自民党代表質問

私は自由民主党神奈川県議団を代表し、通告に従い、順次質問いたします。知事並びに教育長、警察本部長におかれましては、明快なご答弁を、また、先輩、同僚議員の皆様にはしばらくの間、ご清聴のほどよろしくお願いいたします。

質問の第1は「知事の政治姿勢について」であります。

初めに、間もなく2期目の任期の終わりを迎えようとしている「知事の2期8年間の任期を振り返っての総括と今後の決意について」伺います。

平成23年、未曽有の大災害となった東日本大震災の直後の混乱の中、立候補され、知事になられてから早くも8年が経過しようとしています。

黒岩知事におかれては、1期目において、過度に原発に依存しないエネルギーの確保の観点から、太陽光発電を初めとした再生可能エネルギーの導入に取り組むとともに、神奈川発のヘルスケア・ニューフロンティア政策、さらにはさがみロボット産業特区や国家戦略特区の指定を受け、成長戦略の基盤づくりに取り組んできました。

そして、2期目では、成長戦略の具体化を図るとともに、1期目から引き続き未病コンセプトの普及に取り組んできたほか、「人生100歳時代」の提唱や、共生社会の実現に向けた取組などを進めてきました。また、来年に迫った東京2020大会セーリング競技の江ノ島への誘致や、知事が一貫して掲げてきた「いのち輝く神奈川」と軌を一にするSDGsの推進にも取り組んでいるものと認識しております。

一方、未病コンセプトの普及や共生社会の実現に向けた取組の成果を県民に実感していただき、成長戦略を目に見える形にするには、より一層の努力が必要と考えます。

さらに今後に目を向けると、超高齢社会のさらなる加速や情報通信技術の進展、経済のグローバル化など、時代の流れは、より一層スピード感を増しており、こうした潮流をどう乗り越えるかが、今後の課題と認識しています。

これまでの2期8年間の取組をしっかりと結実させ、県民にその効果を実感していただくためには、知事は今後の県政運営について、その責任から逃れるべきではありません。過日の知事選挙への出馬表明は、こうした重責への挑戦を真正面から受け止めようという強い意気込みを現したものと受け止めています。

そこで、知事に伺います。

これまでの任期を自らどう総括しているのか、また、今後の県政運営に向け、どのような決意を持って臨まれるのか、併せて伺います。

に、「「かながわグランドデザイン第2期実施計画」の成果について」伺います。

県では、4年前の平成27年7月に、県政運営の総合的・基本的指針を示す総合計画「かながわグランドデザイン第2期実施計画」を策定しました。

「第2期実施計画」は、超高齢社会への備えや、東日本大震災の教訓を生かした防災対策の強化などに取り組んだ「第1期実施計画」を踏襲しつつ、人口構造の変化、グローバル化、ICT化の進展など、神奈川を取り巻く社会環境の変化を踏まえ、策定されたと承知しています。

そして、計画のつくりも、「第1期実施計画」から進化し、「経済のエンジンによる活力あふれる神奈川」など、5つの分野について、「めざすべき4年後の姿」が明らかにされ、この5つの分野に沿って、重点政策を分野横断的にとりまとめた「プロジェクト」が示されました。

さらに、超高齢社会や人口減少社会への対応など、非常に大きな課題を乗り越えるため、プロジェクトを複合的に実施する、「神奈川の戦略」が示され、「ヘルスケア・ニューフロンティアの推進」や「ロボットと共生する社会の実現」など、5つの戦略が示されました。

計画の推進にあたっては、毎年度、評価報告書が示され、事業の実施状況や数値目標の達成状況などが示されてきましたが、計画期間の最終年度にあたっては、4年間の取組を通じて、どのようなことが実現したのか、明らかにする必要があると考えます。

そこで、知事に伺います。

県の総合計画である「かながわグランドデザイン 第2期実施計画」に基づく、これまでの4年間の取組について、具体的にどのような成果があり、現時点でどのように総括しているのか、見解を伺います。

次に、「県税収入の見込みと当初予算編成の考え方について」伺います。

1月の月例経済報告では、景気の総括判断を、「景気は、緩やかに回復している。」と据え置き、平成24年12月から始まった景気回復の期間が、「戦後最長になったとみられる。」と表明されています。

県内に目を向けると、12月の日本銀行横浜支店の企業短期経済観測調査(短観)で、企業の景況感を示す業況判断指数は、全産業ベースでプラス18と、9月調査からやや低下したものの、「足元の水準そのものは金融危機前のピーク並みの良好な水準を維持している。」とされたところです。

また、先行きについて、政府では、雇用・所得環境の改善が続く中で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待されるが、通商問題の動向が世界経済に与える影響や、海外経済の不確実性、金融資本市場の変動の影響に留意する必要がある、としています。

こうした中で編成された平成31年度当初予算は、一般会計の総額が1兆8,299億円、前年度との対比では99.8%となり、ほぼ前年度と同規模となっていますが、編成過程を見ると、600億円の財源不足からスタートするなど、引き続き厳しい財政運営が続いています。

また、平成31年度の当初予算は、骨格予算としての編成であることから、義務的経費を中心とした予算となっていますが、県民生活に配慮すべき施策や、政策的な継続性を重視する施策を着実に推進していくことは、大変重要なことと考えています。

そこで、知事に伺います。

平成31年度の県税収入について、30年度当初予算額を44億円上回る1兆1,853億円を当初予算案に計上していますが、どのように県税収入を見込んだのか伺います。

また、知事2期目の任期最後の予算について、どのような考え方で編成されたのか、併せて見解を伺います。

次に、「ヘルスケア・ニューフロンティアに関するこれまでの総括と今後の取組について」伺います。

知事は、平成25年に、重点政策として「ヘルスケア・ニューフロンティア」を提唱し、超高齢社会を乗り越えるため、県民の健康寿命の延伸と新たな産業創出を目指した取組を進めてきました。

これまで、わが会派からは、政策の推進にあたって、県民にとっての「わかりやすさ」や理解促進の重要性、そして政策による具体的なメリットや成果をできるだけ早く県民に届けることを訴えてきました。

また、県が積極的に役割を果たすことや、市町村や企業と連携して進めていくことの必要性を強調してきました。

こうした提言を受けて、県では、具体的な数値目標などを盛り込んだ「ヘルスケア・ニューフロンティア推進プラン」を策定し、政策の全体像や方向性を明らかにするとともに、「未病」「最先端医療」などの柱に沿った具体的な取組を進めてきました。

これにより、未病に関する認知度の向上や、最先端医療に関する産業集積が進むなど、徐々に取組の成果が出ていると認識しています。

一方、特に、この政策が目指している「健康寿命の延伸」は、県民誰もが自分にかかわることであり、そして、誰もが願うことであります。

その実現に向けた取組が、今後も進められていくことと思いますが、そうした中においては、これまで以上に県民にわかりやすく訴えていくことが必要となります。

そのためにも、これまでの取組を検証した上で今後、課題に対して、どう取り組んでいくのかということを明確に示していく必要があると考えます。

そこで、知事に伺います。

知事の2期目の任期という一つの区切りを迎えるにあたって、知事の政策の中心として進めてきたヘルスケア・ニューフロンティアの成果について、どのように認識しているのか、また、今後、どう取り組んでいこうと考えているのか、併せて見解を伺います。

次に、「エネルギー政策に関するこれまでの総括と今後の取組について」伺います。

平成23年3月に東日本大震災が発生し、電力需給が逼迫する中、同年4月に就任した知事は、エネルギー政策を最重要施策と位置付け、9月に「かながわスマートエネルギー構想」を提唱し、また、平成26年4月には「かながわスマートエネルギー計画」を策定して、再生可能エネルギーの導入拡大に取り組み、創エネ、省エネ、蓄エネの取組を総合的に進めてきました。

再生可能エネルギーのうち、特に太陽光発電については、これまで、住宅用太陽光発電設備等への支援や、国の基金を活用した、公民館などの避難所等への太陽光発電設備等の設置の支援、全国に先駆けて県有施設の「屋根貸し」を実施するなど、様々な取組を実施してきたことは承知しています。

しかしながら、「かながわスマートエネルギー計画」で設定した、二つの数値目標のうち、「県内の年間電力消費量に対する分散型電源による発電量の割合」については、中間目標年度である平成32年度には25%を、最終目標年度である平成42年度には45%を目指すという高い目標を掲げていますが、平成28年度の実績は13.5%と、大変厳しい状況にあります。

一方、国では、昨年7月に「第5次エネルギー基本計画」を閣議決定し、その中で再生可能エネルギーを「主力電源化」としていく方針が、はじめて位置付けられたことから、県でも再生可能エネルギーの更なる導入拡大に向け、着実に取り組む必要があります。

また、今年度は知事の任期の最終年度であり、これまで取り組んできた県のエネルギー政策を総括するとともに、今後の方向性を示していく必要があると考えます。

そこで、知事に伺います。

これまで進めてきたエネルギー政策について、どのように総括しているのか、また、今後どのように取り組んでいくのか、併せて見解を伺います。

次に、「スーパーシティ構想について」伺います。

県全域が指定された国家戦略特区の指定から4年が経過しました。本県においても、これまで外国人の家事支援人材の活用や地域限定保育士の実現など、県民生活の向上や経済のエンジンを回すことに寄与してきたことは承知しています。今後も、新たな規制改革の提案や事業の実施が進むよう、引き続きしっかりと取り組んでいただきたいと思います。

そうした中、「特区の新たなチャレンジ」として、昨年10月に安倍総理が議長を務める国家戦略特区諮問会議でAI(エーアイ)やビッグデータを活用した第四次産業革命を先行的に体現し、革新的な暮らしやすさを実現する最先端都市「スーパーシティ」構想が提唱されました。

以降、片山内閣府特命担当大臣のもと「スーパーシティ」構想の実現に向けた有識者懇談会で、構想の骨格や制度面の検討が進められてきましたが、「住民の参画」や「エリア内独自の規制の設定」また「ハード面、ソフト面のインフラの整備」といった点で、県民生活にも影響を及ぼすことから、わが会派としてもその動向は注視してきたところであります。

また、この構想を所管する担当大臣が、国の自治体SDGsモデル事業に選定された本県のプロジェクトの実証場所である藤沢サスティナブル・スマートタウンを、昨年12月に視察されました。この視察の中で神奈川県が、スーパーシティの有力な候補地の一つになるとの認識を示したと報道されています。そして何より、知事がこの構想の本県での実現に対して、大変意欲的であると報道されています。

現在、有識者懇談会の最終とりまとめが進められており、今後、具体の制度整備や候補地の公募・選定が進められていくものと承知しています。

そこで、知事に伺います。

この「スーパーシティ」構想について、県としてどのように捉え、対応していこうと考えているのか、見解を伺います。

質問の第2は、「県民の安全・安心を守る取組について」であります。

まず、「拉致問題について」伺います。

昭和52年(1977年)11月15日、新潟県で、横田めぐみさんが北朝鮮工作員に拉致されて、既に41年以上が経過してしまいました。また、平成14年(2002年)9月、日朝首脳会談で北朝鮮の金正日が日本人拉致を初めて認め、その翌月、被害者5名が帰国して以降、今日まで、誰一人として日本の土を踏めていないというのが現実であります。

私は、同じ日本人として、現在も極寒の北朝鮮の地で我々の助けを待っている数百名とも言われる拉致被害者の皆さんを救うことができない悔しさを噛みしめています。

そして、戦後、日本憲法のおかげで、憲法9条のおかげで、日本の平和は守られてきた、憲法守れ!憲法改正反対!という人たちの声を聞くたびに、私はやりきれない思いがするのであります。戦後、日本は決して平和ではなかった、しかもその憲法の足かせのせいで拉致被害者を奪還に行くこともできないのだと、私は思うのであります。

さて、現在、神奈川県議会には超党派で「北朝鮮に拉致された日本人を救う神奈川県議会有志の会」があり、同時に、全国の都道府県の拉致議連で組織する全国協議会の幹事県を神奈川県が担っており、松田良昭議員が会長を兼務しております。また、昨年から、黒岩知事が「北朝鮮による拉致被害者を救出する知事の会」の会長になられ、我が県選出の菅官房長官が拉致担当大臣を兼務されております。正に、今、神奈川県が日本人拉致被害者救出に向けてリーダーシップをとらなくてはならないものと私は思います。

そんな中、先日、北九州市で開催された日教組の教研集会の中で、DVD「めぐみ」を使っての拉致問題の学習が、在日コリアンの生徒を傷つけ、朝鮮人に対する憎悪を助長する恐れがあるという批判的な発表があったとの報道がありました。確かにその可能性がゼロとは言いませんが、日本人が受けている深刻な人権侵害を教えることに何の問題もないと私は思います。

神奈川県も、これまで、拉致問題対策本部や文科省を通じ、DVD「めぐみ」が各学校に配布され、授業での活用を促してきており、実際、活用されてきたものと思いますが、今後さらに、このDVDの活用を進めていくべきだと私は思います。

そこで、知事に伺います。

なかなか拉致問題の解決が見えず、拉致被害者のご家族が高齢化されていく中で、DVD「めぐみ」の更なる活用を含め、県として拉致問題にどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。

次に、「介護人材の確保について」伺います。

急速に高齢化が進む本県において、県民一人ひとりが、必要な介護サービスを受けられるように、介護人材を確保していくことは喫緊の課題であります。昨今、様々な産業において人手不足感が強まっている中、平成30年11月の介護サービス業の有効求人倍率は4.28倍となっており、介護分野での人材確保が今後一段と厳しくなることが想定されます。

そんな中、国では、外国人介護人材を確保するため、平成29年9月からは留学生が介護福祉士を取得した際に「介護」の在留資格を認めるようにし、さらに4月からは、新たな在留資格の運用を施行する予定になっております。

少子高齢社会が進展し、生産年齢人口が減少していく中で人材を確保するためには、介護の職場への就労支援と、就労した方の離職を少なくしていくことの2つの視点が重要だと考えます。

これまで、神奈川県は「かながわ感動介護大賞」「かながわベスト介護セレクト20」等の政策を実施してきていますが、特に「かながわベスト介護セレクト20」は全国的にも稀有な制度として私は評価しているものです。

この制度は、県内の約8,000の介護サービス事業所を対象として、介護サービスの質の向上や人材育成、処遇改善に顕著な成果を挙げた事業所を表彰する制度であります。そして、セレクト20に選定された事業所には、何と奨励金100万円が交付されるのであります。

このセレクト20に選ばれることは事業所や職員のプライドにもつながることであり、最近では、受賞した施設の職員を講師に、どうすればセレクト20に選ばれるのかという勉強会も実施され始めています。県内の事業所間で、実に良い循環が生まれているように思います。

しかし、介護における人材不足は年々深刻化しており、介護サービス事業者からは、これ以上、介護保険施設の建設を増やさないでほしいという声があるのも現実であります。いずれにしろ、本県においても、これまで以上に介護人材の確保と定着の取組を強化する必要があります。

そこで、知事に伺います。

今後、不足が見込まれる介護人材の確保と定着に向けて、どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。

次に、「水道法の改正を踏まえた対応について」2点伺います。

1点目は「水道の広域連携の推進について」であります。

我が国の水道は、97.9%の普及率を達成し、これまでの水道の拡張整備を前提とした時代から、既存の水道の基盤を確固たるものにすることが求められる時代に変化してきています。

しかし、人口減少に伴う水需要の減少、水道施設の老朽化、深刻化する人材不足などの多くの課題に直面しています。

これらの課題を解決し、将来にわたり安全な水の安定供給を維持していくため、水道の基盤強化を図ることを目的として、昨年12月に水道法が改正されました。

今回の法改正の最大のポイントは、国、都道府県、市町村といった関係者の責務を明確化し、施設や経営の効率化・基盤強化を図るため広域連携を推進していくことだと考えています。

本県においては、以前から相模川及び酒匂川の水資源開発を計画的に行ってきており、水源の確保と水道整備に努めてきたことや、地下水の豊かな地域も多いことから、現在は安定的に水道水が県民等に供給されている状況にあります。

しかしながら、今後本格的に到来する人口減少社会において見込まれる様々な課題にも対応し、将来にわたって安全な水を安定的に供給していくためには、本県においても着実に水道の基盤強化を進めていく必要があると考えます。

特に、中小規模の水道事業者が集中している県西地域においては、職員数減少による技術力不足や老朽化した施設の更新需要の増大などの課題が顕著であり、基盤強化のためには広域自治体である県のリーダーシップが必要と考えます。

そこで、知事に伺います。

今回の法改正を受け、県西地域2市8町の水道事業の基盤強化について、県としてどのように対応していこうと考えているのか、見解を伺います。

2点目は、「県営水道の今後の運営について」であります。

今回の法改正では、基盤強化の手法として、水道事業を民間事業者が運営するいわゆる「コンセッション方式」が新たな仕組みとして導入されました。このコンセッション方式は、民間のノウハウによる経営の効率化などが期待されている一方で、安全・安心な水の供給や災害時対応に不安があるといった指摘もされています。

企業庁が運営する県営水道は、現在、12市6町、282万人に安全で良質な水を供給し、県民生活の安全・安心に大きく貢献しています。しかし、今後、給水人口の減少が見込まれる中で、水道管路の年間更新率は低い水準にとどまっているなどの課題を抱えており、管路の老朽化対策、耐震化などを着実に進めていくためには、しっかりと経営基盤を強化していく必要があります。

そこで、県営水道の設置者である知事に伺います。

県営水道の基盤強化が求められている中で、コンセッション方式の導入を含めて、今後の県営水道の運営のあり方についてどのように考えているのか、見解を伺います。

次に、「県警察の組織体制の強化について」伺います。

本県の治安情勢を見ますと、ここ数年来、刑法犯認知件数は減少傾向で推移し、数値上では一定の治安対策の効果が認められるところであります。

しかしながら、県民の身近で発生する犯罪、特に高齢者を狙った特殊詐欺事件や、女性や子どもが被害者となりやすいストーカー、DV、児童虐待事案などへの対応の重要性は高まり、引き続き治安の向上に向けた官民一体の取組を進めていかなければなりません。

また本年、県内におきましては、「ラグビーワールドカップ」や「アフリカ開発会議」が開催されるほか、来年には「東京2020オリンピック・パラリンピック」の開催を控えるなど、世界的にも注目を集める大規模行事がこの「神奈川」で連続して予定されております。

このような大規模行事が本県で行われますことは、現在、そして将来の県の発展、活性化のため、大いに歓迎すべきものでありますが、これは、この神奈川県の「安全」の信頼と実績があるからこそ、あらゆる大規模行事の開催が計画されるものと考えます。

しかし、国際テロ情勢に目を向けますと、現実的に世界各国で多数敢行され続けており、現下の情勢では、大規模行事がその標的となる可能性は充分にあると言わざるを得えません。

これまで多くの大規模警備を成功させてきた本県ではありますが、昨今では、国境も関係なく攻撃可能なサイバー空間におけるテロ行為が新たな脅威に加わるなど、あらゆる対策が必要と考えるところです。         

このような中、県警察の皆様が、現場で懸命に対応され、日々県民に尽くされておりますことは、誠に感謝しているところではありますが、これら山積する治安課題へ的確に対処するには、県、県議会、県民が一丸となることは勿論、その治安対策の中心となる県警察の更なる基盤整備が重要と考えます。

そこで、警察本部長に伺います。

現下の治安情勢に的確に対応し、県民の安全、安心を守り抜くため、県警察の組織体制の強化について、今後の方針を伺います。

次に、「大規模行事に向けたテロ対策について」伺います。

先程の質問でも申し上げたとおり、今年から来年にかけて県内においては、世界的に注目を集める大規模行事の開催が目白押しであります。

これらの行事は、神奈川の魅力を全世界に発信する絶好の機会であるとともに、開催県のひとつとして良好な治安を確保し、県民の皆様や世界中から集まる方々に安全・安心を確保、提供することは、県政の重要な使命であると考えます。

とりわけ、神奈川の治安を担う県警察においては、これら大規模行事に伴う警備に万全を期すため、昨年、専門部署として「オリンピック・パラリンピック対策課」を新設したほか、警察本部警備課内に「2019警備対策室」を設置して組織体制の強化を図り、オリンピック・パラリンピック等に向けた総合対策の推進を重点目標に掲げ、テロ対策を始めとする警備諸対策に取り組んでいると承知しております。

そのような中、国外では多くの市民や観光客等が集まる場所で、車やナイフなどを凶器として使用したテロ事件が発生し、多数の犠牲者が出ています。

また、国内では、今年の元日、都内の原宿竹下通りにおいて発生した車両暴走事案のような無差別に市民を狙った事案も発生しています。

この種の事案を未然に防止するためには、官民が連携し、テロが起きにくい地域社会の実現に努めるとともに、県警察においては、既存のマンパワーと装備に加え、新たな資機材の整備も必要であると思います。

例えば、防犯カメラは重要な治安インフラとして欠かせないものとなっており、平成30年度の県民ニーズ調査結果においても、防犯カメラ等の整備に県民の期待が集まっていることなどからも、テロ等違法行為の未然防止に極めて有効であると考えます。

そこで、警察本部長に伺います。

東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会を始めとする一連の大規模行事に向けたテロ対策、それに併せた、装備資機材の整備について伺います。

質問の第3は、「ともに生きる社会かながわの実現に向けた取組について」であります。

まず、「人権問題について」伺います。

人権とは西欧社会の近代化の中で育まれた考え方であり、人種や民族、性別を超えて誰にでも認められる権利であり、私たちが幸せに生きるためのものであります。

そして、日本国憲法第11条において、基本的人権は保障され、侵すことのできない永久の権利として認められています。それ故、私たちは憲法の精神に則り、率先して人権侵害を無くさなければならないのは当然のことです。従って、人種差別、民族差別、最近ではLGBT等性的マイノリティーに対する差別も議論を呼んでいますが、人権侵害を無くすことは我々政治家の責務でもあると考えます。

ここで、近現代の日本における人権に関係する出来事について振り返りますと、明治5年、横浜港に停泊中のペルー船籍・マリア・ルス号内にいた清国人苦力(クーリー)231名が奴隷貿易の被害者であるとして、日本政府が当時の神奈川県と協力し解放した事件がありました。これは日本が国際裁判の当事者となった初めての事例でありましたが、日本は飽くまで人道主義を貫き、清国の民の人権を守ったわけです。

また、今からちょうど100年前の1919年2月13日、第一次世界大戦後のパリ講和会議における国際連盟規約を草案する委員会において、日本は人種差別の撤廃が規約に盛り込まれるよう提案をしました。人類の歴史上、国際会議において、人種差別の撤廃を訴えたのは日本が初めてであったことを私たちは誇りに思うべきだと思います。結局、米英などの反対に遭い、撤廃は実現しませんでしたが、その後の歴史に大きな影響を与えた画期的な提案でありました。

一方、日本人が人権侵害を受けた最たるものは、前述した北朝鮮による日本人拉致事件であり、拉致被害者の方々は北朝鮮で今も深刻な人権侵害を受けているのであります。

同様に、現在進行中の世界で最も深刻な人権侵害は、中国共産党によるウィグル人弾圧であると思います。中国は、ナチスのような強制収容所をあちこちに建設し、「再教育」という名の下、100万人とも言われるウィグル人を収容所に収監していると言われております。私は、現在、日本ウィグル地方議員連盟会長という立場にあり、日本在住の多くのウィグル人から救出のための署名もいただいていますが、従軍慰安婦20万人強制連行や南京大虐殺30万人という政治プロパガンダよりも、現在進行形の深刻な人権侵害を日本のメディアはもっと報道すべきでありますし、学校現場でも教えるべきであります。それが人権侵害のない世界を構築する基礎になるのではないかと私は思います。

また、LGBTに関連することですが、かつて、マザーテレサは第4回国連世界女性会議に送ったメッセージにおいて、次のように述べています。

私には、なぜ男性と女性はまったく同じだと主張し、男女のすばらしい違いを否定しようとする人々があるのか理解できません。」

「神の愛の一つの形が女性の愛で表され、別の形が男性の愛で表されています。どちらも愛するために造られていながら、それぞれの愛し方は個性が違い、「男性と女性は互いを補い合って完成されるもの」であり、神の愛を体現するには、どちらか一方よりも両方揃った方が、より神の愛に近づくことが出来るのです。」

また、現在のローマカトリックのフランシスコ法王は、同性愛を深刻な問題と捉えており、私たちの社会では、同性愛が最新の流行であるかのように見え、そうした精神は何らかの形で教会の生活にも影響を及ぼすと懸念を示しています。

果たしてこれらの発言は、昨今のLGBT等性的マイノリティーの方々への差別発言となるのでしょうか?それとも、ローマ教皇を始め、宗教者の発言はバッシングの例外になるのでしょうか。

私は、誰かが「人権」という言葉の武器を使って、他の誰かを徹底的に叩いているようにみえる現状を憂いている者の一人です。全てに寛容な精神こそ大事ではないかと私は思うのであります。

そこで、知事に伺います。

多様性が尊重され、誰もが自分らしく生き生きと暮らしていける社会の実現に向けて、人権施策を先進的に取り組んできた本県として、どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。

次に、「障がい者雇用状況の報告誤りへの対応について」2点伺います。

1点目は「県の再発防止策及び雇用促進策について」であります。

昨年8月に、いわゆる障害者雇用促進法に基づく平成29年6月1日現在の知事部局及び教育委員会における障がい者の雇用状況について、厚生労働省の定めるガイドラインに則った確認をしていないものを含めていたことが判明しました。

また、県警本部においても、本来一般職員のみで計算する雇用割合に、警察官を含めて計算したことにより、誤った障がい者雇用率を報告していました。

県は、共生社会を推進し、障がい者雇用の旗振り役となるべきであるにもかかわらず、法定雇用率の算定に当たり不適切な取扱いが行われていたことは、誠に遺憾であり、県職員自らが、「ともに生きる社会かながわ憲章」の理念の認識不足と言わざるを得ません。

このことについては、昨年の第三回定例会9月の我が会派の代表質問で、知事の認識などを質問したが、知事からは、庁内の組織で徹底的な原因究明を行ったうえで、具体的な再発防止策や障がい者雇用の促進策を検討していき、その結果を第三者による検討組織に諮り、専門的な見地から助言や指導をいただくことで、実効性を確保していくとの答弁でありました。

これまでの間、内部の検討組織と第三者による検証組織の2本立てで検討していることは承知しており、2月上旬には、第三者による検証組織が、障がいをお持ちの当事者や関係団体などに対してヒアリングを実施したとも聞いています。

この第三者による検証組織では、3月までに報告がまとまるとのことであり、その結果、実効性のある障がい者雇用促進策が実施できればと願っています。

私は、「ともに生きる社会かながわ憲章」を推進すべき立場の県であるからこそ、このような報告誤りは二度とあってはなりませんし、今後は、障がい者の就労機会を一層拡大して、生き生きと働ける環境を整備していく必要があると考えます。

そこで、知事に伺います。

今後、二度と障がい者雇用状況の報告誤りが行われないよう再発防止に取り組むとともに、障がい者雇用の一層の促進に取り組む知事の決意について改めて伺います。

2点目は、「教育委員会の再発防止策及び雇用促進策について」伺います。

教育委員会において、昨年8月、「障害者の雇用の促進等に関する法律」に基づく障がい者雇用状況について、厚生労働省の「プライバシーに配慮した障害者の把握・確認ガイドライン」に則らない不適切な報告をしていたことが判明し、平成30年6月1日現在の障がい者の任免状況等の再点検を実施した結果、法定雇用率を下回っている状況が明らかになりました。

県は「ともに生きる社会かながわ憲章」を掲げており、県民に対し、まさに率先垂範する立場です。さらに、教育委員会においては障がいのある生徒の就労を支援し、また、インクルーシブ教育を推進していく立場です。そうした立場にありながら、不適正な計上を行っていたことに加え、再点検の結果、法定雇用率を下回る事態となったことは、県民からの信頼を大きく損なうものであり、重く受け止める必要があります。

その原因については、人事所管課において、ガイドラインへの認識不足、毎年の国の通知の解釈、前例の踏襲に加え、法定雇用率へのプレッシャーなどにあることが我が会派の質疑等を通して明らかとなりました。そうした認識の上で再発防止にしっかりと取り組んでいかなければなりません。

また、再点検後の障がい者雇用率は、知事部局が2.98%であるのに対し、教育委員会は、1.53%となっており、障がい者雇用率の低下がとりわけ顕著であるとともに、法定雇用率である2.4%を大きく下回っている状況であり、早急に障がい者雇用の促進を図らなければならないことは、論じるまでもなく明白なことであります。

しかしながら、教育委員会においては、免許資格職である教員が大多数を占めており、短期間での障がい者雇用率を大幅に改善することは困難であるという制度的課題があることは十分承知しています。また、「障害者の雇用の促進等に関する法律」の目的の一つとしては「障がい者の職業安定を図ること」であります。教育委員会において障がい者を受け入れる環境整備がなされていなければ、障がい者の定着を図ることがままならならず、真の障がい者雇用促進にはつながりません。法定雇用率を達成することのみにとらわれ、数あわせのためだけに障がい者を雇用することはあってはならないことであり、障がいのある教職員が働きやすい職場環境を整えていくといったことを大切にして、障がい者雇用に取り組むべきと考えます。

そこで、教育長に伺います。

教育委員会において、今後、障がい者雇用状況報告に関して不適正な計上が行われないよう、どのように再発防止に取り組むのか、また、障がい者雇用促進にあたっての課題認識と今後の取組について併せて伺います。

次に、「いじめ防止に向けた啓発について」伺います。

平成29年度児童・生徒の問題行動等調査によれば、本県におけるいじめの認知件数は、小・中・高・特別支援学校を合わせると2万件近くになり、前年度より5千件以上増加しています。

いじめは決してあってはならず、いじめが原因で重大な事態に至ったとの報道に接すると、学校には子どもたちのサインを見逃さず、いじめを早期に発見して、その解消に向けて迅速に対応することはもちろん、いじめのない環境作りを行っていく必要を強く感じるところです。

学校は、子どもたちが成長する中で、同年代の様々な個性を持つ仲間との交流を通じて社会性を身に付けていく場でもあることから、いじめのない環境を作っていくことは容易ではありませんが、子どもたち自らいじめについて考え、家庭や地域ももっと真剣にいじめに向き合う取組は必要だと考えます。

こうした取組の代表的なものとして「ピンクシャツデー」が挙げられます。

これは、ピンクのシャツを着て登校したカナダの男子高校生がからかわれ、いじめにあったことから、上級生の呼びかけで、その学校の生徒たちがピンクのシャツや小物を身に付けて学校中がピンク色に染まり、いじめは自然になくなったというエピソードから広まったもので、多くの市民がピンクのシャツや装飾品を身につけることで、いじめに反対する意思を示す取組です。

本県でも、今月をピンクシャツデー月間として、様々なイベントやPR活動が行われており、2月27日には、横浜駅東口でのキャンペーンイベントやマリンタワーをピンクにライトアップすることなどが予定されています。

いじめについては、県教育委員会でも様々な取組を行っていると承知しています。例えば、学校が定期的に行うアンケートの促進やSNSを使ったいじめ相談などがありますが、そうした取組とともに、いじめ防止について広く理解してもらう取組を充実していくことも必要です。

そこで、教育長に伺います。

いじめ防止に向けた啓発についてどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。

 質問の第4は、「県政の諸課題について」であります。

 まず、「受動喫煙防止対策等について」伺います。

全国初の「神奈川県公共的施設における受動喫煙防止条例」が施行されて、早、8年が経過しようとしています。この条例の成立過程については、ご承知の方もおられるでしょうが、様々な関係者の大変なご苦労があったわけであります。私自身も、この条例についての基本的考え方が示された当初、面識のない某パチンコ屋の社長から事務所に呼び出されたという思い出もありますが、平成15年の初当選以来、毎年、タバコ関連の質問を県議会で初めて行ってきた者として、受動喫煙防止に関する社会の変化に感慨ひとしおであります。

さて、東京2020オリンピック・パラリンピックを見据え、改正健康増進法がようやく昨年7月に公布されました。この改正法は、3段階で施行されることとされており、まず本年1月24日、国や地方公共団体の責務等を定めた規定が施行されました。そして、第2段階として、本年7月1日に、学校や行政機関など一部の施設に関する規定が施行されることになります。さらに、第3段階として、平成32年(2020年)4月1日に、飲食店などを含むすべての対象施設の規制が施行されることになっております。今回の国の改正法は、ある意味、神奈川県の受動喫煙防止条例より厳しいものになっており、条例の所要の改正が今後行われることになります。

また、こういう全国レベルで受動喫煙防止対策の強化が図られる一方、長年の喫煙が原因とされるCOPD(慢性閉塞性肺疾患)や肺がんなどは、相変わらず死因の上位に位置しており、今後、増加することが懸念されております。従って喫煙者そのものを減らす対策を進めることも、「未病の改善」に資するものであり、重要な課題であると考えます。

以上を踏まえ、知事に伺います。

受動喫煙防止対策等を含めたたばこ対策について、今後、どのように取組を進めていくのか、見解を伺います。

次に、「日本の伝統文化としての武道の魅力の発信について」伺います。

来年はいよいよ東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の年であります。東京2020大会では、セーリングや野球はもちろんのこと、柔道や空手道といった武道競技においても、多くの選手の活躍が期待されている。これを機に、武道の魅力を多くの人に知ってもらい、興味を持ってもらうことで、より武道の発展につながればと期待をしています。

東京2020大会の正式種目である柔道や空手道のみならず、剣道や相撲、少林寺拳法などを含めた武道は、世界が認める日本の伝統文化であり、県内でも各競技連盟が主体となり、様々な取組が盛んに行われています。

また、近年、日本文化への関心の高まりから、諸外国では、武道の魅力に感激してファンになる方も多いと聞いていますが、国内に目を向けると、少子化に伴い、競技人口の減少など進み、各競技の後継者不足が起きているとの声も聞いています。そうした中、昨年10月「武道祭2018」が横浜武道合同演武会とともに開催されました。会場では、柔道や空手道の他、弓道やなぎなた、合気道、銃剣道など9つの演目についての演武やデモンストレーションに加え、国が進める武道ツーリズムの流れを汲んで、武道の体験コーナーも併せて行ったと聞いています。

武道の持つ、大変厳かで、迫力ある魅力を感じていただく一方で、初めての方でも、気軽に武道を体験したり、日本の伝統文化としての武道をわかりやすく知ることができる意義深い取組でありました。

この取組は、2019年は11月に県民ホールで開催される予定であり、さらに2020年も続けていくと聞いており、武道の魅力を大いに発信してほしいと考えます。

また、諸外国から訪れる外国人観戦客の中には、こうした日本の伝統的な武道を見たい、体験したいという方も少なからずいると考えられ、こうした武道に関わるイベントは、武道に対する理解を深め競技人口の拡大にもつながる大変魅力的なコンテンツになり得ると考えています。

そこで、知事に伺います。

東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会などを契機に、武道祭のように日本の伝統文化としての武道の魅力を広く発信し、国内外から訪れる多くの方々に関心を持ってもらうことが重要であると考えますが、見解を伺います。

次に、「メディアの現状について」伺います。

現在、国会では厚労省の「毎月勤労統計」に関する審議が行われていますが、野党が根本厚労大臣の罷免を求め、いわば、統計国会の様相を呈しているように感じます。しかし、つい最近までは、森友学園と加計学園、いわゆるモリカケ問題が国会の中心的議論であったことはご承知の通りです。

2年前から始まった森友学園問題、同様にその3ヶ月後にスタートした加計学園問題、これらはどちらも朝日新聞の報道から全国に拡散されています。そして、テレビのワイドショーでは、連日、醜い印象操作ともいうべき安倍総理や昭恵夫人に関しての画像・映像が垂れ流されていたというのが私の印象です。疑惑に対して、無実ならそれを当事者側が証明しろという「悪魔の証明」が求められてきたわけです。そして、ここ2年間、北朝鮮のミサイル発射や核実験よりもモリカケ問題が国会で優先されてきたことは、正に日本の不幸であったとさえ私は思います。

さて、野党とマスコミから新たなに疑惑が出るたびに、結果としては「疑惑は深まった」という決まり文句だけが虚しく響いてきた、と私は思うわけですが、昨年9月、某月刊誌に、スクープとも言える記事が掲載されました。

表題は「籠池長男が反省告白、両親は安倍総理夫妻に謝れ!」というものでした。中身は、森友学園の籠池元理事長の長男で、騒動の最初から逮捕に至るまで両親のそばにいた籠池佳茂氏の告白が書かれております。

時を同じくし、彼は、SNS上でも森友学園問題について次のように述べています。

「安倍昭恵夫人は善意で名誉校長になって頂いただけであり、このようにご迷惑をお掛けしている事は森友学園としては不本意であると思われます。一連の騒動は安倍夫妻のネガティブキャンペーンの印象操作倒閣運動であり、その事柄に尽きると思います。」と。

前述した記事の中では黒幕のジャーナリストも実名で指摘されており、これで新たな展開が、新聞、テレビ、国会で始まるのかと私は当時、期待したのですが、実際は一部のマスコミがちょっと報じただけで、テレビのワイドショーを始め、籠池佳茂氏の発言は一切無視されたままだったのです。

加計学園問題についても、国会での加戸前愛媛県知事と前川喜平前文科事務次官の参考人招致において、前川氏の安倍批判発言は報じても、当事者であった加戸氏の重要な発言はほとんど報道されなかったわけであります。

加戸氏の発言は即ち、「愛媛県にとっては、12年間加計ありきだった。今さら、1、2年の間で加計ありきじゃない。」「10年間、我慢させられてきた岩盤規制にドリルで穴を開けていただいた。『ゆがめられてきた行政が正された』というのが正しい発言ではないか。」等であります。

ことほど左様に、日本の新聞、テレビは、ある意味、「報道しない自由」を駆使して、公正を欠いた報道が多いように思います。それを補完するのがネットであろうとは思いますが、もちろんネット上にも、嘘の情報があふれています。

それ故に、情報の受け手である私たちには、情報を読み解く力が求められているように思います。

そこで、知事に伺います。

テレビというメディアの最前線で活躍し、現在もメディアの発信力を活用されている知事は、このようなメディアの現状についてどのようにお考えになっているのか、見解を伺います。

最後に、「高校生のメディア・リテラシー教育について」伺います。

AIの急速な進化などの技術革新が目覚ましく進展、普及し、いわゆる「Society5.0」という超スマート社会が到来すると言われています。「Society5.0」とは日本が提唱する未来社会のコンセプトであり、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する人間中心の新たな未来社会であります。

その未来社会では、IoT、ロボット、AI等の先端技術があらゆる産業や社会生活に取り入れられますが、同時に、これまでとは比較にならないほど、大量の情報があふれることになります。それ故、未来を担う子供達の教育には、自ら情報を収集し、何が重要かを主体的に考える能力が、より一層求められると思います。

即ち、あらゆるコミュニケーション形態を用いてアクセス、分析、評価、創造し、行動する能力、すなわちメディア・リテラシーが必要であり、それは、これからの民主主義社会に必要不可欠なものなのであります。

さて、各種調査によると、現在の10代の若者たちは、ニュースなどの情報収集については、新聞やテレビよりSNSを利用する人が多いと報告されています。それ故、彼らは、私が前の質問で述べたような新聞・テレビの恣意的な報道にほとんど接していないわけです。その結果、SNSのニュースを重視し現実を直視している若者の方が、新聞・テレビを重視する年配の方よりも、安倍政権を支持する割合が高いのは、ある意味、むべなるかなと思います。メディア・リテラシーが本当に必要なのは、SNSにあまり接していない年代の方々なのかと思えなくもありません。

いずれにしろ、若者たちは社会的変化の激しいこれからの時代を、自ら主体的に考えながら、乗り越えていかなければなりません。

そこで、教育長にお伺いします。

高校生が、メディア・リテラシーを身につけるために、今後、どのような認識で学校教育に取り組もうとしているのか、見解を伺います。

以上です。

2016年12月2日 代表質問 原稿

質問の第一は、県民生活の向上についてであります。
はじめに、子供の貧困対策について伺います。
子供の貧困対策は、我が会派の最重要課題の一つであり、これまで代表質問において繰り返し質問しているところであります。
県の「子どもの貧困対策推進計画」が策定されてすぐの、昨年の第2回定例会では、我が会派として、この取組みが実効性の高いものとなるよう、本県が子供の貧困の現状と必要な支援策をどのように把握し、対策を進めていくのかについて質問いたしました。
 これに対し、知事からは、この計画を着実に推進していくために、貧困の状況にある子供の実情や、求められる支援策を丁寧に把握して行く必要があることから、生活困窮の怖れが特に高い「ひとり親世帯」の現状やニーズを把握するアンケート調査を実施する旨の答弁がありました。

 そして県では、昨年8月にこの調査を実施し、その結果を昨年12月に発表するとともに、この調査結果をもとに、子供の貧困対策に向けた様々な施策を進めていると承知しています。
 しかしながら、子供の貧困は、当事者が声を上げづらいため、その実情は周囲からは見えにくいと言われております。
 さらには、いわゆる「絶対的貧困」と「相対的貧困」の相違が分かりづらいため、「相対的貧困」に対する県民の理解がなかなか進まないという課題もあり、こうした点が、この取組みの効果が見えてこない要因の一つではないかと考えます。
 困っている子供たちに、必要な施策が確実に届くようにするためには、子供たちが置かれた状況を今まで以上にしっかりと把握し、支援していくことが重要であると思います。

  私は、先月、特別委員会の視察で、沖縄県南城市で運営されている「こども食堂」を訪問いたしました。その「こども食堂」は現地の小さなキリスト教会が運営しているのですが、そもそもは、その牧師が、貧困ゆえに親が子供を殺し心中を図った事件をニュースで知り、いてもたってもいられない思いから始めた事業だとのことです。現在、月曜から金曜の平日の夕方に運営し、子供に限らず、その親も含めた生活困窮者にも食事を提供し、親身に相談に乗り、行政への橋渡し役もしているとのことでした。沖縄と神奈川では状況が違うかもしれませんが、悲惨な事件を二度と起こさないために行政ができることはまだまだあるように私は感じました。
 そこで知事に伺います。
 県として、子供の貧困の実情をどのように捉えているのか。そして、こうした状況を改善するために、今後どのように取り組んで行くのか、見解を伺います。                     

次に、障害者雇用の促進について伺います。

 本県の平成27年6月現在の障害者雇用率は1.82%で、前年の1.75%から0.07ポイント上昇して過去最高を更新したところであります。また、今年5月に神奈川労働局から公表された平成27年度のハローワークを通じた障害者職業紹介状況でも、6年連続で過去最高を更新、県内の民間企業における障害者雇用は着実に改善してきていると思います。
 しかしながら、改善されたとは言っても、障害者雇用率は、法定雇用率の2.0%、全国平均の1.88%を下回り、全国で40位、また、法定雇用率を達成した企業の割合も44.0%と、全国平均の47.2%を下回っており、順位としては全国45位となっています。
 そして、障害者雇用率を達成していない企業を規模別でみますと、特に中小企業における取組みが進んでいない状況にあります。
 一方、障害種別では、精神障害者の求職件数が年々増加していますが、求職をしている障害者の45%が精神障害者であるのに対し、実際の雇用は全体の14%に留まり、精神障害者の雇用がなかなか進んでいないという実態が見てとれます。
 県では、こうした状況を踏まえて、中小企業における障害者雇用の促進を図るため、今年度から新たに「障害者雇用のための企業交流会~はじめの一歩」を開催し、障害者雇用促進フォーラムのテーマを「精神障害者雇用」として理解促進を図るなど、取組みを進めていることは承知しているところであります。
 しかし、平成30年に精神障害者が法定雇用率の算定基礎に加えられることや、これと合わせて法定雇用率の引上げと対象事業所の一層の小規模化が見込まれることを考えますと、障害者の法定雇用率の達成のためには、中小企業への支援と、精神障害者の雇用促進について、さらに効果的な施策を検討する必要があると考えます。
 そこで知事に伺います。

 県として、障害者の法定雇用率の達成に向けて、今後どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。

次に、選挙権年齢引き下げと主権者教育について伺います。
我が国の将来を担う子供たちに、国家・社会の形成者としての意識を育むためには、現実にある課題や論点について自らの問題として主体的に考え、判断するといった、主権者となるための教育、つまり主権者教育を充実していくことが必要であります。
そのため、本県の県立高校においては、平成22年度の参議院議員通常選挙の機会を活用して、全ての高校で模擬投票を実施し、平成23年度からは、政治参加教育を含む、シチズンシップ教育に積極的に取り組んできたことは承知しているところであります。
こうした中、平成27 年6月には公職選挙法の一部が改正され、選挙権年齢等が、「20 歳以上」から「18 歳以上」に引き下げられたことから、高等学校等に在籍する生徒の一部が実際に選挙権を行使できることとなりました。それ故、学校教育においてはこれまで以上に、政治参加意識の醸成を図るなど、主権者教育を推進することが求められていると思います。
私は、少子高齢化、人口減少社会を迎えた日本において、若い世代が社会の担い手であるという意識を持ち、主体的に政治にかかわって欲しいと願っておりますが、「自分の1票では何も変わらない」と思っている若者が多いのも事実ではないかと思います。「この1票が自分の将来につながる。」そんな意識を持って、若者が「投票する権利」を行使して欲しいものであります
 さて、本年7月10日、選挙権年齢引き下げ後、最初の選挙となった第24回参議院議員通常選挙の投開票が行われました。総務省の発表によれば、この選挙における神奈川県の10代投票率が全国第2位でありました。本県の10代の有権者数は全国で第3位と多いにもかかわらず、投票率が高いことはとても素晴らしいことだと思います。さらに全国平均が40%に達していない19歳投票率が本県においては51.09%で、これも全国第2位であり、県教育委員会が平成22年度から取り組んできた模擬投票を含む政治参加教育の成果が出たものと非常に評価するところであります。
さらに、私の住んでいる青葉区は、18歳の投票率が67.54%で何と神奈川県第1位となり、非常に素晴らしい結果であったわけですが、その理由を多くの関係機関が後学のために知りたいと考えることは自然な流れなのかと思います。私自身もその理由を是非知りたいものだと強く感じましたが、個人的な実感としては、やはり教育熱心な街だからだということに尽きるのではないかと思います。いずれにしろ、今後も、これらの結果を踏まえた上で、今までの取組みをしっかりと検証し、将来にむけた課題を確認することが必要であろうと思います。

そこで、教育長に伺います。

主権者教育について、これまでの取組みの成果と課題を踏まえ、今後どのように取り組んでいくのか、伺います。      

質問の第2は、県政の諸課題についてであります。

はじめに、デスティネーションキャンペーンについて伺います。
 平成27年第2回県議会定例会において、我が会派として、「ラグビーワールドカップ2019日本大会や、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会のセーリング競技等で注目される本県への誘客手段として、デスティネーションキャンペーンを検討すべきではないか」と知事に質問いたしました。その際、知事からは「キャンペーンの一つとして、デスティネーションキャンペーンの誘致について、市町村や関係団体等と協議していく。」との答弁がありました。
 その後、県は、昨年夏より関係市町村や関係団体等と協議を開始したと承知していますが、デスティネーションキャンペーンの実施により大きな誘客効果を得るためには、県や市町村のみでなく、官民が一体となった取組みが重要であると考えます。
 まさに2019年は、ラグビーワールドカップ2019の決勝戦が本県で開催されるわけであり、国内外から神奈川が注目されるこのタイミングで、観光の魅力を発信するデスティネーションキャンペーンを実施すれば、誘客効果も一層高まるものと考えます。
 JRグループは、今年3月に2018年のデスティネーションキャンペーンの開催地を発表しました。デスティネーションキャンペーンというのは、JRグループ各社が開催希望地域を提案し、JRグループ全体で開催地域を決定することになっているとの事であります。
 それ故、2019年の実施を目指すのであれば、JR東日本横浜支社と連携して、神奈川の魅力を発信するテーマを提案するなど、県としての取組みを早急に進める必要があると考えます。

  そこで、知事に伺います。

  2019年のデスティネーションキャンペーン実施に向けて、今後どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。

次に、相模ダムの老朽化対策について伺います。神奈川県では、わが国初の河川総合開発である相模川河水統制事業の基幹施設である、相模ダムの建設を皮切りに、昭和40年の城山ダム、昭和53年の三保ダム、と、水資源の開発を進めてきました。更に、平成13年には、国管理の宮ヶ瀬ダムが完成し、これらダムの建設とともに誕生した相模湖をはじめとする「水がめ」は、生活用水や工業用水の供給を行うと共に、水力発電による電力の安定供給にも寄与するなど、県民生活の向上や産業の発展に、非常に重要な役割を果たしてきました。
 さて、今年の夏は、神奈川県を除く関東の1都5県に水を供給する利根川水系では、冬の記録的な少雪などが原因で、ダムの貯水量が落ち込み、取水制限を実施していたことはご承知のことと思います。その一方で、本県においては、少雨傾向であったものの県内の4つのダムを有効に活用し、安定的に水道用水等を供給することができました。
 これは、先人達がこれまで水資源の開発に取り組んできた正に成果であり、その主役であるダムの存在に、改めて感謝するところであります。
これら4つのダムにおいては、将来にわたって、その機能を十分に発揮させ、活躍してもらわなければならないわけですが、今後は公共施設も大量更新の時代を迎えて多額の投資を必要とする中、ダムは特に規模が大きいため、この更新は並大抵のものではないと思われます。とりわけ相模ダムは、昭和22年の完成から来年で70年を迎えることから、老朽化が進んでいるのではないかと危惧しているところであります。
そうした中、企業庁では、平成28年度に相模ダムの地質調査や放流施設の改修などについて調査を実施していることは承知しておりますが、今後、将来にわたって県民の財産である相模ダムをどのように維持していくのかが大きなポイントであると考えます。

そこで、企業庁長に伺います。

企業庁では、相模ダムの老朽化対策について、どのように対応していくのか、また、その財源は確保できるのか、その見通しについて見解を伺います。             

次に、近代美術館鎌倉館について伺います。
 近代美術館鎌倉館は、平成27年度には、10万人近い入場者が訪れるなど、大変に盛況であったと聞いております。しかしながら、鎌倉館は、これまで65年にわたる美術館活動を通じて、多くの県民に優れた美術作品に触れる機会を提供してまいりましたが、昨年度末をもって美術館活動を終了いたしました。
 そして、その建物自体も、戦後のモダニズム建築を代表する建物として、国内外から高い評価を得ており、県民からも、美術館建物の保存についての要望が多く寄せられ、県教育委員会は建物を保存することとしたと承知しております。

これまで、我が会派は、本会議において、美術館活動終了後の建物の扱いについて、適宜、質疑で取り上げ、教育委員会の考えを伺ってきたところであります。その中で、故 坂倉準三氏が設計した本館棟は、土地の所有者である鶴岡八幡宮に引き継いで、利活用を図っていただくことや、新館棟と学芸員棟については、今年度末まで借地契約を1年延長し、県で除却工事を行うこと等の方針が示されたところであります。また、先の9月定例会での質疑では、除却工事については年内の完了を目指すこと、本館棟については、後世に引き継がれていくよう、県指定の重要文化財を目指し、文化財保護審議会への諮問を行ったことなどについて、教育長の答弁がありました。
 そうした中、今年も残りあと1ヶ月となり、年内の完了を目指すとした除却工事の、その後の進捗が気になるところであります。そして、来年3月までとなっている借地契約満了日までに、本館棟を円滑に鶴岡八幡宮に引き継ぐためには、具体的な引き継ぎ方法を詰めていく段階にきていると考えます。また、この11月に本館棟が県の重要文化財として指定されたことは評価をしているところですが、文化財として指定しただけで終わるのではなく、しっかりと保存されていくためには、今後の県の関わり方も重要になってくると思います。

そこで、教育長に伺います。

 新館棟と学芸員棟の除却工事の進捗状況と、今後、本館棟を、どのような方法で鶴岡八幡宮に引き継いでいくのか見解を伺います。また、県民の財産ともいえる本館棟が将来にわたり、適切に保存されていくよう、県としてどのような支援を考えているのか、併せて見解を伺います。   

質問の第3は、将来を見据えた県政の重要課題についてであります。

 はじめに、「受動喫煙防止対策の推進について」伺います。
 神奈川県では、平成22年4月に、全国に先駆け「神奈川県公共的施設における受動喫煙防止条例」を施行したことにより、受動喫煙を防止する環境整備が全国で最も進んできていると私は思いますが、全国的には、法律による受動喫煙防止の義務化などの対策が遅々として進まず、受動喫煙防止対策はほとんど進展してこなかったように思います。
 しかし、厚生労働省が去る5月に公表したデータによれば、他人のタバコの煙を吸い込む受動喫煙が原因で死亡する人が、国内では年間約1万5千人にも上るとのことで、従来の数よりも増えているのが現実なのであります。
 このような中、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の開催が決まったわけですが、国際オリンピック委員会では、「たばこのないオリンピック」を推進しており、東京を除く近年のオリンピック開催地、開催予定地では、何らかの形で罰則を伴う受動喫煙対策が講じられてきました。
 事実、2008年の北京オリンピックでは、タバコ消費量圧倒的世界第1位の中国が北京市に受動喫煙防止条例を制定、2014年のソチオリンピックでは、タバコ消費量世界第2位のロシアが包括的禁煙法を制定し、ソチ市自体も「スモークフリーシティー」をうたい、様々な受動喫煙防止策を実施しました。そして、2018年冬季オリンピック開催都市の平昌(ピョンチャン)でも、既に罰則付きの受動喫煙防止の法律が制定されています。
 いわば、IOCとWHOとの間で「オリンピックをタバコの煙のない環境で実施する合意文書(タバコフリー)」の調印が行われている以上、タバコ対策は東京も避けては通れない問題なのであります。そして、小池都知事も、彼女の選挙公約の一つとして、受動喫煙防止対策を必ず行う旨の発言をされておりました。
 さて、漸く、国においては、オリンピック・パラリンピックの開催に向けて、受動喫煙防止対策の強化が閣議決定され、法制化に向けた対応が進められ始めたところであります。
 また、県内でも、オリンピック会場となる藤沢市では、独自に受動喫煙防止を推進するためのガイドラインを定め、公園などの屋外における禁煙を推進していくようであります。
 本県は、江の島がセーリング競技の開催会場になるわけであり、東京都の隣接県として、いっしょに大会を盛り上げていく必要があります。受動喫煙防止対策を先駆的に推進してきた本県として、一層の増加が予想される国内外からの観光客へのおもてなしも重要な課題となり、その意味で受動喫煙防止対策の推進も重要な課題の一つと考えます。
 県においては、受動喫煙防止条例について、2回目となる条例の見直し検討を進め、たばこ対策推進検討会及び見直し検討部会から、条例の見直しは行わないとの方向性が出されたと聞いております。

 そこで以上を踏まえ、知事に伺います。

 その方向性を受けて、県は条例の見直しについてどのように判断をしたのか。また、検討会等の議論や国の動きを受けて、本県の受動喫煙防止対策をどのように進めていくのか、知事の見解を伺います。   

次に、「拉致問題に関する取組みについて」伺います。
2002年(平成14年)9月に北朝鮮の金正日が初めて拉致を認め、拉致被害者5名が帰国されてから、はや14年が経過しています。
 拉致問題については、一昨年の5月、スウェーデンのストックホルムで開催された日朝政府間協議において、「拉致被害者、残留日本人等全ての日本人に関する調査を包括的かつ全面的に実施する」ことで合意がなされ、一時は、これでようやく拉致被害者の帰国が叶うのではないかとの憶測が飛び交いました。が、本年1月、北朝鮮が4回目となる核実験を実施し、さらに人工衛星の打ち上げと称する弾道ミサイルの発射を強行したことから、2月には政府が独自の対北朝鮮制裁措置を実施しました。
 これを受け、あろうことか、北朝鮮は、日朝合意に基づいた日本人に関する包括的な調査を全面的に中止し特別調査委員会を解体すると宣言し、その後、何ら報告がないまま現在に至っています。
 県議会といたしましても、本年2月25日には「北朝鮮による日本人拉致問題の完全解決を求める意見書」を採択。国会及び政府に対し、強く要望を行ったところであります。
 さて、昭和52年11月15日、横田めぐみさんが忽然と姿を消してから、既に39年が過ぎ去りました。その間、北朝鮮工作員による拉致であったことが判明するまでかなりの時間を要したわけでありますが、めぐみさんが拉致される前日の11月14日というのは、実は父である横田滋さんの45歳の誕生日の日でありました。そして、父思いのめぐみさんは、その晩、滋さんに「クシ」をプレゼントしたのであります。しかし、その翌日、非情にも、めぐみさんは北朝鮮工作員によって拉致され、家族は引き離されたのです。爾来、滋さんは、今日に至るまで、めぐみさんからもらった大切な「クシ」をいつもポケットに入れているのだそうです。
 本県在住である横田滋さん、横田早紀江さんは既に齢(よわい)80を超えておられます。そしてこれまで全国各地で精力的に講演を行い、拉致被害者救出を訴えて来られたわけですが、その心労は察するに余りあります。一刻も早く、お二人がめぐみさんを抱きしめる日が来ることを同じ日本人として切に願ってやみません。
 明日、横田ご夫妻をお招きして、県と横浜市主催の拉致問題啓発イベントが横浜新都市ビル地下2階広場で開催されることは承知しております。そして、そのイベントに連動する形で、超党派で結成しております「北朝鮮に拉致された日本人を救う神奈川県議会有志の会」(拉致議連)といたしましても松田良昭会長を中心に、明日3日の午後2時から4時まで、桜木町にて街頭署名活動を行うつもりであります。是非、多くの議連の皆様のご参加を期待しております。
 今、拉致被害者の帰国は、待ったなしの状況です。そして、我々国民、県民は、北朝鮮で我々の助けを一日千秋の思いで待っている日本人拉致被害者がいることを決して忘れてはならないのであります。
 黒岩知事は、キャスター時代、映画「めぐみ-引き裂かれた家族の30年」の制作の際に、自らニュース映像の提供に協力されるなど、知事就任以来、拉致問題に強い関心を持っておられることは承知しています。

そこで、知事にお伺いいたします。

拉致問題が膠着状態にある現在、改めてどのような思いを持たれているのか、また、県として、拉致問題にどのように取り組んでいくのか、知事の見解を伺います。

次に、「日本史教育のあり方について」伺います。

 ギネスブックには「日本の皇室が世界最古の王家・皇室」と書かれています。日本においては、たとえ統治権力者が天皇から武士に取って代わろうとも、天皇の権威はそのまま維持・尊重され、125代の今上天皇まで途絶えることなく脈々と続いてきました。これは即ち、実質的にギネス的にも日本は世界最古の国であるということに他ならないものと私は思います。
 また、「和をもって貴しとなし、さかうること無きを宗とすべし」という聖徳太子の17条憲法の精神が、やはり日本人の精神に通底するものとして現代まで連綿と受け継がれており、日本は世界で最も平和を希求し争いごとを好まない国柄であるとも私は思っています。5年前の東日本大震災の際の、世界中が驚いた日本人の雄々しき姿が正にそれを証明しているのではないかと思います。私は、この素晴らしい日本の歴史を、私達自身がもっと知るべきだと思うのであります。
 さて、昨今、国際化が一段と進み、多くの日本人が海外へと活躍の場を広げていますが、未来を担う日本の若者達が、今後、真の国際人として活躍していくためには、当然、日本人としてのアイデンティティーの確立が必要であり、日本の歴史や伝統文化について正しく理解することが重要であると考えます。私自身も外資系企業で6年間勤務した経験がありますが、当時の自分自身の日本史に対する勉強不足を恥じるとともに、その重要性を改めて感じたことを思い出します。
 しかしながら、教育の場においては、現行の高等学校学習指導要領では世界史が必修の履修科目となっており、日本史・地理は選択必修科目であるため、高等学校では日本史を学ぶことなく卒業してしまう生徒がいるわけであります。そんな中、本県では、すべての県立高校生が卒業するまでに日本史を学ぶ「日本史必修化」が平成24年度から実施されており、高く評価させていただいております。

 ところで、今年の教科書採択では、これまで、県教育委員会が、国旗掲揚・国歌斉唱に関する記述で「本県の指導方針と相容れない面がある」としていた日本史教科書が改訂され、結果的にその改訂版が、何と県内16校で選定され、採択されたと聞いております。
 実は、この教科書の裏表紙には「大東亜共栄圏-日本の加害」ということで、地図上に、日本がアジア各地でどれだけの軍人・民間人を殺したかという棒グラフが出ています。文科省の検定を通ったとはいえ、どこが出所か分からないようなデータを使って、日本を一方的に悪だとして加害の記録を堂々と掲載しているのであります。
 また、研究者の間でかなり意見の分かれる南京大虐殺や、三光作戦、731部隊を断定的に記載し、慰安婦問題も、事実として決して強制連行はなかったにも拘らず、「東アジア各地でさまざまな強制によって集められ」という表現で記載されています。さらに、伊藤博文暗殺の記述についても、以下のように書かれています。
 「1909年10月、抗日闘争の指導者の1人安重根は、伊藤博文をハルピン駅頭で射殺した」
 即ち、あくまで、主語はテロリストである安重根なのであり、射殺したという表現なのであります。埼玉県の上田知事は、かつて、「間違っても「伊藤博文射殺」と書いてある教科書を選んではいけない。日本国の英雄を日本人自身が射殺と書いてどうする」と述べておられましたが、私も全く同感であります。
 私は、この教科書は本当に日本の教科書なのだろうか、いや、まるで韓国や中国の教科書ではないかとさえ思えてくるのであります。
 また、私は、プロパガンダに等しい南京大虐殺を記載するくらいなら、むしろ、昭和12年7月29日、日本人居留民385人中223人が中国人に惨殺された「通州事件」こそ、教科書に載せ、生徒達に教えるべきだとさえ思います。この通州事件で、中国人が日本人の子供や妊婦を含む老若男女に行った信じがたい虐殺行為こそは、その5ヶ月後、彼らが南京大虐殺と称して日本兵たちがやったと宣伝している行為そのものなのであります。
 以上、内容の一部に触れましたが、正直、このような教科書を神奈川県内の学校現場が16校も選定したことは私にとって大変な驚きであります。

 私は、この教科書が校内の選定会議を経て、校長が責任を持って選定し、教育委員会で審議の上、採択されたことは十分承知しており、現行の教科書採択制度や教科書検定制度についても理解しているつもりではあります。しかし、県教育委員会では日本史必修化を進めている以上、しっかりとした歴史に対する認識のもと、日本史教育に取り組むべきだと考えます。

 そこで教育長に伺います。

 これまで取り組んできた本県独自の日本史必修化について、今後どのように取り組んでいくのか、教育長の見解を伺います。

2012年12月22日 一般質問 原稿

平成24年2月22日一般質問原稿2012.2.21
自民党小島健一
私は小島健一であります。私は、自民党県議団の一員として、通告に従い、提言を交えながら、順次質問をいたしますので、先輩、同僚議員におかれましては、しばらくの間、ご清聴いただけますよう宜しくお願いいたします。

質問の第一は、卒業式・入学式における国旗国歌についてであります。
先月16日、卒業式などで国旗掲揚・国歌斉唱の際に起立しなかったことを理由に東京都教育委員会から戒告、停職の懲戒処分を受けた教職員らが東京都に処分の取消しと損害賠償を求めていた訴訟において、最高裁は「戒告処分までは基本的に懲戒権者の裁量の範囲」との判断を初めて示しました。一方で、「戒告を超えてより重い減給以上の処分を選択することは、事案の性質などを踏まえた慎重な考慮が必要」とし、教員一人の停職の取消しを認めたのですが、これに対し、石原都知事は「立って国歌を歌い、国旗に敬意を払うのは、公立の学校の教育者として基本的な姿勢だ」と不快感を示し、「これは徹底していかないとだめだ。それをするように教育委員会には働いてもらいたい」と述べました。
一方、神奈川県では、平成17年7月、最大時170名の県立学校教員らが98名の弁護団とともに「卒業式・入学式で起立して国旗に向かい国歌を斉唱する義務が無いことを予め認めろ」と横浜地裁に提訴した「国旗国歌に対する忠誠義務不存在確認請求事件」という裁判は、平成23年6月、最高裁が原告の上告を棄却したことで、訴えを却下した2審東京高裁判決が最終的に確定し、県側が勝訴しました。ちなみに、1審横浜地裁は「教職員らは起立斉唱命令に従う義務がある」と原告の請求を棄却、2審東京高裁は「県教委が県立学校長に対して出した起立斉唱の指導の徹底を求める通知は、指導であって義務を生じさせる命令に当たらず、訴え自体に理由がない」として、原告の訴えをにべもなく却下しています。
ところが、平成20年11月、県立学校教員ら27名は、今度は「不起立者の氏名収集は、県の個人情報保護条例に違反する」として県に情報消去等を求めた新たな訴訟を起こしました。昨年8月、横浜地裁は「氏名収集は服務規律の保持を担う県教委の裁量内の判断で違法ではない」として請求を棄却したものの、現在、東京高裁に控訴され、裁判は継続中であります。
私は、昨年の決算特別委員会において、その裁判の原告団長が定年後再任用された県立高校の教諭ということで、県教委に、再任用の選考方法について質問をさせていただきました。その答弁では、イデオロギー闘争を学校外でやっていても選考基準には抵触しないとのことであり、私は、「呆れるほど教師に優しい神奈川県だ」と思わず述べてしまったのですが、教師達に対して、こんなイデオロギー闘争はもう止めにして、山積する学校の問題に全力で取り組んでもらいたいと思っているのは私だけではないはずです。とはいえ、平成16年当時、県立学校の入学式・卒業式で、のべ116名もいた不起立者は、昨年は36人にまで減少しており、これまでの県教委の粘り強い指導について一定の評価はさせていただきたいと思います。
さて、皆さんは重光葵(しげみつまもる)という人物を御存知でしょうか。
昭和20年9月2日、米国の戦艦ミズーリ号の甲板上で行われた連合国への降伏文書調印式において、日本政府全権として署名を行ったのが重光葵であり、その調印風景はおそらくほとんどの皆さんが教科書等で見た記憶があるのではないかと思います。重光葵はその後、A級戦犯として起訴され、極東国際軍事裁判において有罪判決を受けますが、服役後、政界復帰し、昭和31年12月には国連において、日本全権の外務大臣として国連加盟受諾演説を行って「日本は東西の架け橋になりうる」という名言を残しました。余談ですが、歴史問題として中国・韓国から何かと騒がれるA級戦犯が、戦後、外務大臣として国家の運営に携わっていた事実を見てみれば、野田総理も嘗ておっしゃっていたように、「A級戦犯と呼ばれた人達は最早、戦争犯罪人ではない」という認識は正しいのであります。
さて、重光葵の右脚は義足であったのですが、それは、昭和7年、第一次上海事変終結後の天長節の式典において爆弾テロに遭った為でありました。重光は、会場から爆弾が投げ込まれた時に、一切動かず、避けなかったのであります。その理由として、「その時は国歌斉唱の最中であったから」と、後日、語っていますが、国を背負っている当時の外交官の国を思う気概を感じずにはいられません。
私は、ここまで国旗国歌に忠誠を尽くせとは言いませんが、公の使命の下で働く以上、公務員は国旗国歌に敬意を払うことは当然のことであり、同じ公務員として我身の危険を顧みず活動している自衛官・海上保安官・警察官・消防隊員に対して失礼であるとさえ思います。
そこで、教育長にお伺いします。
最高裁は、「戒告処分までは懲戒権者の裁量の範囲」との判断を示していますが、実際、これまで一切の処分を不起立教員に科していない我県は、今後、不起立教員に対して戒告処分をなさるおつもりはあるのか、また、今後どのような指導を行っていくのか、教育長の見解を伺います。

質問の第二は、朝鮮学校補助金についてであります。
神奈川県においては、平成の時代に入ってからだけでも、昨年度までに1,420百万円以上の公金が、朝鮮学校へ補助金として支出されております。そして、平成23年度は、63,780千円の補助金交付が決定されており、年3回に分けての交付のうち2回が既に終了し、来月(3月)に残りの15,944千円の交付が行われるとのことであります。
さて、先月、東京都においては、石原都知事の査定により、来年度予算に朝鮮学校への補助金を計上しないことを決めたとの報道がありました。当然ながら、大切な公金を支出する判断の前提として、「反日教育」「拉致事件」に関する教育内容に加えて、財務や朝鮮総連との関係等を調査し始めたばかりであるということで、補助金「凍結」から一歩進んで、都としての明確な意思表示を示したことになります。
一方、神奈川県の場合は、一昨年、松沢知事の時代に、反日教育の疑いがあるとして一旦、補助金交付を留保したものの、知事自らが朝鮮学校を訪問した上で、日本人拉致事件や大韓航空機爆破事件等、明らかに事実とは違う教科書記述の平成25年度までの改訂を条件に、補助金を交付しました。それに関して、私は本会議や予算委員会において、これらの極度に歪曲した歴史教科書が実際に改善されない限り、補助金交付は拙速ではないかと松沢知事に申し上げています。
その後、黒岩知事が就任され、昨年5月には、朝鮮学校で今年度の4月から使用されている教科書が改訂されていることがわかり、その中で、「日本当局は拉致問題を極大化し、反共和国・反総連・反朝鮮人騒動を大々的に繰り広げることによって、日本社会には極端な民族排他主義的な雰囲気が作り出されていった」としていた以前の拉致事件の記述が、「右翼勢力等により、反共和国・反総連・反朝鮮人騒動が繰り広げられ、総連と在日同胞社会にとっては、大変な状況が造成された」という内容に変わり、何と拉致事件そのものの記述が消えてしまっていたのであります。また、大韓航空機爆破事件については、「南朝鮮当局が事件を捏造した」との記述があった囲みの文章が丸ごと削除され、本文も「捏造した」から「起こった」に変更されておりました。
私は、これだけ見ても意図的・作為的なものを感じますが、後に、県側が改訂教科書の実物ではなく、改訂箇所のコピーだけを見て、朝鮮学校側の教科書改訂を確認したことも判明し、県側の対応・調査方法の甘さそのものが批判を受けています。
ともかく、結果的には、学校側が拉致事件に関する補助教材2ページを作成し、また黒岩知事がその製作に協力されたドキュメンタリー映画「めぐみ」の上映とその感想文を課題として、今年度の補助金交付が認められたわけであります。
そして、昨年11月9日には、県職員4名と県議会の各会派5名が、朝鮮中高級学校を訪問し、高級部3年のクラスで、課題としていた拉致問題についての授業を視察しました。何と、この授業を見学して、逆に感激して帰ってきた方もおられたと漏れ聞いておりますが、私は、相手側が指定した日に赴き、準備された授業を、朝鮮語ではなく日本語特別授業として見る、というのは正に補助金をもらうための既成事実化を手助けしているだけなのではという思いを払拭できませんでした。
その後、11月11日には、生徒2名を含む神奈川朝鮮中高級学校の理事長、校長、教職員、生徒父母会ら9名が黒岩知事を訪問し、拉致問題をテーマに実施した授業内容について報告したようですが、その際、教職員は、日本による植民地支配にも触れ、いずれも「二度と繰り返してはならない歴史」として生徒達に伝えていると述べたと伺っています。この北朝鮮お決まりの論法に関しては次の質問でも触れますが、日本が朝鮮を併合した当時の国際情勢・歴史的背景や手続きというものを全く無視し、平和な時代に起きている非人道的国家犯罪である拉致事件とそれとを同列に生徒に教えることは、非常に不適切だと私自身は考えます。
話は多少逸れますが、デタラメな数字や、被害者と称する人の証言や捏造写真が跋扈し、プロパガンダや外交カードとしての意味合いが強い、いわゆる「南京大虐殺」や「従軍慰安婦問題」などを人権問題として大騒ぎする団体がありますが、過去の怪しい事象ではなくて、共産党政府樹立以降、チベットやウィグルを侵略・その民を数百万人も虐殺し、大躍進政策、文化大革命、天安門事件等を通じて、自国民をこれまで数千万人殺してきたと言われる中国における人権問題、また先頃、脱北者の方も来庁され訴えていた北朝鮮の収容所の人権問題などに、何故、目を向けないのか、と私は思います。
さて、北朝鮮では、昨年暮、金正日が亡くなり金正恩が後継者となりましたが、報道によれば、昨年7月、朝鮮総連が金正恩後継体制支持を決めた幹部会議で、神奈川朝鮮中高級学校の校長が先頭に立って正恩氏への忠誠と愛国教育の推進を宣誓していたとのことであります。校長はその中で、「1世から2世、3世に引き継がれてきた忠誠、愛国の代を4世、5世、6世に引き継ぐ道を開く任務が我々幹部にある」「学生達を自分の領導者と祖国を知る愛国の柱に育てる上で、学校の位置付けは非常に重要。我々の事業が愛国運動を左右する自覚を持って教育事業を進めている」と述べています。東京都や大阪府など、補助金の停止や大幅削減に踏み切る自治体が相次ぐ中で、神奈川県から補助金を勝ち取った英雄として神奈川の校長が代表に選ばれたとも言われていますが、私は、今後の朝鮮学校における思想教育強化について大変危惧を抱くものであります。
以上を踏まえ、知事にお伺いします。
東京都では、石原知事が明確な意思表示をして朝鮮学校補助金を来年度予算に計上しないとされましたが、神奈川県の知事として来年度補助金交付についてどのように考えているのかお伺いします。また、石原都知事や埼玉の上田知事は、補助金支出の判断材料として「授業の抜き打ち確認」を複数回行うと述べていますが、神奈川県として授業の抜き打ち確認等を実施するおつもりはあるのか、重ねて知事の見解を伺います。

質問の第三は、拉致問題についてであります。
黒岩知事は、映画「アブダクション」(邦題「めぐみ‐引き裂かれた家族の30年」)の製作に関わったという経緯もあり、知事就任以来、この拉致問題については非常に熱意をもっていらっしゃると拝察いたしております。また、去る2月1日には、全国の都道府県で初めて、拉致問題担当理事を置いて水田氏を登用され、私も今後の活動・展開を期待しているところであります。
さて、2年程前の平成21年12月の本会議におきまして、私は拉致問題について質問をし、当時の拉致問題対策本部が作成した日本人拉致問題啓発アニメ「めぐみ」というものを取り上げました。その中で私は、政府が、平成20年6月、アニメ「めぐみ」のDVDを各都道府県教育委員会に送付し、小中高等学校を始めとした教育機関で拉致問題の啓発を行って欲しい旨の通知を出していたにもかかわらず、まだまだその活用が不十分であるので、もっと周知・改善して欲しい旨の意見を教育長に述べております。
このアニメ「めぐみ」は、昭和52年、当時中学1年生だった横田めぐみさんが、学校から帰宅途中に北朝鮮に拉致された事件を題材に、残された家族の苦悩や、懸命な救出活動の模様を描いたドキュメンタリーアニメで、中国語や韓国語等9カ国語に対応しており、政府のホームページからも視聴・ダウンロード自由で、コピーも自由という約25分間の作品であります。
今般、黒岩知事就任以降、外国人監督が製作した約1時間28分間の映画「めぐみ‐引き裂かれた家族の30年」がクローズアップされていますが、実は私もそれが公開された当時、すぐに視聴いたしておりました。
今回、改めて、DVDを購入し内容を再確認いたしましたが、私の同志の地方議員達が、この映画の中で、拉致被害者家族会の皆さんと一緒に、初期の時代から街頭活動を懸命に行っている姿を嬉しく思いながらも、実は不可解と思ってしまう箇所が幾つかありました。まず一つ目のシーンですが、茅ヶ崎市で開催された「平和と人権講演会…拉致問題を考える」と題された市民集会で、会場の女性が意見を述べているシーンであります。この時、女性は、「(日本も)北朝鮮に同じことを、60年前にしていたでしょう…どうしたら、皆にわかってもらえるように私も言えるのかなとすごく思ってしまって…」と泣きながら訴えていました。
私は、日朝、あるいは日韓でもそうですが、両国の間で歴史の共有はそもそも不可能であると思います。ただ、この女性の言う、日本が60年前、北朝鮮に同じことをしたというのは明らかに誤った思い込みであって、彼らの使ういつもの論理のすり替えに他なりません。即ち、現在進行形の国家犯罪である日本人拉致事件と、過去の日朝併合という歴史事象を同列に扱い、日本軍が朝鮮人女性を二十万人も強制連行し、性奴隷にしていたなどという虚偽のプロパガンダと一緒くたにしてしまっているのです。私は、本当に、正しい歴史認識、バランスの取れた歴史教育が必要と改めて思います。
それから、もう一つのシーンですが、北朝鮮がめぐみさんのものだと渡してきた遺骨をDNA鑑定し、それが別人のものだと判明する場面があります。当然、御家族はそれを聞いて大変喜んだわけですが、しかし、映画の最後には、こういうキャプションが流れるのです。
「権威あるイギリスの科学誌が遺骨は汚染されている可能性があるとして、DNA鑑定結果の不確実性を指摘」
このキャプションは、正に、遺骨はめぐみさんの可能性がある、めぐみさんは北朝鮮が云うように死亡しているかもしれないという示唆を見る者に与えてしまう気がします。私自身はこの部分に極めて違和感を抱いてしまうのです。
とは言え、知事がおっしゃるように、拉致問題を知る上で、非常に見る価値の高いドキュメンタリー映画だとは思います。以上を踏まえ、知事に伺います。知事は新たに拉致問題担当理事を設置し、今後
様々な活動を展開なさろうとしていますが、ドキュメンタリー映画「めぐみ‐引き裂かれた家族の30年」を県民に見せることで期待されることは何なのか、また、従来の約25分間の拉致問題啓発アニメ「めぐみ」については今後どのように活用していくのか、知事の見解を伺います。

質問の第四は政府が提出しようとしている新たな人権救済機関の設置等に関する法案についてであります。
現在の民主党政権下において、法務省は、新たな人権救済機関の設置等に関する法案を今通常国会に提出するようであり、1月に就任した小川敏夫法務大臣もこの法案を成立させたいと就任インタビューで答えています。
この法案は、我々言論活動を行っている議員はもとより、県民の皆様にも極めて身近な問題として跳ね返ってくる法律と考えられることから、今回、質問をさせていただきたいと思います。
嘗て、人権擁護法案として議論されていたものが、当時、批判の強かったメディア規制の条項が除外されるなど、若干修正され姿を変えて出てきたのが今回の法案だと言えますが、昨年、新たに法務省が発表した法案の概要を読んでみても、やはり極めて妥当性・必要性に疑念を抱かざるを得ない代物だと私は思います。
まず、概要の中では、一番大事な「人権侵害の定義」を「司法手続きにおいても違法と評価される行為」としていますが、裁判官でもない人権委員なるものが「違法である」と明確に判断を下すことなど土台不可能であり、恣意的な法的解釈が運用される可能性が多分にあります。また、実際に、現行の人権救済制度や司法手続きでさえ対処できない「違法な行為」などほとんど無いに等しく、「児童虐待防止法」「配偶者暴力防止法」等、既存の種々ある個別法の改正や新設で十分対応できるはずであります。さらには、国家行政組織法3条2項に規定された、法務大臣の指揮監督を受けない、独立性と強い権限を持ちうる、いわゆる3条委員会を、人権委員会として法務省の外局に設置する財政的余裕も、今の日本には無いはずだと思うのです。
ましてや、もし現行制度で対処できない「違法な行為」や「差別助長行為」が日本で多発しているというのであれば、どのような事例があるのか、年間何件発生しているのか、国民・県民に説明責任を果たすべきであります。
私は、本日、国旗国歌、朝鮮学校補助金や拉致問題等についてこれまで縷々質問してまいりましたが、もし、この法案が成立してしまった後なら、私自身が誰かから人権侵害だと告発を受ける可能性が十分あることも否定できない事実なのであります。
私は、「人権侵害の救済」の美名の下に、逆に相手方の人権が蹂躙される恐れがあり、差別的言動の取締りを理由に、言論の自由が危険にさらされる、そんな独裁国家の秘密警察の如き機関は、今の日本に必要ないと考えます。
そこで、以上を踏まえ、今国会に提出されようとしている「新たな人権救済機関の設置等に関する法案」について、知事はどのようにお考えになっているのか、見解を伺います。

質問の第五は「コドモ」という言葉の漢字かな交じりの表記についてであります。
最近、「子ども手当」に代表されるように、行政が使う言葉において、「コドモ」の「子」を漢字にし、「ども」を平仮名にした「子ども」表記が非常に目につくように感じます。私自身は、以前から、漢字2文字の「子供」表記をこれまで頑固に使ってきましたが、数年前から、東京都の教育庁においても、方針として、漢字かな交じりの「子ども」と表記していた用語を、漢字2文字の「子供」へと改めているようであります。さて、漢字かな交じりの「子ども」表記が広がった理由としては、幾つかの説があると言われております。一つは、漢字2文字の「子供」の「供」は、お供の「供」で、家来や子分を連想させ、親の所有物といった解釈となって、子供の差別にあたる、と左翼系の女性が主張し始め、その表記が広がったというもの。二つ目は、「子供」の「供」は、供養という字の「供」と同じで、「供養=死」というのでは可哀そうだと人権団体や学校現場等で言われ始め、誤解や批判を避けたい教師側の自主規制から広がった、という説であります。その他、見た目の語感が柔らかいからとの意見もあるようですが、実際、文化庁は、この「コドモ」表記問題について、「子供」の「供」は「おともの意味ではない」「公用文における漢字使用の目安である「常用漢字表」の文字であり、漢字2文字の「子供」の表記が望ましい」と、見解を述べています。
私の感覚でいえば、ひらがなで「ども」といえば、「野郎ども」「馬鹿ども」といった少々下卑た複数形のニュアンスを抱くのですが、いずれにしろ、漢字と仮名の交ぜ書きの「子ども」表記は日本語として美しくないように思うのであります。
私は、行政が使う言葉は、社会の規範的な役割を有するだけに、漢字かな交じりの「子ども」表記を、最近の流行りだという理由だけで、安易に多用するのはいかがなものかと思いますし、日本語がおかしくなりつつある昨今だけに国語表記に襟を正すべきだと思います。
以上を踏まえ、「コドモ」という言葉の表記について、知事の見解を伺います。

質問の第六はたばこ対策・受動喫煙対策についてであります。
私は平成15年に県議会議員に選出していただいて以来、ほぼ毎年のように、本会議や予算委員会等において、タバコ・喫煙関連の質問を、県民の健康増進やがん対策、青少年対策の観点から行ってきました。必然的に、様々なご意見を皆様からいただきましたが、議員提案条例として平成20年4月1日に施行された「神奈川県がん克服条例」の中にも、第4条「県民の責務」、第5条「がんの予防及び早期発見の推進」の項に喫煙に関する記述が出てきますし、また、県の「がんへの挑戦10か年戦略」においても、たばこ対策の推進が県の政策の中で明確に位置づけられるなど、それらは今も重要な視点だと私は考えます。
さて、御承知のように、受動喫煙の防止を目的とする全国初の「神奈川県公共的施設における受動喫煙防止条例」が平成22年4月1日施行され2年近くが経過しようとしていますが、施行後1年の平成23年3月末までに、学校や病院、官公庁、商店などの施設では約99%が禁煙に対応し、規制による客の減少が懸念されていた飲食店などでも、努力義務となっている小規模施設を除き、約80%が禁煙または分煙としており、順調な滑り出しを見せているように思います。受動喫煙防止条例は、神奈川から発進された全国初の条例として、国や他の地方自治体に少なからず影響を与え、現在、兵庫県でも同様な条例が議論されているようですが、歴史をひも解いてみますと、そもそも日本で初めてタバコを規制する政策を打ち出したのは江戸幕府の2代将軍、徳川秀忠でありました。
1570年頃、南蛮船によりタバコが日本に伝来し、医学知識の無い当時は薬として扱われたこともあったようですが、タバコによる不審火や火事が度々あったこと、また、長いキセルを腰に下げて乱暴狼藉を働く「かぶき者」を統制するため、秀忠は1607年(慶長12年)禁煙令を出しました。それ以降、一時期、徳川吉宗が禁煙令を解除し開墾による葉たばこ生産を奨励したことはありましたが、大政奉還に至るまで、幕府は一貫して禁煙令を発令・継続してきたのであります。また、江戸時代、貝原益軒が「養生訓」の中で喫煙の害を既に説いてもいましたが、その依存性の強さから、今の世に至るまで、結局、喫煙者が無くなることはなかったのであります。
さて、1月28日の新聞報道によれば、日本人の死亡原因を色々な危険因子によって比較した場合、何とタバコが年間約12万9千人で1位、高血圧が約10万4千人で2位、以下、3位・運動不足、4位・高血糖という調査結果が発表されました。これは東京大や大阪大の分析から出された結果ですが、日本が長寿国の座を維持するには効果的な禁煙対策が必要であることがわかります。
また、国立がん研究センターは、「受動喫煙による肺がんと虚血性心疾患の死亡数が年間6,800人」であるという推計結果を発表しましたが、それは、例えば、子宮頸がんによる死亡者数2,500人と比較しても決して無視できない数字であると私は思います。
そこで以上を踏まえ、知事に伺います。
私は、例えば、がん対策ならば、まず、がんにならないにはどうすれば良いかということ、即ち如何なる病気でも予防という概念が非常に大事だと思いますし、ましてや、自分以外の人間に対して病気を誘発する原因を作ってしまう事は看過できない行為だと思うのですが、知事は、今後の神奈川県のたばこ対策・受動喫煙対策についてどういう方針で臨まれていくつもりなのか、見解を伺います。

以上を持ちまして、私の第1回目の質問を終わります。

2012年02月21日 一般質問 原稿

私は小島健一であります。私は、自民党県議団の一員として、通告に従い、提言を交えながら、順次質問をいたしますので、先輩、同僚議員におかれましては、しばらくの間、ご清聴いただけますよう宜しくお願いいたします。

質問の第一は、卒業式・入学式における国旗国歌についてであります。
先月16日、卒業式などで国旗掲揚・国歌斉唱の際に起立しなかったことを理由に東京都教育委員会から戒告、停職の懲戒処分を受けた教職員らが東京都に処分の取消しと損害賠償を求めていた訴訟において、最高裁は「戒告処分までは基本的に懲戒権者の裁量の範囲」との判断を初めて示しました。一方で、「戒告を超えてより重い減給以上の処分を選択することは、事案の性質などを踏まえた慎重な考慮が必要」とし、教員一人の停職の取消しを認めたのですが、これに対し、石原都知事は「立って国歌を歌い、国旗に敬意を払うのは、公立の学校の教育者として基本的な姿勢だ」と不快感を示し、「これは徹底していかないとだめだ。それをするように教育委員会には働いてもらいたい」と述べました。
一方、神奈川県では、平成17年7月、最大時170名の県立学校教員らが98名の弁護団とともに「卒業式・入学式で起立して国旗に向かい国歌を斉唱する義務が無いことを予め認めろ」と横浜地裁に提訴した「国旗国歌に対する忠誠義務不存在確認請求事件」という裁判は、平成23年6月、最高裁が原告の上告を棄却したことで、訴えを却下した2審東京高裁判決が最終的に確定し、県側が勝訴しました。ちなみに、1審横浜地裁は「教職員らは起立斉唱命令に従う義務がある」と原告の請求を棄却、2審東京高裁は「県教委が県立学校長に対して出した起立斉唱の指導の徹底を求める通知は、指導であって義務を生じさせる命令に当たらず、訴え自体に理由がない」として、原告の訴えをにべもなく却下しています。
ところが、平成20年11月、県立学校教員ら27名は、今度は「不起立者の氏名収集は、県の個人情報保護条例に違反する」として県に情報消去等を求めた新たな訴訟を起こしました。昨年8月、横浜地裁は「氏名収集は服務規律の保持を担う県教委の裁量内の判断で違法ではない」として請求を棄却したものの、現在、東京高裁に控訴され、裁判は継続中であります。
私は、昨年の決算特別委員会において、その裁判の原告団長が定年後再任用された県立高校の教諭ということで、県教委に、再任用の選考方法について質問をさせていただきました。その答弁では、イデオロギー闘争を学校外でやっていても選考基準には抵触しないとのことであり、私は、「呆れるほど教師に優しい神奈川県だ」と思わず述べてしまったのですが、教師達に対して、こんなイデオロギー闘争はもう止めにして、山積する学校の問題に全力で取り組んでもらいたいと思っているのは私だけではないはずです。とはいえ、平成16年当時、県立学校の入学式・卒業式で、のべ116名もいた不起立者は、昨年は36人にまで減少しており、これまでの県教委の粘り強い指導について一定の評価はさせていただきたいと思います。
さて、皆さんは重光葵(しげみつまもる)という人物を御存知でしょうか。
昭和20年9月2日、米国の戦艦ミズーリ号の甲板上で行われた連合国への降伏文書調印式において、日本政府全権として署名を行ったのが重光葵であり、その調印風景はおそらくほとんどの皆さんが教科書等で見た記憶があるのではないかと思います。重光葵はその後、A級戦犯として起訴され、極東国際軍事裁判において有罪判決を受けますが、服役後、政界復帰し、昭和31年12月には国連において、日本全権の外務大臣として国連加盟受諾演説を行って「日本は東西の架け橋になりうる」という名言を残しました。余談ですが、歴史問題として中国・韓国から何かと騒がれるA級戦犯が、戦後、外務大臣として国家の運営に携わっていた事実を見てみれば、野田総理も嘗ておっしゃっていたように、「A級戦犯と呼ばれた人達は最早、戦争犯罪人ではない」という認識は正しいのであります。
さて、重光葵の右脚は義足であったのですが、それは、昭和7年、第一次上海事変終結後の天長節の式典において爆弾テロに遭った為でありました。重光は、会場から爆弾が投げ込まれた時に、一切動かず、避けなかったのであります。その理由として、「その時は国歌斉唱の最中であったから」と、後日、語っていますが、国を背負っている当時の外交官の国を思う気概を感じずにはいられません。
私は、ここまで国旗国歌に忠誠を尽くせとは言いませんが、公の使命の下で働く以上、公務員は国旗国歌に敬意を払うことは当然のことであり、同じ公務員として我身の危険を顧みず活動している自衛官・海上保安官・警察官・消防隊員に対して失礼であるとさえ思います。
そこで、教育長にお伺いします。
最高裁は、「戒告処分までは懲戒権者の裁量の範囲」との判断を示していますが、実際、これまで一切の処分を不起立教員に科していない我県は、今後、不起立教員に対して戒告処分をなさるおつもりはあるのか、また、今後どのような指導を行っていくのか、教育長の見解を伺います。

質問の第二は、朝鮮学校補助金についてであります。
神奈川県においては、平成の時代に入ってからだけでも、昨年度までに1,420百万円以上の公金が、朝鮮学校へ補助金として支出されております。そして、平成23年度は、63,780千円の補助金交付が決定されており、年3回に分けての交付のうち2回が既に終了し、来月(3月)に残りの15,944千円の交付が行われるとのことであります。
さて、先月、東京都においては、石原都知事の査定により、来年度予算に朝鮮学校への補助金を計上しないことを決めたとの報道がありました。当然ながら、大切な公金を支出する判断の前提として、「反日教育」「拉致事件」に関する教育内容に加えて、財務や朝鮮総連との関係等を調査し始めたばかりであるということで、補助金「凍結」から一歩進んで、都としての明確な意思表示を示したことになります。
一方、神奈川県の場合は、一昨年、松沢知事の時代に、反日教育の疑いがあるとして一旦、補助金交付を留保したものの、知事自らが朝鮮学校を訪問した上で、日本人拉致事件や大韓航空機爆破事件等、明らかに事実とは違う教科書記述の平成25年度までの改訂を条件に、補助金を交付しました。それに関して、私は本会議や予算委員会において、これらの極度に歪曲した歴史教科書が実際に改善されない限り、補助金交付は拙速ではないかと松沢知事に申し上げています。
その後、黒岩知事が就任され、昨年5月には、朝鮮学校で今年度の4月から使用されている教科書が改訂されていることがわかり、その中で、「日本当局は拉致問題を極大化し、反共和国・反総連・反朝鮮人騒動を大々的に繰り広げることによって、日本社会には極端な民族排他主義的な雰囲気が作り出されていった」としていた以前の拉致事件の記述が、「右翼勢力等により、反共和国・反総連・反朝鮮人騒動が繰り広げられ、総連と在日同胞社会にとっては、大変な状況が造成された」という内容に変わり、何と拉致事件そのものの記述が消えてしまっていたのであります。また、大韓航空機爆破事件については、「南朝鮮当局が事件を捏造した」との記述があった囲みの文章が丸ごと削除され、本文も「捏造した」から「起こった」に変更されておりました。
私は、これだけ見ても意図的・作為的なものを感じますが、後に、県側が改訂教科書の実物ではなく、改訂箇所のコピーだけを見て、朝鮮学校側の教科書改訂を確認したことも判明し、県側の対応・調査方法の甘さそのものが批判を受けています。
ともかく、結果的には、学校側が拉致事件に関する補助教材2ページを作成し、また黒岩知事がその製作に協力されたドキュメンタリー映画「めぐみ」の上映とその感想文を課題として、今年度の補助金交付が認められたわけであります。
そして、昨年11月9日には、県職員4名と県議会の各会派5名が、朝鮮中高級学校を訪問し、高級部3年のクラスで、課題としていた拉致問題についての授業を視察しました。何と、この授業を見学して、逆に感激して帰ってきた方もおられたと漏れ聞いておりますが、私は、相手側が指定した日に赴き、準備された授業を、朝鮮語ではなく日本語特別授業として見る、というのは正に補助金をもらうための既成事実化を手助けしているだけなのではという思いを払拭できませんでした。
その後、11月11日には、生徒2名を含む神奈川朝鮮中高級学校の理事長、校長、教職員、生徒父母会ら9名が黒岩知事を訪問し、拉致問題をテーマに実施した授業内容について報告したようですが、その際、教職員は、日本による植民地支配にも触れ、いずれも「二度と繰り返してはならない歴史」として生徒達に伝えていると述べたと伺っています。この北朝鮮お決まりの論法に関しては次の質問でも触れますが、日本が朝鮮を併合した当時の国際情勢・歴史的背景や手続きというものを全く無視し、平和な時代に起きている非人道的国家犯罪である拉致事件とそれとを同列に生徒に教えることは、非常に不適切だと私自身は考えます。
話は多少逸れますが、デタラメな数字や、被害者と称する人の証言や捏造写真が跋扈し、プロパガンダや外交カードとしての意味合いが強い、いわゆる「南京大虐殺」や「従軍慰安婦問題」などを人権問題として大騒ぎする団体がありますが、過去の怪しい事象ではなくて、共産党政府樹立以降、チベットやウィグルを侵略・その民を数百万人も虐殺し、大躍進政策、文化大革命、天安門事件等を通じて、自国民をこれまで数千万人殺してきたと言われる中国における人権問題、また先頃、脱北者の方も来庁され訴えていた北朝鮮の収容所の人権問題などに、何故、目を向けないのか、と私は思います。
さて、北朝鮮では、昨年暮、金正日が亡くなり金正恩が後継者となりましたが、報道によれば、昨年7月、朝鮮総連が金正恩後継体制支持を決めた幹部会議で、神奈川朝鮮中高級学校の校長が先頭に立って正恩氏への忠誠と愛国教育の推進を宣誓していたとのことであります。校長はその中で、「1世から2世、3世に引き継がれてきた忠誠、愛国の代を4世、5世、6世に引き継ぐ道を開く任務が我々幹部にある」「学生達を自分の領導者と祖国を知る愛国の柱に育てる上で、学校の位置付けは非常に重要。我々の事業が愛国運動を左右する自覚を持って教育事業を進めている」と述べています。東京都や大阪府など、補助金の停止や大幅削減に踏み切る自治体が相次ぐ中で、神奈川県から補助金を勝ち取った英雄として神奈川の校長が代表に選ばれたとも言われていますが、私は、今後の朝鮮学校における思想教育強化について大変危惧を抱くものであります。
以上を踏まえ、知事にお伺いします。
東京都では、石原知事が明確な意思表示をして朝鮮学校補助金を来年度予算に計上しないとされましたが、神奈川県の知事として来年度補助金交付についてどのように考えているのかお伺いします。また、石原都知事や埼玉の上田知事は、補助金支出の判断材料として「授業の抜き打ち確認」を複数回行うと述べていますが、神奈川県として授業の抜き打ち確認等を実施するおつもりはあるのか、重ねて知事の見解を伺います。

質問の第三は、拉致問題についてであります。
黒岩知事は、映画「アブダクション」(邦題「めぐみ‐引き裂かれた家族の30年」)の製作に関わったという経緯もあり、知事就任以来、この拉致問題については非常に熱意をもっていらっしゃると拝察いたしております。また、去る2月1日には、全国の都道府県で初めて、拉致問題担当理事を置いて水田氏を登用され、私も今後の活動・展開を期待しているところであります。
さて、2年程前の平成21年12月の本会議におきまして、私は拉致問題について質問をし、当時の拉致問題対策本部が作成した日本人拉致問題啓発アニメ「めぐみ」というものを取り上げました。その中で私は、政府が、平成20年6月、アニメ「めぐみ」のDVDを各都道府県教育委員会に送付し、小中高等学校を始めとした教育機関で拉致問題の啓発を行って欲しい旨の通知を出していたにもかかわらず、まだまだその活用が不十分であるので、もっと周知・改善して欲しい旨の意見を教育長に述べております。
このアニメ「めぐみ」は、昭和52年、当時中学1年生だった横田めぐみさんが、学校から帰宅途中に北朝鮮に拉致された事件を題材に、残された家族の苦悩や、懸命な救出活動の模様を描いたドキュメンタリーアニメで、中国語や韓国語等9カ国語に対応しており、政府のホームページからも視聴・ダウンロード自由で、コピーも自由という約25分間の作品であります。
今般、黒岩知事就任以降、外国人監督が製作した約1時間28分間の映画「めぐみ‐引き裂かれた家族の30年」がクローズアップされていますが、実は私もそれが公開された当時、すぐに視聴いたしておりました。今回、改めて、DVDを購入し内容を再確認いたしましたが、私の同志の地方議員達が、この映画の中で、拉致被害者家族会の皆さんと一緒に、初期の時代から街頭活動を懸命に行っている姿を嬉しく思いながらも、実は不可解と思ってしまう箇所が幾つかありました。まず一つ目のシーンですが、茅ヶ崎市で開催された「平和と人権講演会...拉致問題を考える」と題された市民集会で、会場の女性が意見を述べているシーンであります。この時、女性は、「(日本も)北朝鮮に同じことを、60年前にしていたでしょう...どうしたら、皆にわかってもらえるように私も言えるのかなとすごく思ってしまって...」と
泣きながら訴えていました。私は、日朝、あるいは日韓でもそうですが、両
国の間で歴史の共有はそもそも不可能であると思います。ただ、この女性の言う、日本が60年前、北朝鮮に同じことをしたというのは明らかに誤った思い込みであって、彼らの使ういつもの論理のすり替えに他なりません。即ち、現在進行形の国家犯罪である日本人拉致事件と、過去の日朝併合という歴史事象を同列に扱い、日本軍が朝鮮人女性を二十万人も強制連行し、性奴隷にしていたなどという虚偽のプロパガンダと一緒くたにしてしまっているのです。私は、本当に、正しい歴史認識、バランスの取れた歴史教育が必要と改めて思います。
それから、もう一つのシーンですが、北朝鮮がめぐみさんのものだと渡してきた遺骨をDNA鑑定し、それが別人のものだと判明する場面があります。当然、御家族はそれを聞いて大変喜んだわけですが、しかし、映画の最後には、こういうキャプションが流れるのです。
「権威あるイギリスの科学誌が遺骨は汚染されている可能性があるとして、DNA鑑定結果の不確実性を指摘」
このキャプションは、正に、遺骨はめぐみさんの可能性がある、めぐみさんは北朝鮮が云うように死亡しているかもしれないという示唆を見る者に与えてしまう気がします。私自身はこの部分に極めて違和感を抱いてしまうのです。
とは言え、知事がおっしゃるように、拉致問題を知る上で、非常に見る価値の高いドキュメンタリー映画だとは思います。以上を踏まえ、知事に伺います。知事は新たに拉致問題担当理事を設置し、今後
様々な活動を展開なさろうとしていますが、ドキュメンタリー映画「めぐみ‐引き裂かれた家族の30年」を県民に見せることで期待されることは何なのか、また、従来の約25分間の拉致問題啓発アニメ「めぐみ」については今後どのように活用していくのか、知事の見解を伺います。

質問の第四は政府が提出しようとしている新たな人権救済機関の設置等に関する法案についてであります。
現在の民主党政権下において、法務省は、新たな人権救済機関の設置等に関する法案を今通常国会に提出するようであり、1月に就任した小川敏夫法務大臣もこの法案を成立させたいと就任インタビューで答えています。
この法案は、我々言論活動を行っている議員はもとより、県民の皆様にも極めて身近な問題として跳ね返ってくる法律と考えられることから、今回、質問をさせていただきたいと思います。
嘗て、人権擁護法案として議論されていたものが、当時、批判の強かったメディア規制の条項が除外されるなど、若干修正され姿を変えて出てきたのが今回の法案だと言えますが、昨年、新たに法務省が発表した法案の概要を読んでみても、やはり極めて妥当性・必要性に疑念を抱かざるを得ない代物だと私は思います。
まず、概要の中では、一番大事な「人権侵害の定義」を「司法手続きにおいても違法と評価される行為」としていますが、裁判官でもない人権委員なるものが「違法である」と明確に判断を下すことなど土台不可能であり、恣意的な法的解釈が運用される可能性が多分にあります。また、実際に、現行の人権救済制度や司法手続きでさえ対処できない「違法な行為」などほとんど無いに等しく、「児童虐待防止法」「配偶者暴力防止法」等、既存の種々ある個別法の改正や新設で十分対応できるはずであります。さらには、国家行政組織法3条2項に規定された、法務大臣の指揮監督を受けない、独立性と強い権限を持ちうる、いわゆる3条委員会を、人権委員会として法務省の外局に設置する財政的余裕も、今の日本には無いはずだと思うのです。
ましてや、もし現行制度で対処できない「違法な行為」や「差別助長行為」が日本で多発しているというのであれば、どのような事例があるのか、年間何件発生しているのか、国民・県民に説明責任を果たすべきであります。
私は、本日、国旗国歌、朝鮮学校補助金や拉致問題等についてこれまで縷々質問してまいりましたが、もし、この法案が成立してしまった後なら、私自身が誰かから人権侵害だと告発を受ける可能性が十分あることも否定できない事実なのであります。
私は、「人権侵害の救済」の美名の下に、逆に相手方の人権が蹂躙される恐れがあり、差別的言動の取締りを理由に、言論の自由が危険にさらされる、そんな独裁国家の秘密警察の如き機関は、今の日本に必要ないと考えます。
そこで、以上を踏まえ、今国会に提出されようとしている「新たな人権救済機関の設置等に関する法案」について、知事はどのようにお考えになっているのか、見解を伺います。

質問の第五は「コドモ」という言葉の漢字かな交じりの表記についてであります。
最近、「子ども手当」に代表されるように、行政が使う言葉において、「コドモ」の「子」を漢字にし、「ども」を平仮名にした「子ども」表記が非常に目につくように感じます。私自身は、以前から、漢字2文字の「子供」表記をこれまで頑固に使ってきましたが、数年前から、東京都の教育庁においても、方針として、漢字かな交じりの「子ども」と表記していた用語を、漢字2文字の「子供」へと改めているようであります。さて、漢字かな交じりの「子ども」表記が広がった理由としては、幾つかの説があると言われております。一つは、漢字2文字の「子供」の「供」は、お供の「供」で、家来や子分を連想させ、親の所有物といった解釈となって、子供の差別にあたる、と左翼系の女性が主張し始め、その表記が広がったというもの。二つ目は、「子供」の「供」は、供養という字の「供」と同じで、「供養=死」というのでは可哀そうだと人権団体や学校現場等で言われ始め、誤解や批判を避けたい教師側の自主規制から広がった、という説であります。その他、見た目の語感が柔らかいからとの意見もあるようですが、実際、文化庁は、この「コドモ」表記問題について、「子供」の「供」は「おともの意味ではない」「公用文における漢字使用の目安である「常用漢字表」の文字であり、漢字2文字の「子供」の表記が望ましい」と、見解を述べています。
私の感覚でいえば、ひらがなで「ども」といえば、「野郎ども」「馬鹿ども」といった少々下卑た複数形のニュアンスを抱くのですが、いずれにしろ、漢字と仮名の交ぜ書きの「子ども」表記は日本語として美しくないように思うのであります。
私は、行政が使う言葉は、社会の規範的な役割を有するだけに、漢字かな交じりの「子ども」表記を、最近の流行りだという理由だけで、安易に多用するのはいかがなものかと思いますし、日本語がおかしくなりつつある昨今だけに国語表記に襟を正すべきだと思います。
以上を踏まえ、「コドモ」という言葉の表記について、知事の見解を伺います。

質問の第六はたばこ対策・受動喫煙対策についてであります。
私は平成15年に県議会議員に選出していただいて以来、ほぼ毎年のように、本会議や予算委員会等において、タバコ・喫煙関連の質問を、県民の健康増進やがん対策、青少年対策の観点から行ってきました。必然的に、様々なご意見を皆様からいただきましたが、議員提案条例として平成20年4月1日に施行された「神奈川県がん克服条例」の中にも、第4条「県民の責務」、第5条「がんの予防及び早期発見の推進」の項に喫煙に関する記述が出てきますし、また、県の「がんへの挑戦10か年戦略」においても、たばこ対策の推進が県の政策の中で明確に位置づけられるなど、それらは今も重要な視点だと私は考えます。
さて、御承知のように、受動喫煙の防止を目的とする全国初の「神奈川県公共的施設における受動喫煙防止条例」が平成22年4月1日施行され2年近くが経過しようとしていますが、施行後1年の平成23年3月末までに、学校や病院、官公庁、商店などの施設では約99%が禁煙に対応し、規制による客の減少が懸念されていた飲食店などでも、努力義務となっている小規模施設を除き、約80%が禁煙または分煙としており、順調な滑り出しを見せているように思います。
受動喫煙防止条例は、神奈川から発進された全国初の条例として、国や他の地方自治体に少なからず影響を与え、現在、兵庫県でも同様な条例が議論されているようですが、歴史をひも解いてみますと、そもそも日本で初めてタバコを規制する政策を打ち出したのは江戸幕府の2代将軍、徳川秀忠でありました。
1570年頃、南蛮船によりタバコが日本に伝来し、医学知識の無い当時は薬として扱われたこともあったようですが、タバコによる不審火や火事が度々あったこと、また、長いキセルを腰に下げて乱暴狼藉を働く「かぶき者」を統制するため、秀忠は1607年(慶長12年)禁煙令を出しました。それ以降、一時期、徳川吉宗が禁煙令を解除し開墾による葉たばこ生産を奨励したことはありましたが、大政奉還に至るまで、幕府は一貫して禁煙令を発令・継続してきたのであります。また、江戸時代、貝原益軒が「養生訓」の中で喫煙の害を既に説いてもいましたが、その依存性の強さから、今の世に至るまで、結局、喫煙者が無くなることはなかったのであります。
さて、1月28日の新聞報道によれば、日本人の死亡原因を色々な危険因子によって比較した場合、何とタバコが年間約12万9千人で1位、高血圧が約10万4千人で2位、以下、3位・運動不足、4位・高血糖という調査結果が発表されました。これは東京大や大阪大の分析から出された結果ですが、日本が長寿国の座を維持するには効果的な禁煙対策が必要であることがわかります。
また、国立がん研究センターは、「受動喫煙による肺がんと虚血性心疾患の死亡数が年間6,800人」であるという推計結果を発表しましたが、それは、例えば、子宮頸がんによる死亡者数2,500人と比較しても決して無視できない数字であると私は思います。
そこで以上を踏まえ、知事に伺います。
私は、例えば、がん対策ならば、まず、がんにならないにはどうすれば良いかということ、即ち如何なる病気でも予防という概念が非常に大事だと思いますし、ましてや、自分以外の人間に対して病気を誘発する原因を作ってしまう事は看過できない行為だと思うのですが、知事は、今後の神奈川県のたばこ対策・受動喫煙対策についてどういう方針で臨まれていくつもりなのか、見解を伺います。

以上を持ちまして、私の第1回目の質問を終わります。

2010年12月07日 一般質問 原稿

私は小島健一であります。議長のお許しをいただきましたので、私は自民党県議団の一員として、通告に従い、提言を交えながら、順次質問をいたしますので、本日最後の質問でありますが、先輩、同僚議員におかれましては、しばらくの間、ご清聴いただけますよう宜しくお願いいたします。

質問の第一は、卒業式・入学式における国旗国歌についてであります。
本年4月、私は縁あって、世界の宗教紛争や民族紛争の原点ともいえるイスラエルの地を訪問し、聖地エルサレムではキリストが十字架を背負い歩いた悲しみの道(ビアドロローサ)も辿って参りました。ユダヤ人が1900年の流浪と苦難を経て建国したのがイスラエルであり、ダビデの星を記したイスラエル国旗と国歌は正に国民と一心同体であることを現地で実感させられました。
先月、横浜の地では、太平洋を取り巻く21の国と地域が参加するAPECが開催されました。そして、11月13日には、オバマ米国大統領や中国の胡錦濤国家主席、ロシアのメドベージェフ大統領も参加する首脳会議が開催され、会場周辺は約2万人の警察官が集結し、これまでにない厳戒態勢で警備が行われていました。
まさにその厳戒最中の13日に、9グループ約4千人のデモが会場周辺で起きていたらしいのですが、私自身も「頑張れ日本!全国行動委員会」主催のデモに参加し、神奈川区の反町公園から横浜駅西口を経由して沢渡公園へと向かうコースを、「守るぞ日本!」と書かれた大きな横断幕を持ちながら、その集団の先頭を歩いておりました。
翌日の新聞では、反グローバリズムを唱える某団体のデモが大きく報道されていたようでしたが、3000人を超える、横浜における過去最大規模の我々のデモはほとんど報道されておりませんでした。その理不尽さはともかくとして、このデモは9月に起きた中国による日本への領海侵犯と、ウィグル・チベット・内モンゴルへの人権侵害に抗議するものであったわけですが、参加者の多くはそれぞれ国旗を手に持ち行進をしておりました。もちろん、中国国内で起きている暴動のようなデモとは違い、極めて粛々としたデモであったわけですが、通行人や沿道の人々も、日本の国旗がこれ程、集団となってうねっている様子には非常に驚いていたようであります。
しかし、デモの参加者は、従来の右翼のカテゴリーには決して入らないサラリーマンや、ベビーカーを押す母親、学生、年配の方々といったいわゆる普通の人達であり、各自が、ごくごく当たり前に国旗を手に持っていたのであります。そこにあるのは、正にこの国を想う純粋な気持ちの集合体というものであり、国旗国歌に愛着を持つ事が、左翼の云う軍国主義の復活とは程遠いものであると再認識した次第です。
さて、170名の県立学校の教員らが98名の弁護団とともに提訴し、平成17年7月から4年に亘り横浜地裁において行われた「国旗国歌に対する忠誠義務不存在確認請求事件」という裁判は、平成21年7月16日、「原告らの請求をいずれも棄却する」という判決が下され、その後、平成22年3月17日、東京高裁も、不適法な訴えとして請求そのものを却下、現在、最高裁の判断を待つ状況であります。
一方で、平成20年11月には、県の個人情報保護条例を楯に「不起立者の氏名把握に関する訴訟」が新たに提訴され、現在までに、横浜地裁で口頭弁論が9回行われています。県教委の主張は、「不起立情報は服務に関する情報であって思想信条に該当しない」「不起立情報の取扱は、県の個人情報保護条例に違反しない」という至極当然のものであり、今後の司法の良識ある判断を期待したいと同時に、この不毛なイデオロギー闘争の早期の終結を望むものであります。学校現場にはもっと解決しなければならない重要な課題が他にあるのではないか、と多くの県民は思っているはずだと思います。
さて、平成17年春の入学式・卒業式には104名もいた県立高校の不起立者の数は、平成22年春には43名になり、昨年と比べても18名少なくなって、着実に減少傾向にあるようです。また、先週には、来年の入学式・卒業式の国旗国歌の指導についての通知が県教委から出されたことは承知しております。
そこで、それらを踏まえ、今後、県教委としては国旗国歌についてどのような指導・方針で臨まれていくのか、本年4月に新たに就任された藤井教育長に改めてお伺いします。

質問の第二は、外国人地方参政権についてであります。
本年4月17日、日本武道館にて「外国人地方参政権に反対する国民大会」が開催され、全国から実に一万人を超える国民が集結しました。政権交代が行われた昨年秋頃から、民主党が政策集INDEX2009に明記し推進しようとしていたこの法案に対して、危機感を持った国民の有志達によるデモが各地で頻発し、全国からの署名や、地方議会からの反対意見書も続々と政府に送り届けられる中での大集会は、正に国民の意思を表す証左でありました。が、当日、多くのメディアが取材に来ていたにも関わらず、この大集会は新聞・テレビではほとんど報道されることはありませんでした。
実際、都道府県による反対の立場での意見書決議はこれまでに35県に及んでおり、神奈川県においては、平成13年に「国民主権や国家存立の根幹にかかわる重大な事項であり十分に議論を深める必要がある」とする意見書を既に決議しております。さすがに、これだけの国民の意思表示というものは無視できないということでしょうか、先の参議院選挙でも、外国人地方参政権は民主党マニフェストには記載されず、菅総理の消費税10%発言ばかりが争点とされていたような気がしました。
そもそも論として、参政権は国家の構成員のみに保障される「国民固有の権利」で外国人には認められず、外国人参政権付与は明らかに憲法違反であります。平成7年の最高裁判決が地方自治体レベルでの選挙権付与を可能にしたと推進派が言っているのは、あくまで判決の本論とは直接関係のない傍論に書いている事であって、何ら効力を有していないのであります。その上、今年に入り、当時その傍論を書いた元判事自身がその判断を為した理由として「在日韓国・朝鮮人をなだめる意味があった。政治的配慮があった」とさえ明言しており、云わば、それが御本人の過度の贖罪意識に基づくものだったと吐露しているのであります。
また、昨年の夏、私は、韓国との国境の島である長崎県対馬にも仲間と赴き、現地の状況をつぶさに見て参りました。対馬では、自衛隊基地周辺の土地が韓国人に買われ、現地の由緒ある和多都美(わたつみ)神社では、日本人が奉納している絵馬の裏や文字の上に、ハングル語で「竹島は韓国の領土」「対馬は確実に韓国の領土」「日本の天皇は韓国の子孫」などと平気で殴り書きされておりました。もし、今後、外国人地方参政権が認められた場合、人口三万五千人の対馬が、あるいは同じく台湾や中国との国境の島である人口千六百人余りの与那国島で何が起こるかは想像に難くありません。
さらに、今年の5月、自民党山谷えり子参議院議員の質問主意書に対して、意外にも、鳩山内閣として外国人地方参政権は憲法違反であるという主旨の答弁を正式にしていたにも関わらず、驚くことに、10月には、自民党上野通子参議院議員の質問主意書に対して、内閣総理大臣臨時代理国務大臣仙石由人の名で、外国人に地方参政権を付与することは憲法上禁止されているものではないという傍論部分を、最高裁の示した考え方として最大限尊重しなければならないという答弁へと、国民の知らないところで大きく変わってきているのであります。
そこで、これらを踏まえ、知事にお伺いします。
松沢知事は、今年に入り、全国知事会議でもこの課題を提議するなど、少なからず当初から危惧や疑念を感じておられるものと拝察しておりますが、改めて昨今の情勢を見て、外国人地方参政権付与については、どのように考えていらっしゃるのか、知事の見解を伺います。

質問の第三は、夫婦別姓についてであります。
先月、仙石官房長官を議長とする政府の男女共同参画会議は、第3次男女共同参画基本計画案を公表し、その中で、選択的夫婦別姓の導入に向けた民法改正について、「引き続き検討を進める」と明記しました。
この民法改正については、民主党政権成立時、男女共同参画担当大臣であった福島瑞穂氏や法務大臣であった千葉景子氏が昔からの熱心な推進者であったわけですが、果たして、今、日本の伝統的家族制度を壊してまで選択的夫婦別姓へ変更しなければならない理由とは一体何なのでしょうか?
確かに、大きな理由として、女性の社会進出にともなって、結婚の際の改姓により生じる不便や不利益を解消するためという一面は否定できなかったとは思いますが、これについては、現在、国家資格に基づく仕事である弁護士、税理士、そして公務員や民間会社の多くで旧姓を通称使用することが認められるようになってきております。即ち、戸籍法を一部改正させ、旧姓併記できるように法律で規定しさえすれば、何も夫婦別姓制度を導入しなくても、改姓による不利益は十分解消されるのであります。
では、夫婦別姓を推進してきた方々の主張や家族観とはどういったものかと言いますと、例えば福島瑞穂氏は、次のように述べています。
「私は、子供が18歳になったら『家族解散式』というのをやろうと思っていて、それ以降は、パートナーと子供ともスープのさめない距離に住んで、名実共に個人単位で暮らしていきたいなと思っている」
「よく『離婚して親と名前が違ったら子供がかわいそう』と言われるが、別姓が実現すれば、クラスの中に親と名前の違う子がドンドン増えてくるでしょうから問題ないと思います」
「これからますます、家族の中とか外とか、血縁か血縁ではないか、手術の承諾書をとるのは親族に限る、みたいな感覚が薄れて、線引きで家族をがちがちに守るというより、家族が個人のネットワークになってくる。」
また、千葉景子氏は、
「戸籍を家族から個人単位に変えるべき」と主張し、「別姓でも同姓でも、身分の問題をその都度届けなければならないのが今の戸籍制度であり、むしろ、個人個人が登録をして、ただ誰々といつ結婚した、それが両方に記載される、そういう個人籍の方がすっきりわかりやすい」と述べています。
こういった考え方を見ていますと、推進派が家族より個人を優先するという視点に立っていることは明らかであるわけですが、私は夫婦別姓制度の導入は必ずや「親子の絆」「家族の絆」の崩壊を招き、社会の基本単位である家族が解体していく道筋は避けられないと考えます。そしてそれは、まさしく日本社会解体へと直結していると思うのであります。
実際、日本人にとって『姓』というものは祖先から受け継いできたものという感覚が強いということは最近の世論調査からも明白であり、何よりも、調査の結果、夫婦別姓制度に対して過半数以上の国民が反対を示しているのであります。そういう政策を敢えて推し進めるということは、あたかも日本に革命を起こそうとする勢力が政権の中枢部にいるのだと思わざるを得ません。さて、政府がモデルとしているのはスウェーデンの制度だと言われていますが、現在、スウェーデンでは、30数年間、この政策を取り続けた結果、夫婦の関係が希薄になり事実上の離婚率は50%を超える状況です。さらに再婚・離婚が繰り返され、母子家庭、再婚同士の連れ子で構成される混合家族が急増、毎年生まれる子供の約半数が婚姻以外のカップルから生まれる非嫡出子となっています。そうした中、明らかに被害を一番受けているのは子供達であり、家族関係の希薄さが原因で、青少年の薬物使用や犯罪発生率も高くなっていると言われています。そして、実際、日本においても、夫婦別姓が「子供にとって好ましくない影響がある」と考えている人の割合が70%近くもいるのであります。
今必要なのは、家族を守る政策、家族の一体感を確保するような政策ではないかと私は思います。そこで、以上を踏まえ、知事にお伺いします。
民主党政権下において、選択的夫婦別姓の導入に向けた民法改正が進められようとしていますが、夫婦別姓制度に対する知事の見解を伺います。

質問の第四は子宮頸がん対策についてであります。
ドイツ人のウィルス学者であるハラルド・ツアハウゼン氏は1976年に「HPV(ヒトパピローマウィルス)が子宮頸がんの原因である」という仮説を発表し、1983年には子宮頸がん腫瘍の中にHPV16型のDNAを発見、翌年にはHPV18型のDNAも同腫瘍中に発見し、この研究結果を元に2006年に子宮頸がんワクチンが製造されるに至りました。その後、ハラルド博士は、2008年、HPV、即ちヒトパピローマウィルスの発見の功績により、ノーベル生理学・医学賞を受賞しています。
そして、欧米に続けとばかり、昨年10月には、日本において、グラクソスミスクライン社の子宮頸がん予防ワクチン「サーバリックス」が認可され12月から販売が開始されました。唯一、ガンを予防できるワクチンということで、多くの医療関係者や女性達に期待を与えたことは間違いない事実でありましょう。
ところで、このワクチンの添付文書の中で、その効能・効果については、「ヒトパピローマウィルス(HPV)16型及び18型感染に起因する子宮頸がん及びその前駆病変の予防」と書かれています。
更に、効能・効果に関する接種上の注意として、以下の4項目が明記されています。
(1)HPV-16型及び18型以外の癌原性HPV感染に起因する子宮頸がん及びその前駆病変の予防効果は確認されていない。
(2)接種時に感染が成立しているHPVの排除及び既に生じているHPV関連の病変の進行予防効果は期待できない。
(3)本剤の接種は定期的な子宮頸がん検診の代わりとなるものではない。本剤接種に加え、子宮頸がん検診の受診やHPVへの曝露、性感染症に対し注意することが重要である。
(4)本剤の予防効果の持続期間は確立していない。
即ち、多少言葉を補記した上で平たく説明しますと、このワクチンは日本人の子宮頸がん罹患者の50%~70%の原因である2種類のHPVには対応しているが、それ以外には全く効果がない。ワクチン接種時にHPVに既に感染している場合は効果がなく、また、そのHPVを排除できるわけではない。このワクチンは子宮頸がん検診の代わりになるものではなく、検診と性感染症に対する注意が必ず必要である。このワクチンについて、現時点で予防効果は最長6.4年間しか確認されていない。」
現在、このワクチンの存在自体については、様々な広告・広報媒体や政治での議論の中で、かなり認知されるようになってきているように感じます。
しかし、色々な年代の女性から実際に話を聞く中で、まだまだ多くの国民・県民が正確な知識を持っていないのではないかという危惧を私は感じざるを得ません。というのも、私が伺った方々のほとんどは、このワクチンを打てば、年齢に関係なく、一生、子宮頸がんに罹らないと思っており、また、ワクチンによる副作用・副反応についても全く承知していませんでした。
今後、県民への正確な情報の伝達がより一層必要だと思います。が、このワクチンが、ある程度の割合で、一定の期間は、子宮頸がんを予防するわけですから、がん対策の有効な手段の一つであることは否定できない事実だとは思います。もちろん、未だに欧米とは比較にならない程低い婦人科健診をセットに考えてのことでありますが。
さて、このワクチンが4万円から5万円と高額であることもあり、昨今、全国的に公費助成を行う自治体が増えております。神奈川県内でも、鎌倉市、松田町、大和市、今月からは中井町で、全額あるいは一部助成が開始されております。国においても、子宮頸がんのワクチン助成事業について、細菌性髄膜炎、小児用肺炎球菌ワクチンと合わせて今年度分の補正予算として計上されたようであります。
これほど、子宮頸がんが注目をされる理由として、確かに、近年、20代後半から30代の若い女性の子宮頸がん発症率が増加しており、年間約2500人の女性が亡くなっていることが大きな要因であると思います。
では、なぜ、20代~30代の若い女性の発症率が増えたのでしょうか。
私の尊敬する山谷えり子参議院議員が政府に提出した「子宮頸がんワクチン接種」に関する質問主意書の中で、政府は、「その原因として、性交渉開始時期の低年齢化等の影響があるものと考えている」と正式に答弁しています。また、発がん性HPVに感染しても90%以上は免疫により体内から消失し、子宮頸がんに進展するのは0.1~0.15%とごくわずかなのであり、むしろ子宮頸がん発生リスク上昇の大きな原因として、私がいつも問題にしている、若い女性の喫煙率の増加もその大きな原因の一つとなっていることは間違いない事実であります。
ワクチンには必ず副反応が伴いますが、そのリスクを鑑みても国民をその疾患から守ることが国益なのであり、つまるところ公衆衛生は正に国防対策でもあると私は考えます。それ故に、ワクチンの費用対効果を考え、公費の導入化にあたっては、ワクチンの優先順位を冷静に考えなくてはならないのではないかと思います。実際、子宮頸がんワクチンよりも、先述した細菌性髄膜炎や肺炎球菌や、B型肝炎、ポリオワクチンの生ワクチンから不活化ワクチンへの転換等を望む医療関係者も多いのであります。
現実問題として、性交渉の無い女性は決して子宮頸がんには罹らないわけであり、まだ未成熟といっていい10代前半の女の子に対して、まるでワクチン接種によって性交渉開始のサインを与えるかのような社会の動きも現在あります。今では、セクシャルデビュー前にワクチン接種を!と、解説書に普通に書かれていますが、セクシャルデビューという言葉に違和感を覚えるのは私だけではないはずです。私は、そんなことより、むしろ正しい性教育や性道徳、婦人科検診の重要性を教える事の方が大切なのではないかとさえ思うのであります。
そこで、知事に伺います。
知事は、今後の子宮頸がん対策におけるワクチン接種やそれに対する公費助成、さらには性道徳や婦人科検診についてどのように考えていらっしゃるのか、見解を伺います。

質問の第五は朝鮮学校補助金についてであります。
現在、神奈川県には11の外国人学校があり、その内、10校に対して経常費補助金が交付されております。補助金交付先の対象校は、北朝鮮を母体とする朝鮮学校が5校、台湾系が1校、中国系が1校、欧米系が3校となっており、教職員数、生徒数、施設面積、学費負担の軽減率などを基に補助金が算出されているとのことであり、全校が同じ算出方法だということであります。
平成21年度、朝鮮学校5校に対して、神奈川県は72,476千円を交付しております。ちなみに、都道府県で朝鮮学校への補助金が最も多いのは大阪府の約185百万円、その次が兵庫県の約139百万円、3番目が神奈川県となっておりますが、都道府県内の市区町村でも別途、補助金が交付されており、神奈川県では横浜市と川崎市から、県とは別に補助金16百万円余りが出ております。
さて、去る9月、大阪府においては、高校授業料無償化議論をきっかけに、有識者による大阪朝鮮高級学校の教育活動に関する提言が出され、橋下知事はこの提言が受け入れられない限り補助金を支給しないと明言されました。その提言の中身としては、教科書や教育活動が日本の学習指導要領に準じているかの視点から、文系教育科目における特定の政治指導者に対する敬称や政治的中立性について指摘し、さらには財務情報の公開など、透明化を求めています。特に「現代朝鮮史」の科目においては「教科」ではなく「特別活動」と位置づけるべきとし、多角的で柔軟な見方ができるよう異なる見解のある歴史的事象については、両論を教えることが望ましいとしています。
私自身も、実際に朝鮮高級学校で使用されている「現代朝鮮歴史」1,2,3の日本語訳を読んでみましたが、日本やアメリカを敵視し、金日成・金正日親子を無条件に崇拝させる内容であり、明らかに偏った、はっきり言えば、嘘の歴史が記述されていました。例えば、1987年の金賢姫元死刑囚が関与した大韓航空機爆破事件については、「南朝鮮旅客機失踪事件」とし、次のように書かれています。
『1987年11月28日イラクのバクダッドを出発しソウルに向かった南朝鮮旅客機が、タイ~ミャンマー国境付近上空で失踪した事件。南朝鮮当局はこの事件を「北朝鮮工作員金賢姫」が引き起こしたとでっち上げ、大々的な「反共和国」騒動を繰り広げ、その女を第13代「大統領選挙」の前日に南朝鮮に移送することによって盧泰愚「当選」に有利な環境を整えた。』
また、横田めぐみさんを始めとする北朝鮮による日本人拉致事件については、一切、謝罪をほのめかす表現さえもなく、
『2002年9月、朝日平壌宣言発表以後、日本当局は「拉致問題」を極大化し、反共和国・反総連・反朝鮮人騒動を大々的に繰り広げることによって、日本社会には極端な民族排他主義的な雰囲気が作り出されていった。』と書かれているのみであります。
一方、文部科学省は、11月5日、個別の教育内容は問わず、専門家会議の基準案というのを基に朝鮮学校を「高校に類する課程」と認め、高校無償化の対象とする方向性を示しました。これに対し、北朝鮮による拉致被害者家族連絡会や救う会が「朝鮮学校への国庫補助に反対する緊急声明」を発表しております。
その声明には、「朝鮮学校は純粋な教育機関ではなく、拉致被害者をいまだに返さない朝鮮労働党の日本での工作活動拠点なのだ。朝鮮学校への国庫補助は、このような拉致を棚上げにしようとする朝鮮総連と朝鮮学校の政治活動を公認し、支援するものとなる。国庫補助の実施は、拉致問題で誠意ある行動を取らない限り北朝鮮に制裁を強め支援をしないという従来の方針に反するものといわざるを得ない。北朝鮮に対して拉致問題で日本が軟化したという間違ったメッセージとなる危険が大きい」と書かれています。
私も、全くその通りだと思いますが、その後11月24日、文部科学省は、北朝鮮による韓国・延坪島砲撃を理由に、朝鮮学校への高校授業料無償化適用手続きを当面停止するという方針の転換を打ち出しました。菅政権も、北朝鮮や朝鮮総連の強い影響下にある朝鮮学校に対して、教育内容は不問として公金を投入することの問題性に漸く気付いたようですが、当初の重要な考え方を、いとも簡単に翻す思考の軽さに対して、憤りを感じざるを得ません。
松沢知事は、先月9日の記者会見で、県の補助金について、「あからさまに反日教育を行っている学校には出すべきではない」との方針を述べ、その後、歴史教育全般に対する考え方や拉致問題、大韓航空機爆破事件、補助金の使途等の確認のために朝鮮学校を訪問されるなど、この補助金交付について相当な問題意識をお持ちだと拝察しております。
さらに、福岡県内の朝鮮学校における、補助金の二重取りや不明瞭な補助金の使途についての新聞報道も先日あったばかりであります。
そこで、以上を踏まえ、知事に伺います。知事は、今後、朝鮮学校への県の補助金交付、並びに高校授業料無償化適用にどのように対応していかれるのか。また、補助金を交付する場合、先述した現代朝鮮歴史の教科書にある拉致問題等の記述に修正を求めていき、学校での教え方についても確認していくおつもりなのか。さらに、知事は以前、「経常費補助金の使途についても調査を行う方向で調整を進めていきたい」と述べておられますが、様々な報道で朝鮮総連と朝鮮学校との密接な関係も指摘される中、経常費補助金の使途について、今後どのように確認をしていくおつもりなのか、知事の見解を伺います。
以上を持ちまして、私の第1回目の質問を終わります。

2009年12月09日 一般質問 原稿

私は小島健一であります。私は自民党県議団の一員として、通告に従い、提言を交えながら、順次質問をいたしますので、本日最後の質問でありますが、先輩、同僚議員におかれましては、しばらくの間、ご清聴いただけますよう宜しくお願いいたします。
質問の第一は、卒業式・入学式における国旗国歌についてであります。
去る11月12日、皇居前広場において「天皇陛下御即位二十年をお祝いする国民祭典」が三万人の観衆を集めて行われました。人気グループEXILEが奉祝曲を披露することで大変話題にもなりましたが、私自身も御招待を受け2時間余りの祭典の宴を堪能させていただきました。
祭典においては、平沼赳夫先生の開会挨拶の後、
まず、日本を代表するオペラ歌手・佐藤しのぶさんの国歌独唱が行われました。その後、各界からのお祝いや演奏などが続き、後半、EXILEによる「太陽の花」の熱唱に続いて、参加者三万人による国歌斉唱が行われました。当然のように、司会者が国歌斉唱に際しては、「帽子をお脱ぎいただき、お身体に支障がない限り御起立願います」とアナウンスしていましたが、三万人による国歌斉唱は実に清々しい雰囲気がありました。そこにあるのは正に「平和」や「安寧」そのものであって、誰かが云う軍国主義の面影など微塵も私には感じられませんでした。
さて、平成17年7月から4年に亘り横浜地裁において行われた「国旗国歌に対する忠誠義務不存在確認請求事件」という裁判において、去る7月16日、漸く判決が下されました。御承知の通り、これは170名の県立学校の教員らが98名の弁護団とともに、「卒業式等の行事において、教職員や児童・生徒は憲法に保障された思想信条の自由か
ら、国旗掲揚国歌斉唱時に起立や斉唱する義務がないことを認めろ」と、神奈川県を相手取って訴訟を起こしていたものですが、結局、判決は「原告らの請求をいずれも棄却する」というものでした。
即ち、「教員らは、それぞれ、その所属する学校の校長から、生徒に対して国歌斉唱の指導を行うため、また、式の円滑な進行のため、入学式、卒業式において、式の参加者として式次第に従って、国歌斉唱時に起立する旨の起立斉唱命令が発せられた場合には、これに基づき、入学式、卒業式に参列するに際し、国歌斉唱時に国旗に向かって起立し国歌を唱和する義務を負うものと解される。」という見解を裁判所は示したのであります。至極真っ当な判決で私自身も司法の良識に安堵した次第ですが、判決後、予想通り、原告らは、135人と人数は減少したものの東京高裁に控訴し、去る12月2日に口頭弁論が行われたようであります。この教育現場を超えたイデオロギー闘争がいつま
で続くのか、学校現場にはもっと解決しなければならない重要な課題が他にあるのではないかと私は思います。
先述した天皇の御即位二十年をお祝いする国民祭典には、鳩山総理を始め現役閣僚の方々、総理大臣経験者、各党代表の方々もいらしていました。しかし、過日来日されていた台湾の李登輝先生が小林よしのり氏との対談でもおっしゃっていたようですが、日本の国旗をハサミで切り、二枚くっつけて党旗を作成しながら、党大会では肝心の日本の国旗がないというような政党が日本の舵取りを今後行っていくということに、いささか不安を感じているのは私だけではないはずであります。
そこでまず、国旗国歌に対して政治及び行政がどうあるべきとお考えになっているのか、知事の見解をお伺いします。
また、先週、来年の入学式・卒業式の国旗国歌の指導についての通知が県教委から出たようですが、今回の横浜地裁の判決を踏まえ、今後、県教
委としては国旗国歌についてどのような指導・方針で臨まれていくのか教育長にお伺いします。
質問の第二は、教科書採択問題についてであります。
本年8月、来年度から使用の中学校歴史教科書の採択に際し、横浜市教育委員会は市内18区の内、港南、旭、金沢、港北、緑、青葉、都筑、瀬谷の8区で自由社版の教科書を採択しました。この採択結果については、その後、市民団体等から「戦争を賛美する教科書を採択すべきでない」「内容が偏っている」などの反対意見があり、一部の新聞もそれを暴挙だと殊更に非難していたようですが、この教科書を実際に読めば、決して戦争を賛美しているものではないことは明らかであります。私見を述べれば、自由社版教科書は、歴史には光と影の部分があるということを両論並べているだけであって、それを厭世的平和主義者とも言うべき人から言わせれば納得できないだけのことなのだ
と考えます。例えば、自由社版は、昭和16年12月から20
年8月までの戦争を大東亜戦争(太平洋戦争)と確かに記述しており、それについても批判が集中したわけでありますが、歴史を冷静に鑑みれば、昭和16年12月、日本において、その戦争を「大東亜戦争」と閣議決定で正式に命名している事実があります。しかし戦後、GHQが「大東亜戦争」という用語の使用を禁止し、日本占領政策の情報操作の中で強制的に「太平洋戦争」と名称変更させ、現在に至っているわけであります。
さて、その後、現在、区毎とされている横浜市の市立小中学校の教科書採択地区を1地区化したいという要望が横浜市教育委員会からあり、10月に神奈川県教育委員会で審議された結果、多数決で可決されました。これについても、戦前の国定教科書への布石だとか、現場の声が反映されなくなる等の反対意見も市民からあったわけなのですが、一方では確かに、横浜市民にとって同一教科
書であることの利便性は否定できないはずだと思います。
近年では、教科書採択が行われる度、歴史教科書のみが議論の対象とされ、そして、ある特定の出版社の教科書だけがいつも批判の対象とされてきているわけですが、一部のマスコミや団体から批判されるのを承知で粛々と今年度の採択を行った横浜市教育委員会に対して、私自身少なからず敬意を表しておるところであります。
そこで、まず知事に伺います。
検定教科書の中から教育委員会が教科書を採択するという現行制度の中で、横浜市において自由社の歴史教科書が採択されたことについて知事はどのような感想をお持ちなのか見解を伺います。
次に、横浜市の教科書採択一地区化を認めながら、一方で厚木、愛川、清川の3市町村にまたがる愛甲地区については細分化するといった整合性の無さに批判もあるようですが、県教委としては教科書の採択地区について今後どういう方針で対
応していくのか、教育長に見解をお伺いします。
質問の第三は道徳教育についてであります。
先月、政府の行政刷新会議の事業仕分けにおいて、文部科学省の道徳教育関連予算10億6千万円が対象となり3分の1から半額を縮減するという結論になりました。改正教育基本法に基づく新学習指導要領において、道徳教育は教育活動全体を通じて明確化され、近年では規範意識の重視をはじめ、道徳教育の充実が漸く図られてきたばかりであったのですが、それを価値観の強制とする新政権を支える日教組の主張そのままに、道徳教育が今後縮小されていくのではという危惧を私は感じております。ちなみに、仕分け人の藤原和博東京学芸大客員教授は、事業仕分けの際やり玉にあがった「心のノート」について、「気持ち悪い」とまで酷評されておられましたが、本来なら、大人に対しての道徳教育こそ必要ではないかと私は正直思った次第であります。
実際に、例えば中学校用の「心のノート」を見てみますと、「この学級に正義はあるか!」という生徒達の痛いところを突くような一言を大きく載せたページや、「我が国を愛しその発展を願う」というページ、そして藤原正彦先生の大ベストセラー「国家の品格」にも取り上げられていた会津藩士としての心構え、即ち「ならぬことはならぬものです」という言葉で締めくくられる「什(じゅう)の掟」の抜粋等も掲載され、新学習指導要領に沿った様々な工夫もされているなと私は思っております。
確かに、何をもって道徳、そして道徳教育とするのかは難しい命題だとは思います。かつて、ヨーロッパではキリスト教という宗教教育の下で善悪の基準を子供達に教えてきましたが、確たる宗教教育の無かった日本人は果たして何を基準に善悪の観念を伝承してきたのか、その答えとして、新渡戸稲造が世界的ベストセラーとなった「武士道」を発表したのは御承知の通りであります。私
は、今も日本人の精神的支柱として武士道精神が心の深奥に残っていると思いますし、それが日本人の道徳感の重要な一部であると思っております。
昨年、「海の武士道」という、第2次世界大戦時に駆逐艦「雷」(いかづち)の艦長をされていた工藤俊作中佐の人生を描いた本が刊行されました。現在では「工藤俊作艦長」道徳授業普及推進会という運動も始まったようでありますが、その感動ストーリーは以下の通りであります。
先の大戦中、昭和17年3月2日、ジャワ海北東部スラバヤ沖で哨戒行動中だった日本海軍駆逐艦「雷」(いかづち)が、400名以上の英海軍の漂流者を発見しました。敵の潜水艦にいつ襲撃されるかも知れない極限下にありながら、「敵兵を救助せよ!」と工藤艦長は直ちに厳命。燃料が無くなるのを覚悟の上で、海域一帯において「雷」の停止・発進を何回も繰り返させながら広く漂流者の捜索を行い、結局、220名の日本人乗組員の2倍近い敵兵422名全員を救助。水や食料、衣
服まで十分に与えゲストとして接遇したのです。このような行為は、世界の海戦史上、空前絶後であり、後述するフォール卿の言葉を借りれば、まさに「神のなせる奇跡」でありました。ところが戦後、当たり前の事をしたまでと、工藤中佐自身は誰にもこの話をせず、一人静かに世を去ったのであります。
この美談が世に出るに至ったのは、工藤中佐によって命を救われ、現在、サーの称号まで与えられている英国の元外交官フォール卿がロンドンタイムズや米海軍機関誌に自身の体験を投稿したことによりますが、その後、日本においても某人気テレビ番組で「戦場のラストサムライ」として再現ビデオが放映され、日本中に多くの感動の涙を呼ぶこととなりました。敵国であったイギリス人から日本人の誇りや武士道精神を讃えられることは、ともすれば自虐的な歴史観を押し付けられている教育現場で、日本人の深層に眠る道徳、即ち武士道精神を我々に喚起させる鍵となってくれる
のではないかと思います。実際、既に横浜市内の小中学校や東京都内の高
校など数校において、工藤中佐についてのビデオを使った授業が行われておりますが、生徒達も非常に熱心に聞き入り、「すごい」「感動した」「工藤艦長のような大人になりたい」という感想がほとんどであったようであります。また、この授業の内容自体も、改正教育基本法における「真理を求める態度を養い、豊かな情操と道徳心を養う。生命を尊ぶ。伝統と文化を尊重し、それらを育んできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと」といった理念にも合致すると考えます。
そこで、知事にお伺いします。
政府によって道徳教育関連予算が縮小されようとする中、道徳教育はどうあるべきとお考えなのか、知事の見解を伺います。
また、神奈川県における道徳教育の副教材や補助教材のあり方について、教育長の見解を伺いま
す。
質問の第四は「かながわ教育ビジョン」についてであります。
「かながわ教育ビジョン」は平成17年から検討が始まり、県民の皆さんと協働・連携しながら、平成18年10月には骨子案が出され、平成19年8月に最終案が策定されました。そして、それが、本県の総合計画との整合を図りつつ、今後概ね20年間の神奈川県の教育指針とされていることは承知しております。
一方、国においては、平成18年12月教育基本法が、平成19年6月いわゆる教育三法が、平成20年3月学習指導要領が改正され、平成20年7月には国の教育振興基本計画が策定されるなど、ここ数年で我が国における教育を取り巻く環境が大きく変化してきました。
実は、平成18年12月、約60年ぶりに改正された教育基本法の第17条2項には「地方公共団
体は、前項の計画を参酌し、その地域の実情に応じ、当該地方公共団体における教育の振興のための施策に関する基本的な計画を定めるよう努めなければならない」と記されており、他県においては次々と教育振興基本計画が作成されてきております。
例えば、埼玉県では、新しい時代にふさわしい教育の実現のため、個人の尊厳などの普遍的な理念や、道徳心、自律心、公共の精神といった改正教育基本法の重視すべき理念を踏まえ、平成21年から25年までの5年計画で「生きる力と絆の埼玉教育プラン」という名の教育振興基本計画が平成21年2月に策定されました。
また、東京都は、国に先駆けて平成16年4月に「東京都教育ビジョン」を策定し、これまで着実に教育改革を推進されてきていたようですが、教育基本法改正を受け、さらに、社会の急速な変化の中で「確かな学力」の育成や規範意識の向上、学校教育を地域の社会資源で支える仕組みづくり
や、家庭教育・子育てへの支援などの新たな課題も生じてきたことから、平成20年5月、「東京都教育ビジョン(第2次)」というのを策定し、5年間の年次計画としての「教育振興基本計画」と位置づけました。
一方、神奈川県では先述した平成19年8月策定の「かながわ教育ビジョン」が教育振興基本計画に相当するということのようですが、それが概ね20年間を見据えた長期ビジョンであり、また、現実問題として神奈川県の公立小中学校の不登校児童生徒数が一万人を超え、暴力行為の発生件数ともに全国でワースト1位という不名誉な位置付けである現状を考えれば、他県と同様に5年間を区切って、これまでのふれあい教育の検証だけではなく反省と転換を併せ持つ教育振興基本計画が必要なのではないかと私は思います。
そこで、教育長にお伺いいたします。
東京都は、従来の東京都教育ビジョンに修正を加え、「教育振興基本計画」として位置付けたわけ
ですが、神奈川県においても、教育基本法改正の主旨を踏まえ、社会情勢も念頭においた、より具体的な、5年間程度の年次計画としての教育ビジョンの修正が必要だと思いますが、教育長の見解を伺います。
質問の第五は教職員組合問題についてであります。
平成14年9月の本会議において、我が団の松田良昭議員が教職員の主任制度について質問をされました。松田議員は、その中で、当時、月3000円の主任手当のうちの2000円を、組合員に団結署名させてまで拠出をさせていた組合運動について、その理不尽な行為に対する県教委の断固たる姿勢を求め、制度自体の見直しも検討すべきと提言されました。
そしてその後、県教委は、平成17年度には主任手当の支給を凍結し、平成18年3月31日には主任手当そのものも廃止しております。
そもそも、主任制度は、主任が学校運営に積極的に協力し、教育活動が円滑、効果的に行われることを期待して昭和54年から制度化されていたものですが、神奈川県教職員組合は、「主任制は管理強化につながる」と当初から反対運動を展開し、手当の一部を拠出させていました。
組合組織率の高い神奈川県において、小中学校教員の主任手当の支給状況は制度発足の昭和54年から平成16年度までの間、推計で年間の支給人員約9千人、延べ支給人数は約23万人、年間の手当支給総額約3億円、延べ支給総額は約78億円にもなっております。従って、延べ支給総額の3分の2相当の約52億円が、この間の拠出金総額と推測されるかと思います。そして、松田議員が本会議で質問した平成14年の段階での実際の拠出金残高としては30億6千4百万円余であったようですが、松田議員の質問以降は何故か、拠出金残高の報告は明確には行われていないようであります。
結局のところ神奈川では、規則改正の交渉の結果、主任手当の名称が「教育業務連絡調整手当」とされ、3000円のうちの2000円について、神奈川県教職員組合が「教育振興基金」として一括管理する体制が25年間も続いたわけですが、ここで忘れてならないことは、団結署名させ半ば強制的に集めた50億円余りの資金は、元を糺せば県民の税金であり、公金であるということであります。
さてそんな折、昨年11月、「神奈川県教職員有志一同」なる文書が教育現場に郵送され、教育振興基金の中で使途不明な金銭の流れがあることに対する執行部への説明責任を求める声があがりました。その件は、当時、週刊新潮において、『神奈川県「日教組」を震撼させる「消えた30億円」告発文書』、という記事にもなりましたが、同様に、今年5月には横浜市教職員組合でも、神奈川県教職員組合からの教育振興基金移譲金、即ち元は主任手当拠出金であったお金が組合執行部のマネーゲームの元金になっていて、挙句の果てに2億7
千万円の赤字が発生しているという批判チラシも配られるといった状況になっております。さらに、8月には、県民の中から、神奈川県警本部宛で、神奈川県教職員組合執行委員長、並びに横浜市教職員組合執行委員長に対し、上記の件についての告発状が出されたようであります。
そこで、教育長に伺います。
既に主任制度、主任手当は廃止をされております。しかし、これまで主任手当の半強制的上納システムにより公金が自動的に吸い上げられ、挙句の果てに、億単位の使途不明金について組合内部から疑義があがっている現状を見て、私自身は、神奈川県教職員組合の教育振興基金自体を、財政厳しい神奈川県に返却してもらいたいくらいだと個人的には思いますが、この現況を見て、率直にどういう感想をお持ちになっているか、教育長に伺います。
質問の第六は拉致問題についてであります。
昭和52年9月28日、日本赤軍によるダッカ日航機ハイジャック事件が発生し、犯人グループは、人質の身代金と服役・拘留中のメンバーの引渡しを要求。時の総理であった福田赳夫氏は「人命は地球より重い」と述べ、超法規的措置によって、600万ドル、当時のレートで約16億円と6人のメンバーを犯人側に引き渡したという事件は御記憶の方も多いかと思います。
一方、ダッカ・ハイジャック事件から2週間後の10月13日、同じようにドイツ赤軍によるルフトハンザ機ハイジャック事件が起きていますが、ドイツは交渉の末、犯人全員を射殺、機長一人が不幸にして亡くなりましたが、乗員は全員無事でした。
歴史を時系列的に見ていきますと、その日本赤軍のダッカ・ハイジャック事件から、わずか1カ月半後の昭和52年11月15日、横田めぐみさんが北朝鮮に拉致されております。
当時、ドイツとは異なり、恥ずかしくも日本が
テロリストに屈してしまった外交姿勢が、横田めぐみさんを始め、それ以降も北朝鮮による多数の日本人拉致を許してしまったのだという見方があることは否定できない事実だと思います。
さて、政権交代後の現政府では、中井洽(ひろし)国家公安委員長が拉致担当大臣となり、今後どのように具体的な取り組みをするのか、注視をしていきたいと思いますが、いずれにしろ、拉致問題に対する地方議会としての大きな役割の一つは、この問題を国際的な人権侵害と捉え、風化させないことだと考えます。
実は、前政府の拉致問題対策本部が、北朝鮮による日本人拉致問題啓発アニメ「めぐみ」というものを製作し、平成20年6月、各都道府県教育委員会に送付しております。そして、この約25分間のアニメ「めぐみ」を活用し、小中高等学校、中等教育学校、特別支援学校、高等専門学校、公立図書館で拉致問題の啓発を行って欲しい旨の通知も出ておりますが、未だ、十分な活用が為され
ていないのではないかという感が私にはあります。このアニメ「めぐみ」は、昭和52年、当時中学1年生だった横田めぐみさんが、学校から帰宅途中に北朝鮮に拉致された事件を題材に、残された家族の苦悩や、懸命な救出活動の模様を描いたドキュメンタリーアニメで、中国語や韓国語等9ヶ国語に対応しており、政府のホームページからも視聴・ダウンロード自由で、コピーも自由という
位置付けに現在なっております。そこで、以上を踏まえ、教育長に伺います。まだまだ、学校現場で、このせっかくのアニメ
が十分に活用されていないようであり、私はもっと人権問題と併せて拉致問題の啓発をすべきと思いますが、教育長の見解を伺います。
質問の第七はCOPD(慢性閉塞性肺疾患)対策についてであります。
先日、新聞を見ておりますと、俳優の藤田まことさんが、慢性閉塞性肺疾患のため、出演予定だ
ったTBS系連続ドラマを降板し、中村敦夫さんが引き継ぐという写真入りの記事がありました。
慢性閉塞性肺疾患とは、かつては「肺気腫」「慢性気管支炎」と呼ばれ、タバコの煙など汚れた空気を長年吸って肺の細胞が壊れ、重症になると激しい息切れで身体が動かせなくなったり、酸素吸入が必要になったりする、ぜんそくと並ぶ呼吸器の病気であります。それは、英語のChronicObstructivePulmonaryDiseaseの頭文字からCOPDと呼ばれ、最近は新聞の健康に関する記事などでよく見かけるようにもなっておりますが、治療には家族を含む禁煙が不可欠であり、気管支拡張薬などの吸入薬に加え、呼吸に関係する筋肉を鍛える運動や栄養管理、呼吸リハビリテーションが重要であり、在宅酸素療法も有効とされております。
COPDの主な症状としては、・階段の上り下りで息切れがする。・せきやたんが出る。
・喘鳴(ぜんめい)がある。呼吸のたびにゼーゼー、ヒューヒューがある。
などであり、思い当たる方は要注意であります。
また、WHOの試算によると、2005年に世界中で年間300万人がCOPDにより命を落とし、死亡原因の第4位を占めていますが、今後10年間でさらに30%増加すると予測されております。日本では、厚生労働省の統計によりますと、2005年に14,416人がCOPDにより死亡し、死亡原因の第10位、男性に限ると第7位を占めているとのことであります。
ちなみに、私が今、胸につけている金色のGOLDリボンはCOPDに警鐘を鳴らし啓発を促すシンボルマークとなっているものなのですが、毎年11月18日が世界COPDデーということで、先月も日本国内はもとより、世界各地で様々なイベントが開催されたようであります。
COPDは不可逆的な気道の破壊が生じているため、そもそも治癒しない不治の病ということなの
ですが、COPD患者がインフルエンザに感染すると肺炎を起こすなど重症化する恐れもあり、昨今の急激なインフルエンザ蔓延下においては大変警戒すべき病気であると言えると思います。実際、今月1日、COPDの既往症のある70歳の県内の男性が、新型インフルエンザに感染して死亡したとの新聞報道もありました。
また、COPDは、日本おいても潜在患者数が500万人以上と言われていますが、「息切れは年のせい」と勘違いして病気に気づかない人も多いようであります。
そこで、知事に伺います。予防や啓発を含めたCOPD対策が神奈川県でも今後必要だと思いますが、知事の見解をお聞きします。
以上をもちまして、私の第一回目の質問を終わります。

2008年09月30日 一般質問 原稿

私は小島健一であります。議長のお許しを頂きましたので、私は自民党県議団の一員として、通告に従い、提言を交えながら、順次質問をいたしますので、知事、教育長におかれましては明快な御答弁を宜しくお願いいたします。また、先輩、同僚議員におかれましては、しばらくの間、ご清聴いただけますよう宜しくお願いいたします。
質問の第一は、全国学力・学習状況調査結果についてであります。
今月7日、大阪府の橋下知事が地元FM局の生放送出演中に、去る4月に行われた全国学力テスト結果の公表に対して消極的な、大阪府の市町村教育委員会などを指して「くそ教育委員会が、みんな発表しないと言うんです!」と批判したことは、その後ニュースとしてテレビで流され、全国に波紋を投げかけたことは記憶に新しいかもしれ
ません。さらには「H21年度からテスト結果の開示・非
開示によって予算をつけるかどうか決めさせてもらう」と、それを市町村への予算配分にも反映させるという強気の考えを橋下知事は示されましたが、「くそ教育委員会」という言葉使いの問題は別として、一連の発言は教育委員会のあり方も含め、今の教育行政の問題点を大阪府民に投げかけた大きなメッセージであったように私は思います。
橋下知事の今回の発言に至る背景としては、全国学力・学習状況調査結果において大阪府の公立小中学校の総合順位がそれぞれ41位、45位という、昨年同様、全国で下位に位置していた事実はもちろんですが、テストと同時に行われた生活習慣や学習環境などの調査で、大阪府の子供達が明らかに地域や家庭に問題があることが表れていたことも要因でした。即ち、「教育問題」を教育委員会と学校、教師だけで捉えるには限界があって、今の危機的状況を解決するには早急に地域や家庭
にも責任を持ってもらう必要性があり、そのためには、市町村別テスト結果を公表することで教育レベルの現状認識を地域と家庭に明確に持ってもらい、ある種の府民運動を起こしていきたいという意図でした。
さて、神奈川県の学力テストの結果はどうかといえば、昨年とそれほど変化なく公立小中学校の二科目総合順位は全国でそれぞれ22位、30位という全国平均並という位置づけでした。そして神奈川県内においては、現在、横浜市、川崎市、厚木市が自主的に市の平均正答率を公開していますが、それ以外の市町村教育委員会では非開示とされ、例えば秦野市などにおいては情報公開審査会で市の平均正答率を公開すべきと答申が出たにもかかわらず、秦野市教育委員会が非公開を決定した、といった現状であります。
私は、本来、市町村別の平均正答率だけでなく学校別正答率も公開すべきだと個人的には思いますが、確かに学校別に公開すれば色々と問題が生
じるだろう点も理解できなくはありません。しかし、テスト結果を非公開にすることが、教師と教育委員会の責任逃れと言われないためにも、また、神奈川県全体の学力向上のためにも、大阪府の橋下知事が言っていた地域と家庭が現状認識を共有し責任を持ってもらうということが絶対に必要だと思いますし、むしろ公開した方が多くの県民も納得するのではないかと考えます。
そこで知事にお尋ねいたします。
確かに、教育行政において、各市町村の教育委員会の独立性・中立性・意思決定は非常に重要であることは否定しませんが、地域や家庭にもっと責任を自覚してもらう意味でも、学力テスト結果の市町村別公開はもっと積極的に行うべきと考えますが、知事の見解をお伺いします。
質問の第二は、不登校対策についてであります。
文部科学省の平成19年度児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査によりますと、
神奈川県においては、公立小中学校における不登校児童生徒数が前年度より2.5%多い10,102人と、初めて1万人を超え、2年連続で全国ワースト1位という不名誉な結果が公表されました。ちなみにワースト2位は東京都なのですが、児童・生徒数が我が県よりも多い東京都や大阪府より神奈川県の方が不登校児童生徒数が多いということは、やはり深刻に受け止めなければならない現実であるはずです。
さて、県内公立小学校の不登校児童数は2,153人、公立中学校の不登校生徒数は7,949人、前年度と比較して小学校では102人、中学校では143人増加しています。不登校の出現率こそ中学校においては僅かに減少したものの、この最悪の状況から抜け出すためには県としての積極的対応策が当然必要ですが、一方では、なかなか即効性のある明確な解決策を見出しにくいということも不登校問題の特徴だと思います。
解決策を考える上で、まず不登校の原因ですが、
いじめ、友人関係、親子関係や学業不振など様々な要素がある中で、不登校になったきっかけで一番多いのは「その他本人に関わる問題」、即ち「極度の不安や緊張、無気力等で、他に特に直接のきっかけとなるような事柄が見当たらない」という、要するに本人の心の問題ということが主な原因であり、その事が余計に解決を難しくしているように私は感じます。
今回の調査結果の学年別推移を見てみますと、やはり不登校者数は小学6年から中学1年にかけて、その数が2.9倍と急激な増加が見られています。いわゆる中1ギャップというものですが、施策としては不登校になりそうな芽は早めに小学生時代に摘んでおかなければならないはずです。
先日、私は緑区霧が丘にある、横浜市立の小中一貫教育を実践している学校を訪問してまいりましたが、その学校の最新データからは小中一貫教育を実践したことで、明らかに中学に上がる際に児童達の情緒的安定が見られ、不登校の割合も減
少し成績も向上しているという話を伺いました。もちろん小中一貫校という事が政策実現として難しいことは理解していますが、そこから多くの教訓は得られるはずではないでしょうか。
県教委は、これまでも、フリースクールとの連携、スクールカウンセラー配置活用事業、フレンドリースタッフ派遣事業等を行ってきたことは一定の評価をするところですし、昨年10月には神奈川県不登校対策検討委員会を設置、現状把握と分析を重ね、小中学校の教員向けに登校支援の手立てを示したリーフレットも配布していることは承知しております。
前述したように「不登校児童・生徒数」は中学校で急増しているわけですが、その前兆はやはり小学生時代に出ていると言っても過言ではないと思います。不登校を克服して再登校できた小学生の保護者達の意見として、まず保護者自身が、子供の不登校の原因が保護者自身にあるという自覚をもつことが一番大事なのですが、その後、子供
の再登校を促すにあたっては、その過程で、親と子供の中間年齢にあたる大学生のお兄さんお姉さんの協力を得た事が大変効果的だったという声を多く聞きました。
それ故、私は予ねてから、教職課程履修中の大学生を小学校に派遣するフレンドリースタッフ派遣事業をもっと拡大拡張すべきと訴えて参りました。そして、それは、同時にいじめや暴力行為防止にも大変有効だとも考えています。
現在、フレンドリースタッフ派遣事業は、時給が5,000円もかかるスクールカウンセラーに較べれば100分の1にも満たない予算しか掛けられていませんが、私は是非この事業をもっと拡充すべきだと思いますし、同時に、深刻な中1ギャップ予防の為にも、小学校と中学校の連携事業を積極的に推進すべきと思いますが、教育長の見解を伺います。
質問の第三は卒業式・入学式における国旗掲
揚・国歌斉唱についてであります。昨年12月の代表質問においても申し上げまし
た通り、平成17年7月から、横浜地裁において「国旗国歌に対する忠誠義務不存在確認請求事件」という裁判が3年以上にわたり行われてきております。
これは、現在170名の県立学校の教員らが、98名の弁護団とともに、「卒業式等の行事において、教職員や児童・生徒は憲法に保障された思想信条の自由から、国旗掲揚国歌斉唱時に起立や斉唱する義務がないことを認めろ」と、神奈川県を相手取って訴訟を起こしているものであります。
が、昨年、この裁判とは別に、不起立教員らは、個人情報保護条例を楯にとり、県教委に対して、国歌斉唱時に起立していなかった教職員の氏名の情報の利用停止の請求を行いました。しかし、県教委がこの請求を却下、その後、納得できない教員らが異議申立てを行ったため、次に県教委はそれを個人情報保護審査会に諮問。その結果、不起
立教員の氏名情報は個人情報保護条例において原則的に取扱いが禁止されている「思想信条に該当する情報」に当たるのだと、私自身は不可解と思いましたが、そう判断され、県教委に是正を求める答申が出されました。
これを受けて、県教委は氏名の収集はあくまでも職務に関する情報であって内心の問題に立ち入ったものではなく、正当な事務の実施のために必要であるとして、今度は個人情報保護審議会の方に諮問したのですが、結局、「氏名収集は『不適』であるが、しかし一方で職権行使については県教委に委ねられる」というような答申が出たわけであります。
県教委は、個人情報保護審査会の答申後、いったんそれまでの不起立者の情報を答申に従って破棄しましたが、個人情報保護審議会の答申後は、毅然として「氏名収集」の継続を決定し、今日に至っています。私自身、当時の引地教育長を始めとする県教委の英断には最大限の敬意を表するも
のでありますが、平成19年度卒業式、平成20年度入学式における不起立者の数はそれぞれ48人と34人、合計82人であり、2年前の120人に較べれば少ないですが、昨年の73人より若干悪化している状況にあります。
そして、去る8月21日には、第16回口頭弁論が横浜地裁で行われ、山本教育長が証人として出廷されました。私も最前列でその裁判を傍聴しておりましたが、陰湿ないじめにも似た原告側弁護士の尋問に対しても、冷静に正論を述べ、答弁されていたように感じました。
学習指導要領は国歌斉唱の指導を定めており、県教委もこれまで毎年、県立学校長宛で、国旗及び国歌の指導についての通知を出し指導されております。その成果かもしれませんが、私自身も毎年、地元の県立高校の卒業式・入学式に参加させていただく中で、だんだんと式自体に厳粛な雰囲気、清々しい空気というものが出てきて、随分と、一頃より良くなったように感じているのは事実で
あります。私は、毎年、本会議において国旗国歌に関する
質問をしつこく行いながら、毎回、教育長からは今後も粘り強い指導を行っていくという答弁をいただいておりますが、本年度から新たに教育長になられた山本教育長としては、来年の卒業式・入学式を迎えるにあたってこれからどのような方針で臨まれていくのか見解を伺います。
質問の第四は日本語教育についてであります。
近年、英語教育については、小学校においても国の政策の中で着実に進展が見られるようですが、日本における最も大事なコミュニケーションの手段である日本語については果たしてどうなのかというと、私には疑問が残ります。
そんな中、昨年4月から、教科「日本語」という授業を開始した東京都世田谷区が、現在教育関係者の間で注目されております。
まず、世田谷区は平成15年度より「美しい日
本語を世田谷の学校から」をスローガンに掲げ、言葉の力を向上させる取り組みを開始し、平成16年には内閣府から教育特区の認定を受けて、従来の「国語」ではない「日本語」という教科で独自に教科書を編纂、平成19年度から世田谷区の全ての区立学校で授業をスタートさせたわけであります。そして、小学校用の教科書については2学年毎に1冊ずつ、合計3冊、中学校用の教科書も3冊ありますが、こちらの方は「哲学」「表現」「日本文化」というある意味刺激的な名称が付けられており、現在、小学校では週一時間、中学校では週二時間の授業が行われています。
私も実際にこれらの教科書を手にとって読んでみましたが、小学校1年で小林一茶の俳句「痩せ蛙負けるな一茶これにあり」、高啓や李白の漢詩、杜甫の「絶句」、道元の短歌「春は花夏ほととぎす秋は月冬雪さえてすずしかりけり」、宮澤賢治の「雨にもまけず」、高村光太郎の「智恵子は東京に空がないという・・」で始まる「あど
けない話」という詩、そして孔子の論語等がこれでもかと出てきます。決して、大人から見ても易しい内容とは言い難いと思いますが、小学校低学年ではまず「日本語の響きやリズムを楽しもう」ということが授業の中心理念ということです。
そして3,4年の教科書では、同じく李白や王維の漢詩、論語はもちろん、萩原朔太郎、島崎藤村、北原白秋の詩も登場し、小倉百人一首が全首でてきます。5,6年になりますと、それまでの「楽しもう」から「日本語の響きやリズムの美しさを「味わおう」という段階に上がり、平家物語の祇園精舎や、徒然草、方丈記なども出てまいります。
しかし、小学校においては現行の学習指導要領で学年によって習得すべき漢字が決められている都合上、古典を教えるには無理があるわけですが、低学年の子供ほど、強制しなくても難しいこれらの漢詩や俳句を暗唱してしまっているのが実際の姿だそうです。
さらに、例えば中学校で使う「哲学」の教科書は自然観、人生観、社会観を育成することが意図されており、やはり従来の国語の範疇を超えているわけですが、川端康成の「美しい日本の私」や柳田邦男の「人生に答えを出した男の物語」、そして小学校のテキストに出ていた宮澤賢治の「雨ニモマケズ」が再登場したりもしています。私自身が読んでみても、成る程と感じる作品や文章が上手く選択されているように思いました。
では、この世田谷区がやろうとしている教科「日本語」の目指すところは何なのでしょうか。小学校用教科書の表紙の裏に書かれている文章を引用させていただきますと、
ことば。ことばには力があります。私たちは、たった一つのことばから生きる勇気
を得ることがあります。ことば。
私たちは、ことばを使って考えます。ことばを
使って考えや思いを伝えます。私たちのかけがえのない宝である「日本語」は、
日本の文化とともに受け継がれてきました。新たな文化が生まれ、新たなことばが生れます。あることばが使われなくなるということは、そ
のことばの背景にある文化や自然が失われることにほかなりません。
今、私たちはことばを大切にしているでしょうか。
世田谷区では、教科「日本語」を創設しました。
子どもたちが、ことばの大切さに気づき、ことばを通して深く考え、自分を表現して心を通わせる喜びを知り、日本文化を大切にして、新たな文化を創造してほしいという願いから教科「日本語」は生まれました。
と、このように書かれており、極めて昨今の日本の国語教育に不足しているものを明確に示唆しているようにも私は思いますし、この世田谷区の取り組みは今後全国に波及していくものと推察し
ているところです。そこで、教育長にお伺いします。この世田谷区の「日本語」教育には多くの学ぶ
点があり、我が県としても是非、良いものは積極的に取り入れていくべきと思いますが、教育長の見解をお伺いします。
質問の第五は高齢者福祉施設における人材不足解消とその養成についてであります。
先日、敬老の日を前に総務省がまとめた統計によりますと、日本における70歳以上の人口は2,017万人となり初めて2,000万人を突破、日本の総人口の15.8%を占めるにいたっております。高齢者としてカウントされる65歳以上ということでは、2,819万人で、実に総人口の22.1%に達しているわけであります。
従って、そのような人口構成を考えれば、必然的にこれからの高齢者介護が日本全体の喫緊の課題であり、その人材の養成と確保も大変重要であ
ることは明確であります。しかしながら、昨今、様々な報道がありますよ
うに、介護の現場は現在深刻な人手不足の状態であり、人材派遣会社に頼ったり、ホームヘルパーのような資格を何も持たない人を雇わざる得ない状況にもなっております。国の方では、漸く来年4月、3年ぶりの介護報酬改定に併せて、報酬引き上げを行い、賃金の底上げを促すようでありますが、介護労働安定センターの昨年度の調査では、月平均4.5回の夜勤で、賞与や残業手当を含む介護サービス従事者の平均年収は、正規職員で約301万円しかありません。
また、介護サービス従事者の離職率は、昨年度21.6%と、全産業平均の16.2%と較べ、かなり高い一方、介護関連職種の有効求人倍率は2.1倍と他産業に較べても高い状況にあり、明らかな労働力不足となっているわけです。
そして、高齢者を介護するための国家資格である「介護福祉士」取得のための全国の大学や専修
学校でも、入学者の定員割れが深刻化し、今年度定員全体に占める実際の入学者の割合は45.8%しかなく、我が県においても、県内専修学校の介護福祉士養成課程への入学者は定員の45.3%であり、昨年度の60.3%からも大きく下落しています。
こんな状況下、日本とインドネシアにおいて、経済連携協定、いわゆるEPAが締結されたことで、去る8月、インドネシアから看護師・介護福祉士候補者の第一陣、それぞれ104人、計208人が2回に分かれて来日しました。当初は2年間で看護師候補400人・介護福祉士候補600人、初年度はその半数を受け入れる予定だったようですが、双方の準備が整わず104人ずつとなったようであります。彼女達は、基本的には、半年間日本語研修を受講し、その後それぞれの受入れ先の病院や介護施設で研修を受けながら、4年以内で国家資格取得を目指すことになっています。
実は、今回来日した208人のうち、3人の介護福祉士候補が、日本語堪能という理由で語学研修が免除されており、何とその3人のうちの2人が、今月8日から私の地元青葉区の特別養護老人ホームで、日本人職員と共に、同様の給与を支給されながら研修を始めています。
これまで、日本人の雇用機会を奪ってしまうなどの理由から、外国人は介護や看護職などを目的として日本に入国し単純労働者として働くことが認められていなかったのですが、EPA締結により、介護福祉士の国家資格を取得できれば継続して日本の介護の現場等で働くことが可能となっております。ちなみに、青葉区で研修・就労している二人はインドネシアの看護師免許も持っている非常に優秀な方々ということで、現場のスタッフにも大変良い刺激を与えているとのことです。
とはいえ、宗教や生活習慣の相違、そして、先述の二人は例外としても、やはり介護の現場は入所者とのコミュニケーション手段としての日本語
能力が非常に大事であることなど課題も多く、これからの動向を注目していきたいと思っております。
また、今月から、地域の施設が共同で介護職員の研修に取組む、神奈川県独自の全国初となる研修システムがスタートしました。ホームヘルパー2級、実務経験1年以上の者を対象にした「介護職員基礎研修」、介護福祉士取得後実務経験2年程度の現任者を対象とした「ファーストステップ研修」という2種類の研修ですが、これまでの通常の研修というのは民間業者や団体が実施するものだったわけですが、神奈川式研修は、認定を受けた地域の特別養護老人ホームなどの施設、10施設程がネットワーク組織をつくり、それぞれ研修会場として所定の研修を順番に実施していくというものです。これにより、より現場に即した中身の濃い研修でスキルアップが図れることになるわけですが、その効果として、職員のやる気や、社会的信頼も高まり、それが待遇改善にもつながっ
ていくことが期待されていますし、私自身、同じ仕事をしてきた者として大変評価をさせていただく次第です。
以上を踏まえ、知事にお伺いいたします。
今、インドネシアの介護福祉士候補者も研修が始まり、地域の施設が共同で行う新たな神奈川独自の介護職員研修も始まっておりますが、将来的にも介護サービス従事者不足が懸念される中、今後の外国人介護福祉士等の雇用についてはどう考えていらっしゃるのか、また、神奈川の新しい研修システムを今後どのように発展させていかれるおつもりなのか、見解をお伺いいたします。
質問の第六は健康増進についてであります。
多くの県民は健康で長生きをしたいと願っているはずです。しかし、中には、私のように、それほど長生きはしたくないけれど、病気で寝たきりにだけはなりたくないと思っている人もいるかもしれません。
さて、今年4月に厚生労働省が発表した「平成17年市区町村別生命表」によりますと、全国1,962市区町村のうち、私の住んでいる横浜市青葉区が、男性の平均寿命81.7歳で全国1位となりました。ちなみに女性は88.0歳で全国7位であり、人口30万人を超える青葉区は、実質的には男女総合すれば全国1位という結果が出たわけであります。昔から長寿として有名な沖縄県の市町村よりも、都市部の新興地域である青葉区が全国1位となったにはそれなりの理由があるはずですが、今月11日、青葉区区民意識調査の結果が発表され、私自身もその理由の一旦が垣間見えたように思いました。
今回のアンケートにおいて、長寿の原因を「健康づくりに関心があり、実践している住民が多いから」と答えた区民が一番多かったのですが、実際にそれを裏付けるデータがはっきりと出ています。
青葉区の医療機関における健康診断時の約11,
000人のデータから分析された平成16年度の数字では、まず「タバコを吸う」即ち喫煙率は何と13.1%、塩味が濃い方である11.0%、飲酒量が適正飲酒以上23.1%、肥満度BMI24以下81.2%、血圧異常なし67.6%、と、横浜市18区中、すべて良い方から1位という結果が出ています。特に喫煙率13.1%という数字は、全国平均の半分以下であり、青葉区は間違いなく非喫煙率が全国のトップクラスに位置していると言えます。
また、住環境という面においても、平成17年度で、医療機関の数が258箇所で横浜1位、有料老人ホームの数が27箇所で横浜1位、公園の数も226箇所で横浜1位となっております。さらに、平成16年から18年の3年間の男性の死因別調査では全国平均を100とした場合、悪性新生物(がん)が86.2、心疾患65.2、脳血管疾患70.0と、三大疾患での死亡が非常に少ないことがわかります。
先ほど、青葉区の喫煙率について述べましたが、青葉区は現在0歳から19歳の人口が約62,600人と横浜市で一番多いこともあり、特に子供をたばこの害から守るための取組みに力を入れています。小中学校での喫煙防止教室はもちろんですが、赤ちゃんや子供が、受動喫煙等、タバコの害を受けないよう母親教室でも妊婦や夫にタバコの危険性について積極的に話をしています。
さらに、青葉区では「受動喫煙防止」の取組みとして、青葉区内の飲食店・理美容店等を対象に禁煙・分煙の認証制度を実施しており、既に100を越す店舗が参加され、ますます増えている状況にあります。
現在、神奈川県において、死亡原因の第一位が「がん」であり、全体の3分の1を占めておりますが、平成14年に発行された厚生労働省検討会報告書(通称「たばこ白書」)においては、喫煙する人は「がん」全体の危険が2倍になり、また発生している男性の「がん」の原因の3分の1はタバコ
であると指摘されております。そして、「がんへの挑戦・10か年戦略」には、
重点項目としてタバコ対策が挙げられていますし、今年3月議員提案で成立した「神奈川県がん克服条例」第5条には「県は、食生活、喫煙、運動その他の生活習慣及び生活環境が健康に及ぼす影響に関する普及啓発その他のがんの予防に関する施策を講ずるものとする。」と明記されております。そんな中、未だに「がん」とタバコの関連性さえ否定している著名な解剖学者もいるようですが、その主張はまったく根拠がなく、医学団体からの公開討論の申し入れにも応じていません。県として、しっかりと、医学的根拠に基づいてタバコ対策を進めている医学界や医療機関と今後も連携していく必要があります。
また、受動喫煙問題について言えば、2003年3月31日付けの朝日新聞朝刊に、国立がんセンターによる推計が報道されておりますが、これによれば、国内で、年間19,000人以上の方が、受動
喫煙によって死亡しているとのことであります。たびたび訴訟にもなっているアスベストによる死者が年間950人余りですから、それと比較しても、この数字は甚大であります。考えてみれば、喫煙者の方々も、小さい子供や、或いは自身の可愛いお孫さんの近くでは決してタバコは吸わないはずだと思います。その僅かな思いやりの心が何故なかなか広がらないのか、私は不思議でしょうがありません。
以上のことを踏まえ、知事にお伺いいたします。
私は、青葉区民の健康増進に対する意識とその喫煙率の低さを誇りに思いますし、この流れを是非神奈川県全体に波及させていくべきとも思いますが、それに関する知事の率直なご意見と、今後の神奈川県の「がん」予防策の展開について見解をお伺いいたします。
以上をもちまして、私の第一回目の質問を終わります。